女ともだち
「朱音ちゃん、大丈夫? あざとかなってなぁい?」
高菜が心配そうに、直矢につかまれていた腕を見た。
「ひどいよぉ、女の子が嫌がっているのに!」
「まぁあいつにとってボクは女の子じゃないんだろうな・・」
高菜が頰をふくらませている。
「今度なにかあったら高菜に言ってねぇ、助けるからぁ」
「う、うん」
どっちかっていうと高菜のほうが守られていそうだが。
そして、はっと思い出したように高菜は僕に言った。すごく笑顔だ。
「あとぉ、朱音ちゃん。今度、一緒に遊ばない〜? パフェのお店がオープンしたんだよぉ。すっごく並ぶかもしれないけどぉ、朱音ちゃんとだったらおしゃべりしてたら一瞬だと思うのぉ」
「パフェかー、いいな、行こう」
冷静を保ちながら答えているが、内心ガッツポーズである。女子とデートだ。
「やったぁ! いつ会いてる〜? 高菜は土曜も日曜も会いてるよぉ」
「じゃあ土曜にしよう。早く行きたいしね」
「わぁーい! 恵太に自慢しよぉっと!」
高菜はぴょんぴょん飛び跳ねながら嬉しさを口に出す。そんなに喜ばれると、こっちもなんだか嬉しくなる。
「約束ね! パフェだけど、早く行かないとだめだからぁ、朝11時に駅に集合しよぉ」
「わかった。約束」
そう言うと、高菜は満足そうに自分の教室に帰って行った。
「可愛い子と一緒だったね、どうしたの? 友達?」
「・・」
遥希に声をかけられ、そういえばこいつもどうにかしなきゃいけないんだったと思い出す。
僕は黙って自分の席につき、ケータイでメッセージを打った。
『お前と話してたら女子からいじめられる』
『え? 今まで話してたじゃん』
『男のときは大丈夫だったけど、女になったことで女子から反感買うんだよ。だから、当分話せない』
『さみしいんだけど・・』
『お前、友達いるだろうが』
『女子も大変だな・・』
『とにかく話しかけてくるなよ』
『学校ではね』
学校ではね? 不審に思って遥希をみると、ばちんとウインクされた。どういう意味だ。
とりあえず、話かけてはこないってことだろうか。
これで僕の学校生活は平穏を取り戻すが、だが、今度はクラスに友達がいない。
あと少ししかないし、耐えるか。部活もあるしな。
* * *
「朱音」
お茶を渡す時に、恵太が呼んだ。
「ん、なに?」
部活中は、女子からの監視がないので恵太とも話せる。
逆に、廊下ですれ違っても恵太は僕を無視し続けていた。
「高菜と仲良くしてくれてるみたいだな」
「こっちが仲良くしてもらってんだよ」
ちらと高菜をみると、せっせと働いている。勤勉で、かわいらしくて、友達思いで、いい幼馴染を持っていて恵太がうらやましい。
「あいつは、友達ができなくてな。マイペースすぎる」
「そこがかわいいと思うけどな」
「だから、朱音が仲良くしてくれてるのをみると俺は嬉しい。ありがとう」
「ぼ、僕も!」
お礼を言われて、僕は恵太の道着を引っ張った。
「恵太がいなかったら女子にもいじめられっぱなしだったし、高菜みたいな友達もできなかった! ありがとう!」
ほかにも感謝していることはある。
「校内では会っても、反応しないでいてくれてるし! 直矢が話しかけようとしたらそれとなく引き離してくれてることもわかってる!」
「・・お前を困らせることはしたくないからな」
ぽんっと頭を撫でると、恵太は戻って行った。
恵太は僕のことをわかってくれている。直矢と遥希よりも、ずっと。
『ボクのことを大切にして、ボクのことをわかってくれる人かな!』
昔、妹に言った言葉を少し思い出していた。




