第20話「そして、国一番の愛の巣へ」
数年後。
王都の中央に、新しい塔が建設された。
その名も「安らぎの塔」。
最上階は、国王となったアレクセイと、その伴侶であるルカの私室になっている。
部屋の中は、僕の長年の研究と趣味が結実した、究極の「巣」となっていた。
床には雲の上を歩くような特注のカーペット。
壁には吸音と調湿を行う魔法のタペストリー。
そして部屋の中央には、大人五人が余裕で寝られるサイズの巨大なベッドが鎮座している。
「……ルカ、今日はここで寝るぞ」
公務を終えたアレクが、ネクタイを緩めながら入ってきた。
かつての険しい表情は消え、今の彼は穏やかで、満ち足りた顔をしている。
「おかえりなさい、アレク。今日のクッション配置は『春の木漏れ日』風ですよ」
「ほう、楽しみだ」
彼は僕の隣に座り、僕が抱えていたクッションごと抱きしめた。
「……いい匂いだ。やはり、ここが一番落ち着く」
「もう、王様なんだからシャキッとしてください」
「ここでは、ただの夫だ」
彼は僕の首筋にキスを落とす。
そこには、あの日付けられたマーキングの痕が、うっすらと残っている。
「ルカ、愛してる」
「……僕もですよ」
窓の外には、平和な王都の夜景が広がっている。
かつてモブとして「空気のように生きたい」と願った少年は今、この国で一番愛され、一番重要な場所を守る「巣の主」となっていた。
重たい瞼が下りてくる。
大好きな人の腕の中、最高の寝心地に包まれて。
僕の幸せな「巣作りライフ」は、これからもずっと続いていくのだ。
おやすみなさい、良い夢を。




