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1.貴族たちが追いつめられる裏側で。

ここから第1章。

どうして国王陛下にバレたのか、って話ですね(*‘ω‘ *)

あとがきをお読みいただき、応援いただけると幸いです!








「スズカの勇気のおかげで、性根の腐った貴族をあぶり出せましたわ」

「い、いえ……! ボクはただ、アインズワークさんを救えなかったから。それで責任を感じて、ようやく動いただけなので……」

「それも、近いうちに杞憂に変わるでしょう。彼――ルクシオ・アインズワークの捜索には、国が全力を挙げていますから」

「そうなの、ですか……?」




 ――王城の一室。

 よく晴れた日、ベランダで二人の少女が茶会を開いていた。

 一人はルクシオ追放の日に涙していた下級貴族の少女、スズカ。もう一人は金の髪をなびかせ、どこか不敵に紫の目を細める美少女だ。


 彼女の名は、エアリス・ガリア・リーデルハルト。

 この王国ガリアの第一王女であり、王都立学園におけるスズカの先輩だった。



「それにしても、あの日は突然に声をかけられて驚きましたわ。スズカのことは知っていましたが、積極的に声をかけてきたことはありませんでしたから」

「はい……。あの時は、とにかく必死で……」



 だが二人の仲が近くなったのも、ここ数日のこと。

 ルクシオが学園を去った後、スズカは耐えられずにエアリスに陳情したのだった。自身がイジメを受けていたこと。

 そして、少年が不当な扱いを受けて退学処分となったことを。



「でも、どうして信じてくださったのですか……?」



 だが、スズカは不思議で仕方なかった。

 自分とエアリスの接点は、今までほとんどない。

 そんな相手の言葉を聞き入れて、王女はさらに国王へ伝えた。普通ではありえない。ことさら迅速に話が進んだことも、少女は首を傾げていた。


 すると、そんなスズカを見たエアリスは小さく笑んで語る。



「いつかのことでしたか、ね。スズカ――学園の中庭で、歌っていたでしょう?」

「へ……? え、もしかして――」

「はい。聴かせていただきましたわ」

「…………!?」



 それを聞いた少女は、途端に顔を真っ赤にした。

 王女はそんな相手を見てくすくすと笑い、優しい声でこう言うのだ。



「とても、綺麗な歌声でした。心が澄み渡るような、そんな歌声」

「そ、そんな……!」

「あの時からですよ? わたくし――」



 にっこりと、心からの尊敬を抱いたように。



「スズカの、ファンになったのです」――と。



 それを聞いたスズカは、完全に硬直した。

 視線を泳がせ、どこか落ち着かない。


 だがエアリスはそんな少女に、こう願うのだ。



「せっかくですし、あの時の唄――聞かせてくださいませんか?」

「は、はい……!」



 緊張した面持ちで、しかしゆっくりと深呼吸したスズカは歌い始める。

 美しい歌声は、次第に大きくなっていった。


 心が洗われるような彼女のそれを聴きながら、エアリスは小さく呟くのだ。



「さて――」




 一口、紅茶を啜ってから。





「このように素晴らしい女の子を放って、その御仁はいま、どこにいるのでしょうね……?」――と。




 


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