12-06
『不審な遺体の発見相次ぐ』
『十二月二十四日、――市の路上で女性が倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。
警察によると死因は失血性ショックによる多臓器不全と判明した。女性は二十歳から三十歳代くらい、身長165センチの赤い長髪で白いシャツ、黒いズボンと靴を着用していたということで、警察が身元の確認を進めている。
十八日には同市の路上で女性が倒れているとの通報があり、死亡が確認されている。
警察によると失血性ショックによる多臓器不全と判明した。女性は十歳代後半から二十歳代くらい、身長160センチ、黒のジャケット、青いスカートと黒い靴を着用していたということで、警察が身元の確認を進めている。
同市での同様の死因による遺体の発覚はこれまで――件報告されていることを受け、警察は殺人事件の可能性もあるとして捜査していることが分かった。
警察は、殺害方法は特定できていないとしている。』
病室で新聞を読む老婦は、思わず新聞をめくる手を止めた。それは地域面に記された不審死を告げるニュースである。
老婦はじっと記事を眺めると、やがてため息を吐いて新聞を丁寧に折り畳んだ。新聞にハンドクリームの痕が残ろうが、とやかく言う小さな探偵たちはもういないだろう。
そういえば、あの夕焼けのような茜色の髪の看護師もあれ以来姿を見せない。彼女もまた只人ではなかったようだから事情があるのだろう。
目を閉じると、つい一週間前の出来事が思い出される。あの日は本当に異常な出来事ばかりで、未だに夢だったのではないかと疑わしい。
あの夜、夕方にも会った少年とともに、少女はほとんどあの日の姿のまま現れた。
ずっと昔の話だ。ずっと憧れていた彼女はどこかに行ってしまった。老婦は酷く後悔していた。だから、次に会えたら絶対に手を伸ばさなければと、そうずっと思って――。
彼女が最期に時間を共にする相手に自分を選んだのなら、それは光栄なことだと思う。そんなふうに捉えたら、彼女はまた怒って訂正するだろうか。
そんな想像をして、老婦は一人ふふっと笑う。細めた目尻から温かい涙が伝っていった。静かな病室だが、彼女のか細い独り言は誰にも聴こえなかった。それは祈りのような、縋るような――そんな独り言だった。
「ゆきちゃん――」




