連動
夕焼けに染まる前
病室にてーーー。
「私.....。なにしてんだろ。」
まだ起きない息子を撫でながらつぶやいた。
ここは集中治療室。
いつもの家じゃない。
私の格好もいつもと違う白衣みたいな服装で目に見えるものすべてが現実感のない幻想のようだった。
「カーイートー...。おーきーなーさーい...。」
小さく呟いてカイトを小突いてみる
起きない。
点滴生活真っ只中の息子は心なしか痩せてしまった気がする。
「前も痩せてたのに...。これじゃそのうちガリッガリになるな。」
と言いながら、黒というより茶髪に近い息子の髪をわしゃわしゃと乱した。
ミナミはあの日以降ココには来ていない。
佐山君と被るのだろう。
交通事故とか。トラックとか。
バカね。あの子も。
佐山君はその場で死んだけど、カイトはまだ生きてるじゃない。
ベッドに横たわる死んでるとも生きてるとも言い切れない息子を見やる。
医者は言ってた。
目を覚ますのは奇跡です
そんな事を言われたってカイトは息してるのよ?
死ぬわけないじゃない。
そんなこと思ってもあの機械を外せば死ぬだろう。
そんなとこまでコイツは来てしまってるのだ。
「親に迷惑をかけて....目が覚めたら抱きしめてやる。」
窓の外では夕焼けがきれいになっていた。
綺麗ねえとか言いながらまたカイトの頭をなでていた。
カイトの目から
涙が出ていた。
カイトの涙を見るのは久しぶりだ。
こんなに泣く子だったかな?と言うほど泣いている
「泣かないで.....。」
私はそっとカイトの涙を拭ってあげた。
お母さん視点でした