枝先の恋
春の恋とは なんと心もとないものだろう
枝先の小さな花のようだ
向けられた熱い瞳にときめいた
その瞬間 身も心も薄紅色に染まり
悪戯な風に弄ばれ 揺さぶられる
それでも踊らずには いられない
はらはらと心乱そうとも はかなくとも
あの眼差しに恋した自分がいけないのだ
つなぎ止める手練手管も知りはしないのに
仕方なし
その報いは 甘んじて受け止めねばなるまいか
でも この想いが散るとばかりは限らない
花は散りても その後には若葉が萌ゆる
その瑞々しさ まぶしさに あの瞳が心惹かれぬとは言えないだろう
浮き立つような華やかさのかわりに 木陰の風に爽やかさを感じるのも一興と
微笑んでくれるかもしれない
移ろう季節と共に 私は成長する
来年は もっと美しい姿をあなたに見せてあげよう
だから
移り変わる私のすべてを愛でて欲しいと願うのは 傲慢なのであろうか
風に揺れる桜の枝を観ていたら、ふと……。