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8.最初の記憶

 人族の女性が創造主の前に立っている。私は創造主の手の中にある。人族の少年の姿をした創造主はたった今私を創り出したのだが、私は既に私が何なのか、創造主が如何なる存在なのかと言った必要と思われる様々な知識を与えられている。


 …与えられた情報の中に読み取る事が出来ない領域を確認。私の名称と機能に関する情報が一部制限されている。如何なる理由によるものか。そもそも私に意思と知性がある理由が不明である。与えられた知識の中には該当する情報が無い。


「はい、お姉さんにこの剣あげる。」


 創造主が私を女性に手渡す。


「今どこからこの剣取り出したの…。あら、見た目は悪く無いわね。私好みよ。でも本当に大丈夫なの?古竜の素材で作った剣でも駄目だったんだけど。」


「うん、さっき言った通り、お姉さんが何より欲しがってた、お姉さんが全力を出しても耐えられる剣だよ。この剣ならお姉さんがどんなに暴れても大丈夫。むしろ壊せたら大したものだよ。おまけに切れ味も保証しとくから。」


『創造主よ、質問があります。』


「なんだい?」


「ちょ、ちょっと、いまこの剣喋らなかった?」


『何故私を知性と意思を持つ存在として創造されたのでしょうか?』


「深い理由は無いよ。今魔導帝国でインテリジェンスウェポン、ていう限定されてるけど知性を持ってて持ち主をサポートする武器が開発されてるんだけど、それを見て剣が考えたり喋ったりしたら面白いかなって思っただけだから。』


『…それだけですか?』


「それだけです。」


『…私の名称及び機能に関する情報が一部読み取れません。』


「当分の間君には必要の無い情報だからね。必要な時が来たら制限が解除されるから大丈夫。」


『…何故その様な事をするのか理解出来ません。』


「まあ敢えて言うならこの方が今後の展開が僕好みになるから、かな。別に君に意思が無くても歴史の修正力が働いて大筋に変わりは無いんだけど、こっちの方が話が盛り上がって面白くなりそうだからね。」


「おいコラお前ら私を無視するな。」


「ごめんごめんお姉さん。じゃあこの剣よろしくね。」


「ちょ、待ちなさいよ、変な物押し付けないでよ。」


『変な物ではありません。私は…。』


「あんたはちょっと黙ってなさい。大体突然現れて私が使える剣くれるとか何なのよ。何が目的なの?」


「別にお姉さんを騙そうとかそう言うつもりは無いから、安心してくれていいよ。お姉さんにその剣を渡すのはその剣を完成させる為さ。その剣には凄い能力があるんだけど、まだ白紙の状態だからお姉さんに使ってもらう必要があるんだよ。何しろお姉さんははっきり言ってこの世界のこれまでの歴史で最強の戦士だし、お姉さんより強い人は今後四百年近く生まれないからね。何の技能であれ神の域に片足突っ込んでる人間なんて本当に珍しいんだよ。」


「まるで神様みたいなこと言うのね。凄い能力?何よそれ。武器の力に頼る気は無いわよ。」


「凄いと言ってもお姉さんにとっては意味のない能力だよ。お姉さんが持ってる限りその剣はただ頑丈で切れ味の良い喋る剣さ。お姉さんはその剣で好きな様に戦ってくれればいい。」


「喋るってところは余計でしょ。あなたが何言ってるのかさっぱり分からないんだけど。」


「…もうすぐこの世界全てを巻き込む大きな戦いが起こる。戦いその物は避けられないから、被害を減らす為に色々手を打ってるんだけどこれもその一つさ。お姉さんがその剣を持ってれば、犠牲者はかなり減らせる筈なんだ。まあ、その剣が本当に必要になるのはお姉さんがいなくなった後、ずっと未来の話なんだけど、だからこそ今お姉さんにその剣を渡さなきゃならないんだよ。」


「はあ、やっぱり分かんない。まあいいわ。とにかくこの剣使って戦えばいいのね?」


「うん、そうしてくれると助かるよ。それにその剣は喋る他にも色々な事が出来るから、戦い以外でもお姉さんの役に立つよ。例えばお酒を飲んでぐでんぐでんに酔っちゃった時とか。」


「何よそれ。私だらしなく酔っぱらったりしないわよ。」


 …この言葉が大嘘である事はその日の内に判明したんだったな、そういえば。

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