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5/10

4.決着と、一方その頃。

ここまでがオープニング(*‘ω‘ *)

あとがきもお読みください。

応援よろしくお願いいたします!!










 ――戦いを終えて。



「……おい。一つ質問だ、ルクシオ」

「なんだ?」



 アグニスは、ふと俺にこう訊ねた。



「【加速】した俺の攻撃、どうやって捌いた?」――と。



 それを問われて、俺はやや自嘲気味に笑った。

 何故なら、今回の勝負は本当に『相性』が決め手になったのだから。俺はもう大丈夫だろうと思い、種明かしをすることにした。



「あぁ、俺のスキルは【変速】っていうのでさ。あらゆる物の速度を自在に操ることができるんだ」――と。



 ――【変速】スキル。

 その名の通り、この力はあらゆる速度を変えることができる。

 例えばアグニスが【加速】で素早く移動したように、俺もまたそれが可能。それに加えて、対象の動きを遅くすることだって、できてしまうのだ。



「へっ……なるほど、な」



 だからこの力を使った戦闘は、ほとんど反則だと思う。

 それこそ、卑怯者の謗りを受けても仕方ない。

 そう思った。だが――。



「いいや……。それでも、負けは負け、だな」



 アグニスは、どこか晴れやかにそう口にした。



「そう言ってもらえると、安心するよ」



 俺が素直な心境を吐露すると、アグニスは少しだけニヤリと笑う。どうやら彼は貴族たちのように、勝負の後になって不平不満を口にする性格ではないようだった。そのことにも安堵しつつ、手を差し伸べる。


 すると彼は、少し意外そうな顔をした。



「なんのつもりだ?」

「いや、単純にオッサンを認めただけだよ。スゲェ破壊力だったし、少しでも気を抜けば、俺の身体は木っ端微塵にされてただろうし」

「けっ……。そう言うなら、呼吸の一つくらい乱せっての」



 彼はそう言うと、若干だがへそを曲げてしまった。

 俺はそんな相手の態度に苦笑いしつつ、しかし正直に評価する。



「いいや、必死だったさ。だってアグニスのオッサンは、俺に――」



 自然と、小さな笑みを浮かべながら。




「スキルを使わせた『二人目』の相手、だからな」――と。





 間違いない。

 この戦いでは、俺のスキル――【変速】を駆使しなければ、勝てなかった。

 だから、心の底から相手を讃える。



 そのつもりだったが、アグニスは呆れたように笑って言うのだった。




「馬鹿野郎。ルクシオ、テメェ――」




 俺の手を取りながら。




「まだ、本気の欠片も出してなかっただろうが」――と。









 ――一方その頃。




「説明をしてもらおうか。学園長よ」

「ひ、ひぃぃぃ……!?」



 王城の謁見の間では、王都立学園の長が詰問を受けていた。

 いいや、彼だけではない。その場にいるのはルクシオを追放した際、あの部屋にいた貴族全員であった。彼らは大量の汗を流しながら、視線を泳がせる。


 そんな彼らに向かって、一人の男性――国王リガルドは告げた。




「ルクシオ・アインズワークは、我が直々に学園に招いた生徒である。類稀な才気に満ちた少年を何故、退学処分としたのか――その理由を述べよ」




 訊かずとも分かっている。

 しかし、あえて彼らの口から語らせよう。

 そんなリガルドの思惑が見えた。だが、それを感じ取る余裕もなく――。



「あ、あの少年は素行に問題がありまして! 指導しても改善が見られなかったため、私どもから退学勧告を――」



 そう語ったのは、一人の貴族。

 しかし、彼の言葉を遮ってリガルドは声を張り上げた。



「何が素行不良か! ルクシオに救われたと、我に報告に上がった女生徒がいるぞ! 聞くところによれば、素行に問題があったのはむしろ貴族側ではないか!?」

「ひ、ひぃぃ!?」



 その一喝に全員が震え上がる。

 沈黙し、やがて誰もが気力を失ったように頭を垂れた。

 そんな彼らに呆れたのか、国王は大きなため息をついて告げる。



「仕方ない。一度だけ、機会を与えようではないか」



 まったく期待しない声色で。




「すぐに、ルクシオを探し出せ。そして連れ戻すのだ!」――と。







 リガルド国王の情状酌量。

 貴族たちはあまりに情けなく、涙目でそれに頷くのだった……。




 


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[一言] クズ犯罪者と馴れ合ってて気色悪い
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