表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/10

4.ドクター・ドゥーサ。

息切れしてきた(モンエナ飲み、執筆

ランキング頑張ってます! 応援よろしくです!!









 アグニスを呼びに部屋を出ると、そこにはもう一人の男性がいた。

 白衣をまとった優男。眼鏡をかけている細い目をした彼は、こちらを見ると恭しく礼をした。それでアグニスも俺とライスに気付いたらしい。

 こちらを見て、こう言った。



「悪いな、医者様がきたんだ」

「そっか。それじゃ、今日はこれで帰ることにするさ」



 なので、俺はライスと互いを確認してから答える。

 これから治療ということは、あまり騒がしいと邪魔になってしまうだろう。そう思って言うと、医者様と呼ばれた男性は申し訳なさそうに頬を掻いた。



「すみません。この病は、私でも手を焼くものでして……」

「ん、パラライズ症候群のことか? でも、原因が分からないって――」

「あぁ、そのことなんだがな。このドゥーサ先生は、王都で初めてパラライズ症候群の治療に成功したらしいんだ」

「あはは。まだ、研究段階ですけど、ね……」



 俺の疑問にアグニスが答え、医者――ドゥーサはまた苦笑い。

 しかし、この情報はとかく貴重だった。それに話が本当だとしたら、ニアの病気は完治に向かうかもしれない。

 俺とライスは顔を見合わせて、同じ思いを抱いた。

 安堵とはまさしく、このことを言うのだろう。



「それじゃ、なおさら邪魔だな。俺たちは帰るよ」

「あぁ、今日はありがとうな」



 なるべく早く退散した方がいい。

 そう考えて、俺とライスはアグニスたちにそう告げた。

 そして、ひとまず各々の家路に就く。だが――。



「どうした、ライス……?」

「え……? あ、いや。なにか変な靄が見えて……」



 家を出た直後のことだ。

 ライスはアグニスの家を見ながら、そう口にする。



「靄……?」

「えっと、信じてもらえないと思うんですけど――」




 そして、どこか困ったように俺に告げるのだった。









「それで、どうなんだ。ドゥーサ先生」

「これはかなり、重度ですね」

「…………」




 診察を終えた医者を出迎え、アグニスは訊ねる。

 しかし、返ってきた答えが芳しくなく、すぐに沈黙してしまった。

 それでもドゥーサは、気持ちを切り替えるように彼へ一つの提案をする。



「もし、なのですけれど――」



 思い悩むようにして。



「金貨五十枚ほどあれば、相応の量の薬が用意できるかもしれません」――と。



 金額を聞いて、表情を強張らせるアグニス。

 何故なら金貨五十枚となれば、冒険者が一年かけて稼ぐ大金だったからだ。それを聞いたアグニスの心には、ルクシオに敗北する前のような焦りが生まれる。

 拳を震わせ、うつむいてしまった。


 だが――。




「ですが、用意いただければ確実にニアちゃんは治りますよ」




 それに反して、ドゥーサはどういうわけか。

 アグニスに見えない角度で、口角を大きく歪めるのだった。



 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です(◍•ᴗ•◍) [一言] 気づいて! ・原因不明 ・研究段階 ・治療成功 揃っている中で最後だけおかしい事実に……!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