4 死神は教官に手の内を晒し、フラグを立てる
「勇者様、訓練の時間です」
今日、俺は忘れていたが外で魔物を狩る訓練が行われる。
「あぁ、分かった、ありがとう」
俺はメイドに礼を言い、外套を着て、剣を装備して外に出た。
そして他のクラスメイトを待ち、しばらくすると甲冑のおっさんが来て
「よし、全員揃ったようだな!俺は貴様らに戦い方を教えていくエイデンだ!貴様等は勇者で一般人よりかは高いステータスを持っているが自惚れてはいけない!熟練の騎士に比べれば貴様らなどステータスも経験も低い雑魚だ!だがしっかり鍛えれば勇者である貴様等は絶対に熟練の騎士より強くなれる!」
・・・などと言われた。俺は別に気にしてないが勇者に取る態度じゃないよな、これ。一部の生徒が顔真っ赤にして怒り狂ってるぞ、沸点低いな、こいつら。
「まずは基礎となる素振りだ!午前は素振りをやり続けてもらうが午後からは魔物との戦闘だ!死にたくなかったら振り続けろ!」
ん?木刀とか渡されんな、自前のやつでいいのか?
とか思ってたら一部の生徒が騒ぎ出した。
「ふふっ、どうやら俺の武器を晒す時が来たようだな・・・滅龍剣・エクスカリバー!」
エイデンさん、ここに中二病者がいます。
「見よ!この漆黒の外套!私は死神だぁ!」
エイデンさん、こいつもです。あとせめて武器を見せろよ、そしてここに本物の死神がいますよっと・・・
そんなことを叫んでエイデンさんに怒られているやつがいる中で俺や太一を含めた何人かは真面目に素振りをしている。他の生徒は中二病か自分の力に自惚れて適当に素振りをしている。
太一は最初から剣術スキルを持っていた影響か他の生徒より少し上手い気がする。俺は・・・下手ではないと思う。
「ふむ、貴様に貴様に貴様に貴様に貴様に貴様!こっちに来い!」
貴様を言い過ぎだと思うんだ。指名されたのは例の真面目に素振りをしている組だ。
「貴様等は他の勇者に比べて真面目にやっている為貴様等だけは次の段階に進んでもらう。あそこにある藁人形を切れ!あの藁人形には修復の術式が組み込まれているのでいくらでも切り続けられるぞ!よし、初め!あ、だが貴様は少し残れ」
ん?俺?
「貴様、実力を隠しているな?」
「!?・・・なぜそう思ったのですか?」
「貴様の素振りに振る速度を制限しているような違和感を感じた」
「流石ですね、そうです。俺は振る速度を制限しています。」
「貴様、私と模擬戦をしろ」
「え?」
「もちろん他の勇者に見えないところでだ。拒否権は無い。」
「・・・分かりました。・・・全力を出せと?」
「そうだ、そして貴様の持っているユニークスキルも使え。」
「!?・・・何で知ってんですか」
「ユニークスキル持ちは雰囲気でわかるものだ」
「普通わかんないものだと思うんですけど」
「ゴタゴタ言うな、やるぞ」
ということで俺はエイデンさんと模擬戦をすることになった。
「よし、かかってこい、いつでもいいぞ」
「いや、俺のユニークスキルを見せるのにはそっちから来てくれた方が良いんですけど」
「ならこちらから行かせてもらおう」
流石に雰囲気でユニークスキル持ちが分かるエイデンさんも俺の今着ている外套がそれだとは気づかない様子。因みにユニークスキル見せなくてみいんじゃね?とか思ったたらエイデンさんが
「ユニークスキルを使わなかったりしたら他に勇者たちに貴様がユニークスキル持ちだとバラすからな?」
といってくるので使うしか無いのである。エイデンさんは言外しないと約束してくれたしな。
エイデンさんが尋常じゃない速度で俺の後ろに回った。別に躱そうと思えば躱せるがあえて躱さない。
エイデンさんの剣は死神の外套に止められた。それを見たエイデンさんは驚愕しながらバックステップで俺から距離を取った。
「防御力強化系か?」
「違います。この外套自体がユニークスキルです。この外套は何があろうと傷一つつきません。」
本当は大鎌もあるが別に言わなきゃばれn
「他にもあるだろ?」
・・・うっそやろこの人。
「はぁ・・・何でバレるんですか?俺嘘つくのそんなに下手ですかねぇ・・・」
「ユニークスキルにしては地味すぎると思ってな。」
もう嫌だこの人、もういいや、どうとでもなれぇ!
俺は死神の大鎌を出現させ、手に取った。
「外套に・・・大鎌・・・だと?まさかお前・・・死神か?」
「そうです」
「なるほど・・・確かにそれでは晒したくないか・・・今日はもういい、午後に備えて訓練しておけ」
やったぜ。俺はエイデンさんから逃げ出すことに成功しt・・・ん?今日はもういい?・・・そんなぁ・・・orz
こうして俺はしばらくエイデンさんに手の内を明かし続けることになった・・・と思っていたがまさかあんなことになるなんて・・・とエイデンさんとお別れできるフラグを立てておいた。