ことのはじまり
「お前なんでいるんだよ。消えろよ。」
何度言われたかわからない蔑んだ言葉。親、クラスメイト、関わりのあったひとに言われ続けたこの言葉。傷つくことに慣れてはいたが、自分のなかには確かに助けを求める心はあった。でも、それを出せるわけがない。私こと霧島桜は、頼れるものもいない孤独な存在。そして今私は、冬風吹き抜ける学校の屋上で下を見下ろしていた。自分のなかにあるある欲求を満たすために。
「…こんなことなら早く消えてしまえばよかった。」
そう…自分のなかを蝕んでいた闇を晴らすために…。自分を消しさりたい、ここから飛び降りて楽になりたい…ただその一心で。私は、こんなときもあるんじゃないかと遺書すら毎日持ち歩いていた。どこでも命を絶てるようにと。一番好きな場所。空を眺めながら逝ける場所。それにこの場所を選んだのだ。これで最期にするため、自分の大好きなカフェオレを飲み干し、この世界に別れを告げるために…フェンスに近づく。
「もし…来世があるのなら…今度は優しい友達、私を愛してくれる家族のもとに生まれたいな…じゃあ…逝こっかな…。」
独り言をぼやいていて気づかなかったのだ。…すぐ後ろに人が近づいていることに。そして…自分から踏み出そうとするよりも先に…突き落とされてしまったのだ。ふと声が聞こえる…。
「邪魔者は、さようなら。」
ふふ…最期まで私をドン底に陥れたかったのか…。そして…私は意識を失った。
???
「まだ…終わらせないよ」