代行者は星空の元に集う
深い闇。
散りばめられたような光の粒が、黒のキャンパスに降り注ぐ。
その光は、地上からのみ見られることができる。
人々はその光の粒の群れに名前を付けた。
それが、星座。
神話などに準えられ、季節によって空を埋め尽くす星座たち。
その中でも、星占いなどに用いられる十二の星座が存在する。
「…で?やっと百年巡ったわけ?」
「口を謹め。帝王の玉座の前だぞ、アクエリアス」
「難いことは言わないでよね。カプリコーン。皆自由にしてるし」
若い女性の声と、低い男性の声が闇に響く。
光の当たらない宮殿のような場所だった。
外は先の見えない闇だ。
広場と思われる場所には、ローブを纏い顔を隠している十二人が円をなして集まっていた。
全員がカプリコーンと呼ばれた男に注目する。
「全員揃ったな?」
「うん!カプリコーン」
カプリコーンと呼ばれた男の問に、子供の声が答える。
ローブから少し覗く口元は、笑みによって三日月型になっている。
「元気が良いわね。アリエス」
まるで愛しい我が子を見つめるかのように、女性の声が反応した。
「だって、やっと自由に外に出られるんだよ?楽しいじゃん、バーゴ。」
「そう。良かったわね」
「私語は謹め。アリエス、バーゴ。始めるぞ」
カプリコーンが場の空気を締める。
ピリピリとした空気が場に漂う。
「ルールは前回と同じだ。くれぐれも間違うな」
「早く宣言しろ。俺は早くお前たちを潰したい」
体の大きな男が叫ぶ。
興奮しているのか。
「焦るなよ、タウロス。慌てる乞食はもらいがすくないよ?」
若い男の声だ。
挑発しているかのようなその声に、タウロスと呼ばれた男が反感の色を示す。
「黙れ、スコルピオ!」
「静かにしろ!戦うなら、この『代理星戦』で戦え」
カプリコーンの一括で、場が静まる。
「空の帝王を決める神聖なる戦いだ。不様な様を晒すな」
カプリコーンは十一人に囲まれるように円の中心に立ち、空を仰ぐ。
「時は満ちた!今より、『代理星戦』を始める。場所は…地球だ!」