6 女神は死神に特別な感情を抱く
私は青山 優衣、高校1年生です。
私はクラスメイトの神裂 煌君のことが気になります。友達何人かに神裂君について聞くと
・成績悪そう
・隠れオタクっぽい
・見た目平凡
・そんなやつのことなんか知らない
・・・などの回答が来た。
でも神裂君は実際テストで学年30位以上を取っていたし、神裂君の友達の近藤君は
「煌は多少ラノベとかアニメが好きだけどオタクではないと思うよ」
と言っていた。
見た目は確かに平凡だけど物凄くかっこいい人に比べたら私としては親しみやすくていいと思う。
そんなやつのことなんて知らないって・・・流石にちょっと酷いなぁ・・・
そんな感じで私は神裂君のことを気にしながら高校生活を送っていた。
でもある日私や神裂君を含めたクラスメイト約35人は異世界転移した。
私たちは勇者として召喚されたらしい。
私達はアリーヤっていう王女様の話を聞いていた。アリーヤさんは涙目でこの国が、人類が危ない状況だと語っていた・・・嘘泣きで。
アリーヤさんとそのメイド数人の目は私達を利用することしか考えていないように感じられた。最初は気のせいと思ってたんだけどこの嘘泣きを見て確信した。私達は利用されるのだと・・・
そんな中クラスメイトの一人が
「そういうことですか、安心してください!俺達は勇者としてこの世界を救います!」
・・・なんて言った。バカじゃないの?を思った。その人がどうするかはその人の勝手だと思う。でも神様の話を聞く限りこの世界では私達は死と隣り合わせなんだと思う。それがわかっていて戦おうとするなら私に何か言う資格はない。でも私達を勝手に巻き込むのはやめてほしい、と思った。でもそこで神裂くんは
「おいちょっと待て、お前の独断でクラスメイト全員を巻き込むな。えぇっと・・・アリーヤさんだっけ?俺達が元の世界に帰る方法はあるんですか?」
・・・と言った。そうだ、元の世界の戻る方法。これは一番大事。これがなければ魔王と戦う意味なんて無い。神裂君はこんな状況でも冷静でいられているらしい。すごいと思った。
「え?・・・あの・・・ま、魔王を倒したら帰れます!それ以外の方法では帰れません!」
そして私は絶望した。これは嘘だ。魔王を倒したら帰れるなんてゲームみたいな設定があるわけない。それに「それ以外の方法では帰れません」って言うなんて嘘だと証明してるようなものだ。
私は確信した。帰る方法など無いんだと。
そして神裂君は「そうか」と冷めた口調で言った。多分神裂君もわかったんだと思う。
それから国から20万リエルを渡されて装備の買い出しに行った。10万リエルで軽鎧を買い、残りで剣を買った。
次の日訓練があった。午前中はただひたすら剣を振り続けた。何故か神裂君は教官に連れてかれてたけどなんでだろう?
そして午後。迷宮に潜った。まずゴブリンと呼ばれる魔物を神裂君が仕留めた。すごかった。落ち着いてゴブリンのナイフを弾き飛ばし、ゴブリンを絶命させた。
その後私もゴブリンを狩ってみたけどうまく行かなかった。神裂君みたいにナイフを弾き飛ばすことはできず、結局30秒位かけてゴブリンを倒した。
そして1階層のボス、ゴブリンロードとの戦闘では神裂君はゴブリンロードの腕を切り落としてゴブリンロードを戦えないようにしていた。とどめを刺したクラスメイトが「流石俺とエクスカリバー!」なんて言っていたけど一番活躍したのは神裂君だろう。
2階層ではさっきのエクスカリバーの人がオークに正面から突っ込んでいった。オークは棍棒を振る速度は尋常じゃなく速い。あの人がやられると思った瞬間オークの腕に何かが刺さり、オークの棍棒を振るう腕が軌道を変えた。
何かが飛んできた方向を見ると神裂君が何かを投げたような姿勢で立っていた。どうやら神裂君がゴブリンが持っていたナイフを投げたらしい。
そして私はそんな神裂君に話しかけた。戦い方を教えてと言った。
神裂君はあっさり「良いぞ」といい、私に魔物の倒し方を教えてくれた。私はそれを実践し、ゴブリンはどちらの方法でも問題なく倒した。オークは魔法を使えば簡単に倒せた。魔法を使うと魔力を以外に消費するらしい。MPがマックスでも10発程度しか打てないだろう。
私はオークに切りかかったがオークは私に気づいていたようだ。私に棍棒が振るわれる。・・・そして今に至る。
今私は神裂君に守られている。神裂君は私の盾になってオークの棍棒を防いでくれている。
「ほら青山、今だ」
そう神裂君が言った。
「う、うん!」
そして私はオークに斬りかかり、オークの首を切り落とした。
このときには既に私は、青山 優衣は。彼、神裂 煌に恋をしていたんだと思う