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天の川で夜釣りを_3

「ほら、央くんも聞こえるでしょ?」


央くんは口を半開きにして、音のする方を見ている。


「でも、そっちが怖いんだ。」


私は、央くんが額に大量の汗をかいているのに気付いた。


「大丈夫だよ。一緒に行こう」


央くんがちっとも動かない。私は、央くんにもう一度呼び掛ける。


「お母さん、待ってるよ」


その時、僅かに誰かの声がした。私には、男の人の笑い声にも聞こえる。合間には、ゴボゴボボと流れの悪い排水口のような音も聞こえた。


「お袋だ!!」


いきなり央くんが叫んだ。

良く耳を済ましても私には気持ち悪い笑い声と水の音しか聞こえない。


「お袋だ!やっぱりお袋の声だ!!」


そう言うと央くんは全速力で走り出した。私も必死に追いかける。


「待って、待ってよ央くん!」


私の声など聞こえていないようだ。とても速い。


暫く追いかけていると、央くんも疲れたのかだんだん速度が落ちてきた。

もう少しで追い付く...。私は横っ腹を手で押さえて、もう一度速度をあげる。


「央くん!!」


最後の力を振り絞って呼び止める。

それでも央くんは止まらない。ゆっくり、ゆっくり前へ進む。


行かないで...、行かないで...


私は心の中で本音を何度も呟いた。

最後にせめて振り向いて欲しかった......


央くんの体がだんだん小さくなる。最後はまるで水に沈んでしまったかのようにボヤけていった。


身体中が痛い、心も....痛い...。


何とも言えない息苦しさの中で私の意識が遠退いていく。


「おい!おい!」


聞き覚えのある声がする。誰だろうか?

返事をしようとは思うけど眠たくて仕方がない。

ごめんなさい...

天の川で夜釣りを_4に続きます

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