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何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は  作者: だましだまし


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エピローグ

10年後ー…



「ちょっ…またやりましたね!?お待ち下さい!2人共!!!」

「逃げろー!」

「ひっかかったー!」


ケタケタと笑い逃げる我が息子リラルド。

そして、王弟として補佐をしつつ公爵位を賜ったシエルナード王弟殿下とルフィナ王弟妃殿下の息子で次期公爵のエルフェル様。


共に6歳の2人は生まれ月も近く兄弟のように仲良く育っている。

そして仲良くイタズラをしては私に叱られている毎日だ…。


「なんか…いつも思うんですけど私がイメージしてた乳母と実態が違いすぎる…」

捕まえ説教をし、家庭教師に引き渡す。

いや…乳母ってもっと上品で…こう…追っかけ回したり叱ったりするイメージは無かったんだけど…。


ドッと出た疲れを隠さずハーブティーを淹れる私にお菓子を差し出しながらルフィナはクスクス笑う。

「お疲れ様!休憩がてら一緒にお茶にしましょ」

「んー…最近お菓子増えてないですか?あまり食べるのは良くないですよ?」

砕けた話し方もするがルフィナに対しても、いつしかすっかり敬語が当たり前になった。

ディーダもそんな感じだが私よりシェル殿下とよくふざけあっている。


私はラズベリーリーフティーを置きつつお菓子が止まらないルフィナに注意する。

今ルフィナは妊娠後期なのだが体重が増えがちなのだ。


「うー…あと3枚…いえ…2枚だけ!」

ルフィナお気に入りの店のクッキーを彼女に渡したのは誰か後で調べなければと思いつつ「太ってしんどいのはルフィナですからね?」と釘を刺す。


そして、私は揺りかごで大人しくしていた生後7ヶ月の娘に乳をあげながらフと今日で卒業パーティから10年経ったと気が付いた。



振り返り思う。

ルフィナもシエルナード王子も、どちらも本当に美しい結婚式だった。

幸せそうな2人に多くの人が、国民が、心から祝福した。


すでに当時の王太子殿下は王位に就き善政を行っている。

大臣として補佐に務め、宰相と共に王政を担うシェル殿下は王配として隣国の王女と結婚した第二王子と連携を取り、両国の繁栄に貢献している。

そんなシェル殿下を陰なり日向なりで支え守るディーダは今や護衛騎士隊長。

私は専属侍女から側仕え侍女兼乳母としてルフィナの傍にいる。


セドナーは驚いたことに今や息子たちの家庭教師だ。


思い込みの激しい彼は反省も思い込むと深かった。

そして意外なことに成績が良かったらしく、その事を活かして教師となったのだ。

近く、セドナーの兄が爵位を継ぐと婿入りをしていない彼は侯爵令息の立場と地位はそのままの扱いだが爵位を継がせられない一代限りの貴族、準侯爵となる。


「王宮で教師が出来るなんて家が侯爵位で幸いだったよ。迷惑かけたルフィナ妃殿下の為にもしっかり子供たちに勉強を教えてみせるから…君への償いにもなるようにさ」


教師として登城し初めての挨拶に来た時、なんと私にもそう言った。

本当に反省し、改心したらしい。

そして成績が良かった事と同じ位意外だったが、なんと教えるのが上手いらしく子供たちは楽しく勉強が出来ているようで成績も今のところ優秀だ。


シャーメ子爵家はあのあと、気弱な元伯爵が早々にレリアンの兄へと爵位を譲った。

レリアンの兄は文官をしていただけあって数字に強く、前の職は辞したが今も王都で城務めをしながら狭くなった領地を発展させているのだという。

領地にいる父親と連携し、しっかり管理をしているらしい。

正に清廉潔白な貴族家として頑張っているそうだ。


伯爵家の奥様だったシャーメ子爵夫人は子爵位を継いだ息子家族と共に、以前より狭く少々不便な場所にあるタウンハウスで暮らしている。

時々小さなトラブルを起こしつつも真面目に活動に取り組んでいるらしく、もうすぐ科せられた貧民救済活動の強制期間が終わるらしい。

相変わらずの横柄な態度が顔を見せる時もある様だが、活動が強制でなくなった後も救済活動を続けたいと言っているそうだ。

基本は領地で暮らし時々赴いて活動する予定だとシャーメ子爵が伝えてくれた。

純粋な感謝の気持ちを向けられる事が少なかった夫人にとって、はじめは馬鹿にしていた貧民たちとはいえ心からの感謝は心地よいものだったらしい。

態度は大きいが反面細やかな支援で貧民たちからの支持は上々だという評価を聞いた事がある。


そして娘のレリアン。

彼女は今、牢にいる。

はじめは母親もいるからか真面目に働いていたらしいが、次第に他の修道女に仕事を押し付けるようになり、活動開始からわずか1年で支援金を横領したらしい。

結果、貴族位剥奪の上で戒律の厳しい修道院へと送られたのだが、そこでも何かと問題を起こし、平民となっていた彼女は遂に犯罪者として投獄されたのである。

シャーメ子爵家の人達は修道院送りとなった後も何とかレリアンを改心させようと頑張っていたらしいが犯罪をやらかす頃には諦めていたとかいないとか。

平民としての投獄なのできつい労働を科せられている毎日だろう。

今でもきっと「ひどいわ」と言い続けてるんじゃなかろうか。



「ライラ、ボーッとしてるけど大丈夫?やっぱり仕事をするには早すぎたんじゃない?」


娘の産後半年が経った頃、私はルフィナの側仕え侍女兼乳母の仕事に復帰した。

乳母として子供たちの面倒を見るのは大変だが、側仕えとしての仕事はお茶を淹れるくらいで後はルフィナとのんびり過ごしていられる。


「授乳していたらちょっと眠たくなっちゃいました」


そう言って笑うとルフィナも笑顔を返してくれる。

穏やかで、幸せな日々だ。


人を妬んで「ひどいわ」ばかり言ってるからよ。


思い出の中のレリアンに心の中でそう毒づき、私はお茶を飲み干した。










読了、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
一万回の「ひどいわっ」の業を神様が聞き届けて下さったのではなくて? この娘にホンモノの「ひどいわっ」を届けてやらねば、的な。 今ではホンモノの心からの言の葉を紡ぎながら感涙に咽んでいる事でしょう、神様…
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