怯えと感動・・・両親の言葉
更新が遅くなりすいませんでした。
私が、家に帰ってきたことを実感しながら部屋で過ごしていると不意にお母さんから呼ばれた。前は呼ばれただけで怒られる!恐い!どこかに逃げたいと怯えてばかりだったため、一瞬反応が遅れた。返事ができないでいるとお母さんが部屋までやってきた。そして私を見るなりこう告げた。
「やっぱり、いきなり呼ばれると怯えちゃうよね。ごめんね。次から気を付けるわ。それと私たちを信じてね?今後一切あなたに昔のような理不尽がふりかかることがないようにするからね。そろそろ晩御飯よ。降りてらっしゃい。」
と少し悲しそうに言い階段を下りて行った。私だって信じたいけど・・頭では分かっているのだけれど体が反応しないんだ・・。これも少しずつ直さないとね。そう考えながら私もお母さんのあとを追うように階段をおりていくと食卓にはホットプレートと高そうなお肉の数々が見て取れた。
「おう。やっと降りてきたか。主役が遅れてどうするんだ。」
と、お酒やジュースをグラスに入れながら待っていたお父さんが言う。
「主役?私が?」
と驚いたように私が聞く。
「娘の退院祝いをしたくなるのは当たり前だろう。・・昔のようなことはもうない。だから早くお座り。」
「う、うん。ありがとう。」
少々居心地の悪さを感じながら食卓についた。記憶している限りでは初めてなのかもしれない。いくら思い出そうとしても一家で焼き肉をしたことなど微塵もなかった。
「じゃあ、桜の退院を祝ってカンパーイ!」
とお母さんの開始の合図でお祝いの会が始まる。なんか夢でも見ているようだった。部屋の状態にしてもあの日からすると考えることができないことだった。
「ほら桜ちゃんと食べなさい。じゃないと私たちが全部食べちゃうわよ(笑)」
難しい顔をしながら考え込んでいた私にお母さんはそういうとお皿においしそうに焼けたお肉をいれてくれた。お礼を言ってから食べてみると私は感動した。生きてきてはじめて食べたわけじゃないのにこの世のものとは思えないらいおいしかったのだ。まさか一日のうちにこんな何回も感動することがあるとは思わず、涙がまた溢れ出す。何もなかった部屋は普通の女の子のような部屋になり、お母さんは私のために泣いたり笑ったり、お父さんは行動をする。そう思うと溢れ出した涙は止まらなくなってしまった。
これが親とのコミュニケーションの温かみ。これが本当の親子なんだと私はそう思いながら退院祝いの会を泣きながらではあったが過ごすのであった。