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五拾壱話 開戦

「リシュアン国外聖騎士殿‥‥ですか」

「第一将兼軍総司令。鳳蓮殿」

「まさか。貴殿と再会すればそこは戦場とはな‥‥。今回名義上は俺が総大将だが指揮権は貴殿に譲る」

「分かりました。そろそろ任命式です。天守閣へ急ぎましょう」

 葉桜国王都は他国の作りとは全く別だ。俺たちの王都は角型の角を持ち街区を囲う。しかし、ここは小高い丘の地形を所々均し『丸』と呼ばれる空間を作る。その空間を繋ぐのが道なのだが、その道も数々の門と数々の壁に阻まれまるで迷路の様だ。その道も両側を石垣に阻まれ狭い。しかも上からの一方的な射撃でまともに進めない。その数々の困難の先に待ち受けるのが城の最奥、天守閣。

 そんなことを考えながら進んで見えてきたのは、黒漆の壁と金の装飾が施された瓦、数々の狭間を身に着ける天守閣だ。

 その急峻な階段を上ると最上階。奥には桜羅が見える。

 跪いた鳳蓮に続いて俺も跪いた。

「鳳蓮軍総司令に命ず。第二将朱恩(しゅおん)・真白、第三将幽騰・優瞬と共に二十三万を率いて南より迫り来る翆玲軍の殲滅を」

 桜羅・麗瞬が言い始めた。

「聖騎士リシュアン・レオンハルトは彼らの軍に入り、奮闘されることを願う」

「‥‥ハハッ!」

「王! 号令を!」

「あ、ああ。ここに集いし全将、全兵に告ぐ。す、翆玲軍を滅すため、出陣せよ!」

 俺はオオ! 声を返すと天守を立ち去った。


「来てくれたのか。葬獄もベテルギウスも」

「護衛に来ていると思ったら、こんな形で戦に巻き込まれるとは」

「ベテルギウス。アリシアと王を国に返してくれ」

「‥‥ハハッ」

「葬獄も俺について来る必要はない。来たい奴だけついて来い」

「殿‥‥。我らは殿に付き従う直下兵団。去る者出さずを掲げています。付き従いましょう! なあ!」

 ガルドが声を挙げた。それに合わせて葬獄が声を上げる。

「ありがとう。なら行くぞ。大陸西海岸! 夕霧へ!」


 ♦♦♦


「王都圏十二万のうち八万と、王都軍八万の合計十六万を南へ動かします!」

「南部軍は二十万を招集。合計三十六万と相成りました」

 続々と入る情報は翆玲軍が侵攻するにつれ量が多くなって来ている。

 じわじわと前線地帯をズタズタにしながら進んでくる。既に南部の南から下の半分は失地。遅延の為の妨害工作は行っているが、超大軍過ぎてそれが意味をなしていない。

「リシュアン殿の方へ水軍を送った方が宜しいかと。世界広しと言えど、翆玲水軍に匹敵する水軍は我らの湖水船団くらいであるからな」

「分かっています。王都湖水船団を出陣させる用意を! ディラン将軍に伝令を!」

「軍容を整理します。南部指令を総大将に三十六万。南部軍を主体とし、王都よりクロイザン将軍に出陣頂き、万全の構えで迎え撃ちます。俺も南部の都市清原に入り、指揮を執ります」

「南部指令より報告です! 敵の軍勢三万が貞刃(じょうじん)渓谷に入り、渓谷周辺の守備軍に殲滅を受けていると」

「妙だな‥‥。そんな無駄な事をしても本軍の侵攻を見失うほど光龍は甘くない。むしろその三万を本軍に付けて、各地を蹂躙する方が得策だが‥‥。念の為だが、物見の数を増やしておけ。特に本軍周辺にだ」


「本軍は南部中央付近へ。清原より南に少し離れた清琳平原に入りました。そこが此度の主戦場になる模様です!」

「分かった。王都圏周辺に残る未だに出陣していない三万に連絡! 俺について清原に入る! 前に到着したクロイザン将軍に伝令を。あと三日で始められるよう兵たちに準備をさせろ」


 ♦♦♦


「リシュアン殿‥‥。かの水軍は?」

 鳳蓮が言ってきた。二日前より到着している光龍水軍湖水船団。

「あれは光龍国最強の水軍船団。湖水船団。その数八百隻。俺に彼らを指揮する道理はない。そちらの水軍の指揮下に入れてほしい」

「何を言っているのですか? リシュアン様。リシュアン様は今は一時的に解任されていようと、我らの総司令は総司令です。此度は葬獄と同じく光龍軍として戦います」

「全く。変わらないな。ユリア。久しぶりに戦線に立つが、腕は鈍っていないよな?」

 ユリア・セレスティーナ。赤の軍服を纏い羽扇を振る烈火の軍師。湖水船団の軍長。

「当ったり前です! 王都水域での演習は欠かしていませんから!」

「そうか‥‥。よし、総司令殿。全軍に展開命令を。そろそろ奴らも着く筈です」

「分かった。集結せし全軍に伝令。展開ーはじめ!」

「そちらの水軍は面白い船がありますね。船を鉄の板で囲っている‥‥」

「ああ、鉄鋼船ですな。五年前に完成したばかりだが、当時の大臣識錬(しきれん)長牙(ちょうが)が発案した船だ。先の翆玲との対戦でも生き残った」

「それは頼もしい。こちらの投石船も海岸線付近に展開し、地上部隊を最大限支援します」

「中央軍は幽騰将軍を、左翼には朱恩将軍を。本陣には俺と総司令殿を置きます。各自、自らの軍の統率を始めてください。もう戦いはそこまで来ていますので」


 ♦♦♦


 三日後。

「西部指令、クロイザン将軍両将に伝令を――――


 ♦♦♦


「全軍へ。合図を送れ――――































――――開戦だ!」」

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