4章 School Life
く、暗い。ここはどこだ。なにも見えない。
だけど前に進んでいる。どんどん進む。
「ん?あーーーーー、イテっ!」
なにかにつまづき転んでしまう。
「なんなんだー?」
その瞬間照明が僕にあたる。
.........
そこには血まみれで倒れている変わり果てた
ユキの姿があった。
僕は涙が出なかった。
なぜ涙がでない。
大切な人が死んでいるのに。
いや、本当に大切な人だったのか?
...............
「はっ!!夢かー」
少しの間放心状態になっていた。怖い夢だった。この夢は忘れようと自分に言い聞かせる。今日は学校2日目。行きたくないけど行かなければならない。
〜午前8:00分登校〜
「あーーーーぁ。ってユキ?!」
大きなあくびをしている僕を優しく見つめていたのはユキだった。これは。デジャブだ。
「おはよう!お兄ちゃん。」
またもや穏やかにお淑やかにあいさつをする。
「お、おはよう。」
苦笑いでユキに返す。どうして毎日僕の家の前にいるのだろうか。と言うかどこに住んでいるのだろうか。妹なのに知らないことが多すぎることに気がつきあまりの情けなさに涙がでそうだった。
まぁ、それなら僕も妹に教えてないことがあるしね。
暗殺術のこととか。まぁ、後に聞けばいいだろう。
「お兄ちゃん。学校はどう?」
まるで、親のような口ぶりに少しの微笑む。
「まだ1日しか行ってないからわかんないよ。まだ......これからだろ?」
「そうだね。」
満面の笑みで、言う。
そう言えば僕の学校生活ばかり気にかけていてくれているけど、僕がユキにそんなこと聞いた事がない事にきずいた。
「ユキはどうなんだ?学校生活。」
さりげなく聞いてみた。なぜかハッキリ質問する事ができなかった。
恐らくユキもいじめにあっているのではないかという恐怖感があったからだ。
「私はとても人気なんだよ?お兄ちゃん!」
「そうかよ。」
すごく羨ましいなんて思ってはいけない。そして、それは決して口に出してはいけない。 なぜなら僕は所詮『数合わせ』だから。欲を言ってはいけない。僕はそう心に決めたのだ。
「んじゃぁ、僕は教室あっちだから。」
「うん。バイバイ!」
そんな平和な言葉を交わし、教室へと向かう。不安しかなかった......
教室の前につき少しの間考える。
「ガラガラガラーー」
なにも言わず平然とした顔で自分の席に向かう。そして席につく。
一般学生の如く顔色も変えず机に、教材タブレットを出し、授業の準備をする。
「お、おい!!」
「.................」
「おい!」
「.................」
「おい!し、シュン・アレクレイター!」
「え?!僕?」
「さっきからずっと呼んでいるだろ!」
どこかで聞いたような声だなとずっと思ってはいたものの僕を呼んでいるとは思わなかった。そして、その女性の正体は昨日の屋上の女性だった。
「ごめん。僕を呼んでるとは思わなくて」
「もう、その事はいい。」
その女性は目をそらしながらそう言った。
「それで、、なにか用かな?」
そう聞くと女性は顔を赤らめて口をパクパクしている。
「き、き、きの...ぅは...ごめ...ん...」
正直、声が小さいのに加え区切れ区切れでいっているのと教室の生徒たちの声で、全くと言っていいほどに聞こえなかった。
「ごめん。なんていった?」
「きのうはごめん!!!」
彼女が放ったその突飛な言葉は一瞬でクラスの生徒を驚愕させた。
驚いた。本当に本当に驚いた。それと同時に少し嬉しかったと言うのも補足として付け加えておく。
「別にいんだよ。君の言っていた事は間違っ
てはいない。僕は弱くて弱くて、弱い。」
彼女は俯く。
「そんなこと!......ない。」
顔を赤く染め両手を後ろで組み、モジモジと動いている。その光景はまるで『乙女』としか言いようがないあまりにも可愛らしい光景であった。
「そんな事よりも、君の名前は?」
ここからは暗い話になりそうなので、話の方向を変更する。
「......私の名前は......」
僕はこの女の子の名前を聞いて、驚愕することになる。
なぜなら、彼女の名前は...
《サキ・アレクレイター》
アレクレイター家は大企業のため後継ぎをするに値する人材をできるだけつくり、未来の成功の確率を上昇させるため、僕には兄弟が一般家庭よりも多いが、サキ・アレクレイターには聞き覚えもなく全くといっていいほど知らなかった。
「隠し子なのか?......」
「違うわ。」
「じぁあ、君は......」
「正真正銘のアレクレイター家の子供よ。」
「って、事は。」
「そう。......双子よ。...」
驚くどころの問題じゃない。
この年になってのカミングアウトなんてもう
驚きと動揺が恐ろしいほどに頭の中を徘徊するほどの驚きだ。
「......」
「......」
沈黙しかないこの空間は僕とサキだけの問題ではない。
クラスの生徒も動揺が隠せない。
「......あのさぁ...ちょっと聞いていいかな?」
「えぇ。」
サキとクラスの生徒は息を呑む。
あまりにも緊迫したこの空間は一瞬でかき消される。
ドアが勢いよく開けられる音とともに。
「お兄いいいいいぃーーちゃん」
「ユキ.........」
甲高い声をあげ僕に抱きついてくる。
「恥ずかしいからやめて。」
顔が火照る。
「はーい。」
残念そうな顔をしている妹に対比して、クラスは大盛り上がりだ。
なぜならユキは学園序列の上位ランカー。故に学園のスター及び有名人なのだ。
噂によると、人当たりがよく、才色兼備という言葉が相応しい者らしい。
我が妹ながら自分も同意する。
「てか、お兄ちゃん。またこの女にいじめられてたの?」
ユキはサキを睨みながら僕に問う。
「違う違う!この子はね、謝ってくれたんだ。」
意外そうな顔をし、ユキは少し安心した顔ををみせた。
「意外に素直なのね。」
と言いながらもものすごく睨んでいる。
「ま、まぁ。私も悪かったし......」
とても冷や汗がでるこの状況は、ユキがサキに殴りかかってもおかしくない。
「まぁまぁ!ユキもそんなに喧嘩腰にならないで。」
苦笑いを見せ、恐る恐るユキを落ち着かせる。よし、これが本来の僕の仕事なんだ。
なんだか、僕の役割は喧嘩をしないようにする安全装置のようなものらしい。
「ユキ!ホームルームの時間だ。教室にもどって。」
ここで、引き離す。
「はーーい。」
ホームルームに1〜6時間の授業も無事終え、下校時間となる。
誰もいない教室の中、玄関周辺は下校目当ての生徒で溢れかえっている。静かに思う。俺はこんなに平凡な人生を送っていていいのだろうか、と。
めちゃくちゃ遅れました!
申し訳ありません。