5 死神は迷宮に潜り、女神に戦い方を教える
エイデン教官に手の内をさらしてからしばらくして、飯を食ってから迷宮に潜ることになった。
迷宮には魔物が生息しており、奥深くまで行けば行くほど強力な魔物が出てくるらしい。
今回行くシリウス迷宮は地下に伸びていき、階層ごとに魔物が強くなっていくらしい。今でも何階層まで存在するかは確認されておらず、最高で167階層まで攻略されたらしい。あと階層ごとに階層主がいるらしい。
ふむ、ソー○アート・オン○インみたいなもんか、と適当に理解し、集合場所に足を運ぶ。
「ふむ、全員集まったようだな!よし、出発するぞ!」
エイデン教官が歩き出し、俺たちはそれについていく。迷宮に入ってからしばらく歩いたとき。ゴブリン?が現れた。
「よし貴様等!あれはゴブリンだ!まず煌!貴様が見本を見せろ!」
やっぱゴブリンだったらしい。ん?俺?いややりますよ?だってエイデン教官の目が「やらなきゃユニークスキルバラすぞ?」って言ってんですもん。
俺は剣を抜きゴブリンに向かって歩いて行く。走ってもいいのだが俺のステータスを皆に晒すようなものになってしまう。
ゴブリンが俺に向かってくる。ゴブリンは手に持っているナイフを俺に突き出してきた。それを俺は適当に剣で弾き飛ばし、武器を失ったゴブリンを切り裂いた。ゴブリンから血が吹き出る。
「「「うぷっ・・・」」」
クラスメイトの一部が吐きそうになっている。ゴブリンはその後光の粒子となって消えていったから吐くことはなかったようだが普通に死んでたら吐いていたのではないだろうか。
光の粒子になるというのはかなり嬉しい。いちいち剥ぎ取りとかするのも面倒だしそんなことしたら他のクラスメイトが吐きまくって面倒なことになっていただろう。あと今気づいたが俺には魔物に対する恐怖、魔物を殺害する抵抗などが一切なかった。今ならどんなグロに遭遇してもなんとも思わない気がする。これも死神になってしまった影響なのだろうか。
光の粒子が出なくなった後には銅貨のようなものが残った。俺はそれをエイデン教官に投げ渡し、弾き飛ばしたナイフは・・・しまっておいた。投げることぐらいはできんだろ(適当
「うむ今の倒し方は良かったぞ!貴様等も覚えておけ!ゴブリンは武器を失うと攻撃してこない!あそこにもう一体ゴブリンがいる!次は太一!貴様が行け!」
こうして俺らは1階層で魔物狩りの基礎を学んだ。
「よし、もうそろそろ良いだろう。ここからは自分で判断して敵を処理していけ!私は貴様等の命が危なくなったら助けに入るがそれ以外では一切手出しをしない!」
この発言に殆どのクラスメイトは喜んだ。おそらくこれで俺の実力が~などと考えているのだろう。そうではない一部のクラスメイトは自分の力に自惚れていない奴だろう。
だが流石に1階層では自惚れている生徒も自惚れていない生徒も傷一つ負うことはなかった。
そして1階層のボス。ゴブリンロードだが俺が剣を持っている腕を切り落とし、他のクラスメイト全員でリンチして終わった。
2階層、1階層より多少動きが良くなったゴブリンと初登場のオークが出てきた。オークはゴブリンより数倍大きく、武器を失っても素手で殴って来る。だが動きが遅いので後ろに回って首チョンパで余裕・・・と思いきや・・・
「おらあああああ!滅龍剣・エクスカリバー!」
またお前か・・・こいつ調子に乗ってオークに正面から向かっていっている。オークは何故か手にしている棍棒を振る速度だけは速く、正面からやりあうのは危険だ。後あのエクスカリバー(笑)では簡単にはオークを即死させることが出来ない。
このままではオークにふっとばされる未来しか見えない。
俺はゴブリンから頂いたナイフを適当に魔力で切れ味を上げて投擲した。ナイフはオークの腕に刺さり、棍棒の軌道をそらした。そしてエクスカリバー(笑)所持者がオークを切っていく。
因みに投擲したナイフは最上級闇魔法の『闇複製』という超低ランクの武器限定で魔力を消費して複製することができるというチート魔法で増やしたものだ。やっぱり最上級闇魔法は便利だね、うん。
「煌、よくやった。」
