天計ダイヤグラム
足を踏み入れた森林公園は
細やかな鳥歌に
しっとりとした日光を
届けていた
紙のページをめくる風を
顔の横に感じて
手を動かしながら
文字を追った
レジャーシートに座って
流れる時間を捧げる
何回も読んだ本は
風のリズムと
同じスピードで
番号を数える
目から入るというより
頭の中で開かれて行く
知らないから
読むのでは無い
読みたいから
読み入るのだ
曇り空に変わり
日光のスタンドライトは
明るさを弱くする
冷たい空気が
鼻から入ると
雨が降るのだと分かった
残り数ページで
読むのをやめて
レジャーシートを畳み
その場所を後にする
誰かに言われたとしたら
森に言われたのだ
雨が降ると
辿り着いた車に乗れば
フロントガラスに
雨粒音が
プロローグのように
落ち始めた
海月になって広がり
水槽の中へと
誘われている
エンジンをかけて
ワイパーで拭きながら
駐車場を抜け出て行く
頭上の音は
跳ね上がりながら
雨粒の大きさを伝える
いつまで降り続くか分からない
クライマックスのシーンは
終わるのだろうが
それを決めるのは
僕では無いのだ