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「出来損ないの妖精姫」と侮辱され続けた私。 〜「一生お護りします」と誓った専属護衛騎士は、後悔する〜  作者: 高瀬船


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14話


「──じょう、様。お嬢様……!」

「……うぅ? ナミア……?」


 翌朝。

 ウェンディは、強く体を揺らされている感覚で、目が覚めた。


 目が覚めた時、ナミアの姿が視界に入った。

 ナミアはどこか焦っているような雰囲気だったが、ウェンディが何事もなく目覚めた事にほっと安心しているように見えた。


 どうしてナミアがそんなに焦った顔をしているのか。

 まるで、今にも泣いてしまいそうな程、焦燥感に苛まれている様子に、ウェンディは首を傾げた。


「良かった、お嬢様……。全然お目覚めにならないので、何かあったのかと……っ」

「えっ、え……? そうなの?」


 ウェンディは驚きつつ、自然な流れで自室の窓に顔を向けた。

 すると、窓から差し込む陽の光の強さにウェンディは驚く。

 朝ではなく、日の高さから見るにとうに昼は過ぎていそうな時間帯に、ウェンディは焦ってベッドの上に飛び起きた。


「た、大変……! どうしてこんな時間まで寝てしまったのかしら、朝食も、昼食も寝過ごしてしまったわ! お父様はお怒りじゃない!?」

「だ、旦那様は大丈夫です……! お怒りではございません……!」


 寧ろ──、とナミアは胸中で呟く。


(旦那様は、それどころではなく……きっとウェンディお嬢様がお目覚めになっていない事にすら、気付いておられない……)


 ナミアは、悔しさでぎゅっと自分の手を握りしめた。


 そんな様子のナミアに、ウェンディは触れようとして裾から伸びる自分の腕に驚いて目を向けた。


(──っ、どうして? 何だか、昨日より裾が短くなっている気がするわ……)


 どうしてこんな事が、とウェンディが考えていると、ナミアが声をかける。


「さあ、お嬢様……っ! お支度をいたしましょう。お食事はお部屋に運びますね」

「私の部屋、に……?」


 どうして、わざわざ──。

 食堂に行けばいいのに、とウェンディが考えた所で、何やら廊下が騒がしい事に気がついた。


 忙しなく人が行き交う音が耳に届き、人の騒がしい声が聞こえてくる。


「何かしら……。ナミア、邸が騒々しいみたいだけど、何か知ってる?」


 ウェンディに問われたナミアは、ぎくりと体を強ばらせる。

 隠していても、いずれはウェンディの耳にも入ってしまう。

 他の使用人から心無い言葉と態度で知らされるより、私から直接お知らせを……。

 そう、ナミアは決意をして、邸が騒々しい理由をウェンディに説明する事にした──。


「──旦那様が、エルローディア様とフォスター様の専属護衛騎士契約の準備をなさっているのです」

「……ぇ?」

「本日、お二人の契約を二日後に行う事を、大々的に発表されました……。二日後、貴族を招き契約記念のパーティーを開催するそう、です……。それで、旦那様も、奥様もお忙しくされております……」


 ウェンディが、傷付いてはいないか──。

 ナミアは、そっとウェンディを窺う。


 だが、ナミアからその事実を聞かされたウェンディ本人は、興味無さそうな表情のまま口を開いた。


「──そう。それなら、好都合ね」


 こくり、と頷くウェンディ。

 驚くナミアをそのままに、ウェンディは自身の口元に手をやり、考えるように呟いた。


「エルローディアとフォスターが契約のパーティーをするなら、周囲の目はあの二人に向くわ。ヴァンとの専属護衛契約も二日後だもの。……きっとパーティーは邸の大ホールを使用するわよね? 使用人も多分そちらにかかりきりになるから……。私が参加していなくても目立たないわ」


 真剣な表情で、当日の段取りを考え、呟くウェンディにナミアは目を見張った。


「それなら、ヴァンと落ち合う場所を決めて……人の少ない邸の東側で私とヴァンの契約をしましょう。東側で行えば、誰かに見つかる心配もないでしょうし、邪魔をされてしまう可能性もほとんど無いわ」


 そして、とウェンディは心の中で呟く。


(お父様が、私を無理矢理結婚させる、と仰るならば……私はヴァンに助けてもらいながら、この家から逃げ出す……!)


 ぐっと拳を握り、ウェンディは心配そうに自分を見守ってくれているナミアに視線を向けた。

 そして、ヴァンの申し出を受けた時から考えていた事をナミアに伝える。


「ナミア……。もし、もしもよ……? もし、お父様が私の結婚を強引に進めようとしたら……ヴァンにこの家から連れ出してもらうわ。……その時は、ナミアも一緒に着いて来てくれる?」

「──お嬢様!」


 ウェンディの言葉に感動したように、ナミアの目がぶわりと涙が溢れる。

 そして、ウェンディの手を取ると、何度も何度も頷いた。


「も、もちろんっ! もちろんです、お嬢様! ナミアは、お嬢様のお傍を離れません……っ!」

「ありがとう、ナミア。この家で、挫けずにやってこれたのはナミアのお陰だから……。だから、ナミアとはずっと一緒にいたいわ」

「これ以上ない、有難いお言葉ですっ! どこまでもお供いたしますね、お嬢様!」



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