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丗壱話 今後一切、金輪際

「北部での内輪もめで兵を失う訳にはいかない。三万くらいで片づけるぞ」

 灰嶺山脈を抜け疾走していた俺はミナに言った。俺の居城から二千くらい借り出してきた。

「まずは戦いとしないことが先決だが、あのリュミエール兄妹相手だとそうは行かないだろう。ミナの率いる隊でイオ将軍を奪還してくれ」

「‥‥分かりました」

「王とマルム様より伝令! 敵総数は五万五千。将はやはりリュミエールと! 敵は今狼鋼城外にて陣を構え、交戦の構えです!」

「念のため北部より三万を集結させ、俺のもとに呼び出せ。長居はしていられない。もし始まったら一日で決着をつけるぞ」

「続いて東部より! 敵軍と交戦に入った。三日ほどで退けられると!」

「東部両将に連絡。期待している故、焦らずともよいと」


「見えてきました! あれが反乱軍です!」

「ま、()()()を出していた甲斐があったな。葉桜軍」

 そう。俺は未だ光龍国内に留まっていた葉桜軍に声をかけ、反乱鎮圧の手助けをしてほしいと頼み込んでおいたのだ。その甲斐が生きた。

「葉桜軍より伝令! お待ちしておりました。ほぼ決着がついたため、リシュアン殿のお手は煩わせぬと」

「なら横を通り、南都攻めに向かう。北部軍第二将、第三将をここに」


「何でしょうか?」

 少し後にその北部軍の将と軍が現れた。北部軍第二将リア・モタナと第三将リノ・アストレイ。

「リア将軍は南壁を、リノ将軍は西壁を。ミナは東壁、俺は北壁攻めを担う。始まったら十日以内に落とすつもりで戦え」

 走りながら今回の策を伝えた。狼鋼で作らせている車輪移動式攻城櫓が今回の要となる。車輪移動式攻城櫓とは簡単に言ってしまえば井闌車の様なものだ。

 それを今回十台動員する!


「さぁ、始めるぞ! 南都攻略戦! 五日目!」

 成り行きと勢い、それに一つまみの俺の戦術を加えた、雨降る南都攻略戦五日目。開戦。

 俺たち光龍軍はその数を大きく減らし十万。反乱軍鎮圧軍と反乱鎮圧予備軍を置いてきた数だからだ。それに対し、解放軍が六万と城兵五万五千人で十一万五千人。

「今日で決着をつける! 車輪移動式攻城櫓大隊と歩兵大隊を前進させよ! 一気に橋を架ける! 次いで全弓兵大隊に伝令! これより井闌車が通る! 道を開けながら射撃を続けろ! 長梯子隊は城壁四隅に固めてそこから各実に上に上げよ!」

 巻き上がる歓声と共に巨大井闌車が俺の横を通りだした。四十メートル級で正確に測量を差せた密偵からの報告をもとに作らせた。

 轟音が城壁に響いた。木製の橋が掛かり、城壁上に兵が渡りだした。四隅に並べた長梯子隊は既に階段周辺を制圧。それは城門が開門するという事だ。

 気が掛かりなのは俺の正面の門に未だ橋が掛かっているという事だ。水堀は跳ね橋形状の橋で繋がれているのだが、俺の正面だけ、橋が上がっていない。

「正面城門開きます!」

 何!?

「弓隊を下がらせて歩兵大隊を! 騎馬が来るぞ!」

 すると城門から俺の予想と違わず、騎馬大隊が出てきた。東壁、西壁も同じように歓声が上がっているところ、同じように騎馬隊が出てきたという事か!

「ダメです! 歩兵大隊間に合いません!」

「弓兵に遠射を止めさせ、近距離防御射撃に移れと!」

 砂煙と共に現れた氷晶騎兵大隊。氷晶騎兵最大の特徴はその機動力の高さと走破性、速度。雪山での軍事演習が殆どのため、雪に負けない走破性や山間での機動能力が高く、光龍国東部精鋭騎兵団に匹敵する。

 しかし、今回おかしいのは、一目散に俺に向けて騎馬大隊が走り出した事か。

「北方より解放軍一万二千向かって来ます!」

「正面より騎馬大隊六千来ます!」

「〈葬獄〉に伝令! 俺と共に城門を潜る故、準備せよと!」

「城門を潜る!?」

「ああ、正面の城門から兵が出てきたという事は、余程の決死隊でない限りは場内に戻るつもりがあるという事だ。それであれば城門は開けておくしかない。速さで俺はそこを潜り抜ける!」

「解放軍! 周囲外周部隊が接敵します!」

「ここに居ては危険だ! 俺について来る者はついて来い! 付いてこないものは東側に新しく本陣を敷き、指揮を取れ! 行くぞ! 〈葬獄〉!」

 走り出した俺について来るのか、その率いる兵は城門を潜るころには二千弱まで膨れ上がっていた。


 ♦♦♦


「勝手に退がるとはどういう案件か⁉ レン・フーラン将軍!」

「言ったはずです。炎獄とは手切りいたす故、如何なる質問も受け付ける訳にはいかないと」

「ふざけるな! 貴様、此度の戦の重大さが分かっていたのか⁉」

「ええ、分かっていましたとも。しかし、私の命や十万の翆玲兵の命を投げうって戦うほどの意味を見出せませんでしたね」

「では、我らの将軍らの死は何だったのか⁉ 我らは国の軍の象徴である五将のうち二将を失ったのだぞ!」

「そんなこと知ったことか! 我らは我らの戦い方で戦い、負けた。そして、そちらは将が死んだ! その責を我らに擦り付けるとでも!? もういいです! しかし、これだけは頭に入れておきなさい! 今後一切、金輪際、炎獄とは盟もなにも結ばない! 次に我らの標的となる国は炎獄であると!」

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