見返すと決めた
痛い・・・。暗い・・。ここはどこだろう。天国?それとも地獄?まだ三途の川の最中なのかな。そんなことを思っていたら不思議な声が問いかけてくる。
「君は、周りの悪意によって生きることに希望を抱けず、自分の命を絶つ決断をした。でも、その選択すらまわりの悪意によって捻じ曲げられその命火をたってしまおうとしている。君は、どう思う?」
私は、この問いかけに対して・・・悔しいと思った。最期まで人に捻じ曲げられてしまった。私だって、普通の女の子みたいに友達を作りたかった。お互いを想いあえる異性と愛しあい年老いて逝きたかった。未練?たくさんあるよ。でも今は叶わない。
「そっか。君は、悔しかったんだね。そこで提案だ。僕には期間限定になってしまうけど君を生き返らせることができる。君は、周りの人を生き返ってでも見返したいと思うかい?」
そんなことができるはずがないと私は思った。でも・・・私は・・・。
「君が生きる希望を抱けないというのもわかってる。それでも僕は聞いてるよ。ほら目を閉じてごらん。今の君の姿が見えてくるはずだよ。」
言われたとおりに目を閉じるとそこには、地面に倒れおびただしい量の血を流す私。救急車にのせられ運ばれていく私。校内に響く悲鳴。陰で「やっと消えた。」と喜ぶ人が見えた。私を突き落とし判断を捻じ曲げたやつだとわかると私は失くしたはずの怒りが込み上げてきた。場面は変わり、病院では集中治療室で治療を受けている私。外には、私を虐待していた両親が泣いていた。
「優しくできなくて・・ごめんね。いっぱい謝るからどうか・・どうか戻ってきて・・。」
「親より先に死ぬな。バカ娘・・。待ってるから帰ってこい。」
私は、その光景を信じられなかった。今まで散々私を蔑ろにしてきた両親が、こんなことをいうなんて。そして治療が終わり沢山の機械につながれ私はベッドで眠っていた。そこで私はこれ以上みれないと目を開けた。再度不思議な声が聞こえる。
「これが今の君。両親もバカだよね。今になって君の大切さに気付くなんて。ここまで見た君にもう一回聞くよ。生き返って周りを見返してみないかい?」
私は、正直恐い。一度体験した恐怖は早々に消えるわけがない。・・・それでも私は、あの人たちを見返したい!!そんな希望が私の中に芽生えた。
「それが君の答えだね。わかった。じゃあこの扉をとおり生き返るがいいさ。ただし期限はそうだな。半年にしよう。これが僕の限界だよ。さあいまここから君は、生まれ変わるんだ。一歩を踏み出すんだ。」
私は、扉の前に立ち誓った。今度は胸をはって私は生きた!と言えるようにしよう。不思議な声に問いかける。
「あなたは、何者なの?」
「僕は、人に眠る希望をかなえるものであり、人によっては、イイヤツにもヤナヤツにもなりえる存在だよ。名前もないよ。」
それを聞いた私は、不思議な声の主に言う。
「じゃあ、イイヤツさん。ありがとう。やり直しの機会をくれて。私、生きてくるよ。行ってきます!」
そうして私は、扉から勢いよく飛び出したんだ。