デート
高菜とのデート当日。
「びっくりするほど、おしゃれにならない」
シンプルな服が多すぎて、ニットとジーンスという色気ゼロな服装しかできなかった。
「男の子と出かけるときもいっつもそんなかっこうじゃん、どうしたの」
「今日は女の子と出かけるんだよ」
「へぇー珍しい!」
服を引っ張り出していると、妹がやって来た。
「どんな子?」
「マイペースでかわいい子」
「ほぉ、お姉ちゃんとは正反対だね!」
「間違いない」
時間がないので、もうこれでいいや。僕は、スニーカーをはきほぼ中身の入ってないでっかいリュックを背負って出かけようとする。
「お姉ちゃーん、その子との写メ撮って来て!」
「えぇ、恥ずかしい」
「男子かよ」
男子だよ、ともいえず、僕は家を出発した。
駅に到着すると、いつもの制服姿とは違う高菜の姿があった。
「あ、朱音ちゃん!」
「うっわ、ぎゃんかわ」
「?」
白くもこもこしたマフラーと、薄ピンクのコート。そして少しだけヒールのあるブーツに、ひらひらしたスカートと黒タイツ。
ごめんね、僕は服装が男だよ。
「私服姿、めっちゃかわいいね」
「そうかなぁ、恵太は『なにそれ』って言うんだよぉ」
「は? あいつの目が節穴なだけでしょ」
そう言いながら電車に揺られる。
高菜は見てるだけでかわいい。
ますます恵太が羨ましくなっていく。
都心の駅につき、降りると人がたくさんいた。
「はぐれないようにつなご?」
と高菜に手をつながれてお店まで連れて行かれた。
本当に話題になっているらしく待ち列に人が多い。一時間待ちだ。
「わー! やっぱり早く来てよかった! 一時間待ちだってぇ、ラッキー」
「これでラッキーなのかよ」
一人だったら絶対来ない。
「朱音ちゃんは甘いもの好きぃ?」
「昔はそうでもなかったけど、最近は美味しく感じる」
女子になってから、ケーキとかも食べるようになった。
そのため、妹が文句を言う。前は食べなかったのに! と。
「そうなんだぁ、じゃあ期間限定のパフェ食べようよぉ。大きいから二人で一つ頼むの!」
「いいよ」
ぶっちゃけなんでもいいよ。
高菜が喜ぶならそれでいいや。
「朱音ちゃん、少し、恋バナしよぉ」
「お、おう」
応と言ったものの、話すネタなんてねぇぞ。
「朱音ちゃんって好きな人いる?」
「いないよ」
女の子を好きになったことはあるが、そんなこと高菜には言えない。
「高菜はいるの?」
「う、うん」
恥ずかしそうに高菜は頷いた。恋する乙女だなぁと思い、名前を聞いたが教えてくれなかった。
もしかしたら好きな人っていうのは僕かもしれない。いや、ないか。
そのあと、案内された席で食べたパフェはかなりでかかったが、ほとんど高菜が食べた。
パフェが出てきたとき、跳ねながら高菜は写真を撮っていた。おかげでどの写真もややぶれている。
そして、少しショッピングして帰った。
かなり楽しかった。
この子もほかの女子みたいにいじめてきたらどうしようなんて考えていた僕がバカだった。
「あ」
そういえば、写真撮ってきてって言われてたんだった。
「高菜の写真撮っていい?」
「えぇー? どうしてぇ」
「かわいいから」
そう言ってケータイを向けると、高菜は照れた。
「じゃ、じゃあ一緒に撮ろ?」
あまりにも恥ずかしそうにするので、自撮りモードにして二人で写真を撮った。自撮りなんて初めてしたわ。
「朱音ちゃんとのツーショット、送ってほしいなぁ。メッセのID教えて?」
「いいよ」
連絡先も自然にゲットできた。
女子じゃなかったらこんなの絶対できなかった。女子になってよかった。
そう思いながら僕らは家に帰った。




