3.勝敗。
大谷さんの打席見てて投稿が遅れる、というww
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「なんだぁ!? あのガキも、アグニスみたいに姿が見えなくなったぞ!?」
「同じスキル――いいや。スキルは個々に必ず違うはずだろ!」
「だったら、アイツはなんだっていうんだ!?」
ルクシオの姿が掻き消え、アグニスの後方に現れたことに観衆はざわつく。本当に瞬きの間の出来事だった。少年は男によって、叩き潰されたはず。
それなのに、どうして悠然として舞台の反対側に立っているのか。
そのカラクリを理解できるものはいなかった。
ただ一人――。
「すごい……!」
一人の少年――ライスを除いては。
彼の目には、はっきりと見えていた。
アグニスが【加速】を用いて、ルクシオに肉薄したこと。そして拳を振り下ろそうとした瞬間に、ルクシオを中心とする時間が急激に遅くなったことが……。
身体は、その時間に逆らうことはできない。
だがライスの眼は、確実にルクシオのスキルを【認識】していた。
「この人の力は、すごい……!」
ルクシオは、周囲のあらゆる物体の速度を変える。
そして己の身体の速度さえ操り、アグニスを完全に出し抜いてみせたのだ。それだけではない。ライスの眼には、ルクシオの技量さえも視えていた。
「スキルだけ、じゃない……」
このルクシオという人物は、間違いなく規格外だ、と。
それを認識したライスは、息を呑むのだった。
◆
「面白れぇ……! 面白れぇぞ、くそガキィ!!」
いくら【加速】しても捉えられない相手に、アグニスは奮い立つ。
こんな感覚は久しぶりだった。
自分に歯向かい、さらには出し抜いてみせるなど。
肌を刺すような緊張感が懐かしい。何度拳を振るえども、寸でのところで回避される。さらに、ルクシオの繰り出す剣はとかく的確だった。
狙いすましたように、アグニスの嫌なところを攻め立てる。彼もギリギリで躱してみせるが、次第に劣勢に立たされているのは明らかだった。
それでも、負けられない。
アグニスはそう心を燃え上がらせ、一か八かの賭けに出た。
「オラァァァァァァァ!!」
――獅子の如く、吼える。
そして、狙ったのはルクシオの足元。
躱されるのであれば、その動きを封じてしまえばいい。渾身の力で石造りの舞台を粉砕して、少年の身動きに制限をかけた。
すると思惑は的中し、ルクシオは眉をひそめて体勢を崩す。
その上で再度、アグニスは【加速】した。
「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
そして今度こそ、ルクシオの生意気な顔に一撃を叩き込む!
「――――なっ!?」
――が、しかし。
確実に捉えた。
そう思った瞬間に、少年の声が聞こえたのは――。
「悪いな、オッサン。アンタもすげぇけど、俺とは『相性最悪』だよ」
拳を突き出したアグニスの、背後から。
耳を疑った。だが大男はすぐに反応して、振り返ろうとする。
だが――。
「俺の勝ち、だな?」
ルクシオがアグニスの首筋に剣をあてがって、そう宣言した。
それは、誰の目にも明らかな決着。
アグニスの頬に冷や汗が伝った。
スキルの反動か、あるいは緊張の糸が切れたからか。
大男はその場に尻餅をつき、自身の顔を手で覆う。そして、認めた。
「あぁ、テメェの勝ちだ。……ルクシオ!」――と。
その宣言を聞いて、ルクシオは剣を仕舞って一息つく。
しばしの沈黙があって。
周囲からは、どよめき混じりの歓声が上がるのだった。
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