エイデン教官が俺を褒めてくれる。
「ありがとうございます、あいつ大丈夫ですかねぇ?」
「このまま戦って行けば死ぬだろうな。何処かで直さなければ・・・」
エイデン教官も苦労しそうだ。
「ねぇ、神裂君」
クラスメイトの一人が話しかけてくる。こいつは確か・・・青山 優衣だったかな?腰まである茶色っぽい髪が特徴だ。学校では女神と呼ばれる美少女だ。
「ん?どうした?」
「私にちょっと魔物との戦い方を教えてほしいなって思ったんだけど・・・駄目かな?」
上目遣いは反則だっ!・・・とは死神になってそういう感情も消えてしまったらしい俺はならず、上目遣いとか関係なく
「良いぞ」
・・・と答えた。別に断る理由もないしね。後こいつは午前の素振りを真面目にやっていたり自分の力に自惚れていなかったりするクラスメイトでもあるから強くしてやりたいと思ったってのもある。
「武器は何使ってんだ?」
「えっと・・・これだよ」
青山が差し出したのは一本の剣だった。装飾もあまりなく、質素な作りだ。性能の方はエクスカリバー(笑)と同等以上だろう。流石に俺の強化ミスリルの剣には劣るが良い物を選んだようだ。
「うん、いい目をしてるな」
「あ、ありがとう。神裂君のも見せてもらって良いかな?」
また上目遣いだ。意図的にやってる感じじゃないな
「あぁ、これだな」
そう言ってい俺は強化ミスリルの剣を青山に差し出す。
「うわぁ・・・すごい。私のよりもいい剣だぁ・・・」
青山が多少羨ましそうに剣を見ている。
「交換するか?」
俺は何かずっとこんな表情されると何か嫌なのでそう言ってみた。
「い、良いの!?」
「あぁ」
実際この剣はおっちゃんから「勇者様への投資」といって半額以下で売ってくれた。だが俺は勇者として動く気はない。なので少し罪悪感を感じていたのだ。
「え、でも神裂君にはメリットが・・・」
「そんなもん貸し一つで良い」
「ホントにいいの?」
「しつこいな、貸し一つでいいって言ってんだろ」
「あ、ありがとう」
「んで魔物との戦い方だっけ?」
「うん!」
「まずゴブリンはわかるだろ?」
「武器を失わせるんだよね?」
「あぁ、だが違う方法が2つくらいある。」
「な、何!?」
「一つ目は武器なんてほっといてゴブリンがこっちに気付いてないときに一気に接近して首チョンパ。速さを求めるならこれが一番いい」
「く、首チョンパ?」
「首を落とせば生物ある限りなんでも死ぬからな」
「な、なるほど。」
「んで二つ目は魔法だ。」
「魔法?」
「この世界には魔法が存在するのはわかってんだろ?」
「うん。」
「それでゴブリンは近距離でしか攻撃してこない。なら遠距離から一方的に殺ればいい。見とけ、『ダークバレッド』」
俺が放った。闇の弾丸は遠くにいたゴブリンの首に穴を開け絶命させた。
「こんな感じだな。これはMPを消費するが一番安全だ。」
「なるほど・・・」
「んでオークの方はこの2つと後ろに回って首チョンパだ。俺が見ててやるからやってみろ」
「い、今から?」
「今やらなくていつやるんだ?」
「そ、そうだよね。」
「危なくなったら助けてやる」
「うん!」
俺がそう言うと青山は遠くにいたゴブリンに魔法を放った。魔法は『アイスバレッド』だった。魔法はゴブリンの首を貫通し、ゴブリンを絶命させた。そして嬉しそうにこちらを振り向き。そして次のゴブリンに向かっていき、今度は一気に接近してゴブリンの首を切り落とした。
次にオークに魔法を放つ、そしてオークの首を貫通し絶命させた。次にオークに一気に接近し首をおと・・・せなかった。オークは青山に気づいていたようで青山に向かって棍棒を振った。このままいけば青山はふっとばされる。そう判断し、俺は魔法の盾を構築しようと考えたが発動までのタイムラグで間に合わない。だから俺はタイムラグ無しで発動できる最上級闇魔法、『闇縮地』を使い一瞬で青山とオークの間に移動。そのまま俺は青山の盾になった。
「神裂君!」
青山が心配そうな声を上げるが
「大丈夫だ」
死神の外套のお陰で無傷だ。
「ほら青山、今だ」
「う、うん!」
俺がそう言うと青山はオークの首を切り落とした。