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四拾壱話 そんな目

「両翼が押し込まれるなら、防陣を敷かせ、攻撃に耐え続けさせよ。その隙をつき、中央を抜ける」

「左翼へゲルム将軍の騎馬団が出撃! 援護に回ると!」

「分かった。右は葉桜軍と西都王。左は第一将等と東都王! 後方は霊川と山脈。いよいよもって活路は前だけとなった!」

 俺の指揮に中央全軍は高揚。指揮の爆発という言葉がよく似合いそうだった。

 俺の戦略はこうだ。両翼に両の王が現れたなら中央が手薄になるのは必定。そこで俺率いる中央軍が両翼裏に回り、離脱と攻撃を繰り返す。

 ならまずは作戦の前段階ともいえる中央突破を始めよう。

「重装歩兵団を下げ、代わりに第八から第十にまでの剣士兵団を投入させ、この軍の速度を大いに上げさせろ。重装歩兵団は中央の左右の防衛に回せ」

「恐れながら進言致します!」

 中央正面に追いついた俺に声をかけてきた意外な人物がいた。アウレリアだ。

「中央前衛は現在敵の猛攻を受け予備隊を回すほどの状況です! どうか総司令様! 中央前衛を御自ら率いられ、ハルバードを振るっては頂けないでしょうか⁉」

「ああ、分かった。ガルド、葬獄を一千騎連れて来い」

 本当のことを言えば断るべきだ。この状況で俺が前に出れば士気が上がり速度は上がるかもしれないが、その分、兵の体力や力が長続きしない。

 それに進言者も一抹の不安がある。アウレリアは南都の貴族家の出身だ。俺に死なれても知ったことか、という感じだ。逆に俺を前に出させて遠回しに殺したことが分かれば、戦争終結後、氷晶から恩賞が貰えることに間違いない。

 だが、断れば、この軍の雰囲気を悪くすることにも繋がる。ならば危険だが、あえてその進言を受けるのも言ってだ。

 そして葬獄。この年の瀬や年始に大いに練兵。その数三千騎。戦闘員だけでも二千をゆうに超える。

「竜檄軍長レイガ・オリシス! 居るか⁉」

「ここに!」

「竜檄を連れて俺たちについて来い。お前たちがこの戦の要と言ってもいい! 竜檄弓兵、騎兵は後方待機。決め手となってもらう!」

「オオ! この戦に我ら竜檄歩兵団全てを捧げまする!」

「頼んだ! ガルド! 出るぞ!」

 俺は愛馬と共に駆け出した。

 ここで紹介しよう。俺の愛馬トレンツ。光龍の大地にて育まれた名馬で大柄な馬の類に入る訳ではないが小さい訳でも無い。最大の特徴はその速さだ。激流の名から取ったように他の通常騎兵との差は明らかだ。俺が乗るトレンツに付いてこれるのは光龍国内でも数少ない精鋭騎兵だけだろう。葬獄、獄龍には勿論付いて来れるように練兵してある。

「やはり中央軍はリュミエールですな‥‥」

 ガルドが呟いた。

「あの将旗は間違いないな‥‥。突陣を組め! 突破する!」

 最後の防御壁に差し掛かったところで俺は全員に命じた。


「十か月ぶり‥‥くらいかな? エレナ」

「そうね。我が主、クラリス様を殺した事、後悔させてやるわ」

「エレナ‥‥彼が‥‥?」

「ええ、彼がリシュアン・レオンハルト」

 丸眼鏡の気弱そうな人物が聞いたのに、エレナが答えた。

「そうか‥‥君があの‥‥」

 そう言いながら俺に馬に乗りながら寄ってきた。

「狂気の天才リシュアン・レオンハルトか‥‥」

 俺の左の肩当に手を置き、そう言った。

「狂気の天才かはさておき、その腕、切り落とされても文句はないよね?」

「怖いなぁ‥‥。切り落とすのは腕じゃなくて頸だろうに」

 にこやかな表情を崩さないままそう言った。

「そう言ってくれるなら――――」

 俺はハルバードを握りしめた。

「————遠慮なく」

 左腕に握ったハルバードを振った。まともに行けば直撃だろう。

 ガスッ、という鈍い響きと共にハルバードが止まった。

 風がやむとそこには片腕で俺のハルバードの柄を握りしめるその男がいた。

「名乗り遅れたね。僕はリパル・リュミエール。悪いけど、首を落とされるのは‥‥そっちみたいだね」

 不意に薙刀が俺の目の前を通った。

「お兄様のことを殺そうとしたな。身の程も弁えてくれないと」

 光を失った目が俺を睨んだ。エレナだ。

「僕は死にたくないからとりあえずは軍の統率を取るよ。本陣の全兵に告ぐ。リシュアン隊の兵を一人残らず殺せ」

「死ね! リシュアン!」

 目の前に迫る殺気に満ち溢れた薙刀を止める。早い。

 グレイヴと矛、薙刀は見た目は同じでも大きな違いがある。グレイヴは速度よりも重撃、一撃一撃の威力に力を込めた武器だ。しかし、薙刀はその反対。一撃一撃の威力よりも早さを生かした多段ヒットの連続攻撃を主軸とする。矛はその中間。特に目立った突出した部分はない。

 それに対し、攻めに転じた俺は左右から二振り、前に突き。自分で言うのもなんだけどどハルバードの特性を十二分に生かし戦いをしていると言えるんじゃないか?

「やるではないか‥‥」

「強がらないで十分だよ。去年と同じ。君は俺に敗れる。そして、大切な人も守れない。そんな目じゃね」

トレンツ‥‥ラテン語で激流

トレント(ELDENRING)‥‥英語で激流

英語ラテン語似すぎてない!?


ちなみにこの世界の矛はイメージ青龍偃月刀みたいな感じです。

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