記録①
本編一章を読み終えた後で読むとより楽しんでいただけるのではないかと思います。
伏線も下手ですが張ってありますのでそれも踏まえて読んでいただければ嬉しいです。
おはよう観測者よ。
君にとって今の時間が早いか早くないか、そんなのは問題じゃあない。
君の生きる時、そのすべてが我々からしたら早すぎる。
21世紀初頭だったか…。
よくその早さで覗けるとは感心している。
我々は観測者だ。
互いに干渉できず、干渉されない。
だが、敢えて名乗ろう。
私は"フェムト"
君たちとはまた違う視点で戦いを見守る者だ。
早速本題に移ろう。
まず、君たちは多くの疑問を持っているだろう。
当然だ。
時が違うとは世界が違うといってもいい。
それが遠ければ遠い程な。
だからこうして私が禁忌を破り干渉した。
だが、あくまでこの接触は一方通行であると頭に入れておいてほしい。
つまり君たちのことは歴史的資料の基にしか推測できない。
…なあに。心配する必要はない。
与えるものはすでに決まっているからな。
"アークフォトン"
君たちが知るべきものはそれだ。
とはいえ君たちの時代に合わせるなら、"エーテル"、"ダークマター"、"魔素"…
…いや忘れてくれ。
どれも状態を表すには不十分な情報だ。
最も端的に言うなら、アークフォトンとは新たなエネルギーの形だ。
そのレンズがプロトタイプでなければ、指向性を変更しその根源を…。
まあいい。
ともかく、その新たなエネルギーは第三次世界大戦に投入されることになる。
君たちからすれば遠い未来の話だが、私から見れば遠い過去の話だ。
ここで一つ君たちの思慮を訂正するなら、誰かがそれを生み出したんじゃない。
始めからそこに在ったんだ。
そこに有も無もない。在るという真実だけだ。
故にその資源に有限も無限もない。
まあ資源だけが戦争の動機じゃないということさ。
敢えていうなれば、その戦争は起こるべくして起こったということだ。
これ以上は言えない。
言ってしまえば分岐が増えてしまうからね。
…というわけで戦争は起こった。
起こってしまったことは仕方がない。
それについて嘆いたところで結果が変わるわけではない。
我々はそういう生き物だ。
そういう生き方しかできない。
最初は小さな過ちだった。
誰しも思ったことがあるだろう。
"巨大な兵器を使えば敵を一掃できる"と。
ただ、巨大な銃、巨大な戦車、巨大な戦闘機…
誰も"巨人"を作ろうとは思はないだろう。
なぜなら人は銃よりも弱いからだ。
…ただ、どこかの奇人か創ってしまった。
そう。巨人をだ。
いや、そうじゃない。
まだメイガスは出てこない。
あれはまだ少し先の話だ。
アークフォトンはまだ人類のものじゃなかったからね。
最初は、
"ライゼクス"
そう呼ばれていた。
汎用人型決戦兵器。
何と決戦していたかは君たちの想像に任せるが…
まあ、次第にわかるだろう。
とはいえ、この機体は重要な欠陥を抱えていた。
それは……
おっと。
時間が来たようだ。
これ以上は話すことができない。
だが、いずれ機械は訪れるだろう。
君たちが観測を続ける限り。
また会おう、信頼なるプロトタイプたちよ。
未来より、愛をこめて。