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スマホチートで異世界を生きる  作者: マルチなロビー
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42話 見惚れるその服装

 侍女の人がやってきて報酬を受け取って宿屋へ戻って良いと言われ、王宮を後にしようかとしていると、侍女の人が数日後に行われるパーティーに参加するようにと言ってきた。

 取り敢えず今日はこれで終了だが、侍女の人が少しだけ困ったような顔をしたのを見逃さなかった。

 何が困っているのか尋ねてみると、パーティーということでそれなり着飾る必要があるらしく、冒険者の自分達の服装で出席する訳にはいかないらしい。そのため、専用の服を作らなければならないから困った顔をしていたようだった。

 服を新調するのにはそれなりにお金が掛かる。

 何故かというと、この世界では既製品の服などは売っていないためオーダーメイドで服を作らなければならず、全員分の採寸をしなければならいため、それなりに時間がかかってしまうからである。

 自分一人だけならば執事のようなオッサンが簡単に図ることができるのだが、女性陣はそのような訳にはいかない。そのため、四人は別室へと服を作るために連れて行かれた。

 サイズを測る作業は簡単に終わり、オッサンさっさと出ていってしまったため、皆が戻ってくるのを待っていると、アルが初めに戻ってきた。

 少し離れた場所にアルは座り、こちらをチラチラ見ている。何か言いたいことでもあるのだろうかと思い、あるに話しかけてみた。


「どうした? 何か聞きたい事でもあるのか?」


 待っている間、かなり暇だったのでソファーをベッドで横になるかのようにして、スマホを弄りアルの方に顔を向けない。


「い、色々助けてくれたことは感謝してるし、魔法だって教えてくれたのも感謝してる」


 その言葉であるが何を痛いのか理解できた。これは別れの言葉である。

 何か言ったほうが良いのかと思ったが、最後まで話を聞いてからにした。


「で、でも、これ以上怖い思いをするのは……そ、その……」


 寝転がりながら聞くような話ではないと思い、身体を起こしてアルの方に身体を向けて座り直して質問する。


「ふ〜ん。で、怖くなったので冒険者としての生活を辞めたくなったのか?」


 その言葉にアルは怯えるようにして頷いた。アルの目には涙が溜まっており、いつ零れてもおかしくはない。この沈黙が漂う空気をかき消すかのように深く溜め息を吐いた。


「別にどうしようと構わないだろ。アルの思った通りにすれば良いし、辞めたければ勝手に辞めれば良いんじゃないか? とは言っても、今すぐお別れって訳にも行かないのはアルだって理解しているだろ?」


 頭の中では理解しているらしく、アルは頷く。すると、目元に溜まっていた涙が溢れ始めた。最初から無理だということは分かっていたが、自分ができるのは冒険者として生きていくことだけである……。

 今すぐ冒険者を辞めさせてあげたいが、数日間は我慢してもらわなければならない。何故なら、王宮での用事が済んでいないからだ。だが、適当な理由をつければなんとかなるはずだ。


「まぁ、今すぐにでも辞めたいというのなら何とかするけど、その能力はどうする? 俺は今のままにしておいた方が良いと思うけど」


「――何故……ですか? この力があるから……」


 課金したステータスを元の状態に戻すことは以前、アルにも説明してある。


「誰かを守るのには、力が必要になる場合があるってことだよ。いつかアルに恋人や家族ができたとき……例えば、この間のようなことや、今回みたいな事が起きた場合の話だよ。結局のところ、町に住んでいる限りリヒテンブルクで起きたような出来事……回りくど言い方は面倒だから簡単に言うと、何処に住んでも魔物の群れに襲われる可能性は否めない。その時、俺たちが側に居るとは限らないだろ? だったら、誰かが周りを助ける必要があると思わないか? もしくは恋人や家族を守るのには、最低限だれかを守れる力が必要と思わないか?」


 アルの容姿であるならば、近いうちに誰かと添い遂げる事が出来るだろう。


 一応、「アルが望まないと言うのなら、別に良いけど」と、付け足して再びソファーに寝転がり、昼寝を始める。ここから先についてはアル個人で判断しなければならない。

 自分がアルにできるのは助け船? 助言? その程度の事くらいしかできない。

 暫くしてシールスが部屋に戻り、元盗賊の女が戻ってきた。だが、アオはなかなか戻ってこない。多分、尻尾の位置に時間がかかっているのだろう。

 戻ってきた二人が部屋の椅子に腰掛けると、こちらの雰囲気の変化に気がついたらしく、元盗賊の女が「何かあったの?」と、聞いてきた。

 二人にアルが俯いている理由を説明すると、二人はホッと息を吐いた。二人はどうやら勘違いしていたらしく、誰もいないことを良いことに、アルに変なことをしたのではないかと思っていたらしい。

 自分はこいつらにどう思われているのかよく分かったが、自分達の立場ってやつを理解しているのだろうか。こいつらよりも自分の方が真っ当な人間なはずなのだが……。


「それで、アンタの言う『なんとかする』って、どんなことをするのよ?」


 偉そうな態度で元盗賊の女が聞いてくる。


「お前のようなゴミ虫に説明する義理は無い」


 冷たく突き放すと、「グッ!!」と、殴りかかろうとする素振りを見せるのだが、歯が立たないことを理解しているのか、睨み付けてくる元盗賊の女。

 シールスは、アルとそれなりに仲が良かったらしく、こちらのことを気にしないで別れを惜しんでいた。


 それから暫くしてアオが部屋へと戻ってくると、侍女らしき女性の案内で王宮の入り口まで案内され、兵士に馬車で宿屋間で送られることを説明される。

 兵士が馬車を引き連れてやって来ると、侍女らしき女性が馬車の扉を開けてくれたので入り込む。馬車の中では嬉しそうな顔をしてドレスの説明をしてくるアオに対し、三人は黄昏れるように外を見ていた。

 時折、アルはアオの無邪気さが羨ましそうな表情している。しかし、アル自身が選んだ道なので、そのような目でアオを見るのはどうかと思った。


 暫くして馬車が宿屋へ付いたのでお礼を言って馬車から降り、部屋へと戻っていく。そして、アオを椅子に座らせてアルの事を説明する。


「まぁ、アル様には冒険者として生活をするのは少し厳しかったですかねぇ。ですが、アオはリョータ様と一緒にいる人生しか考えられませんので、そのような不安は不要です。しかし、あの御二方は以下がされるのですか? 元盗賊の御二方は、全くリョータ様のお役に立てるようには想えないのですが……」


 元盗賊の二人とは、シールスとあの女を指しているのだろう。

 それについては本人だけしか分からないが、一人で冒険者稼業をして行くとしたらまだまだ弱過ぎて話にならない。

 一人は盗賊の頭領を務めていたのだから、それなりになんとかできるレベルだろうし、話によれば魔法を使うことができるらしいが、それでもまだ弱い。

 強さについての基準は、自分のステータスを基準としているためアテにはならない。


 そんな話をしていると、扉をノックされたので、アオが座っていた椅子から降りて扉の方へ向かい対応する。すると、ノックして来た者と少し会話をして、中に招き入れた。

 話をしていた者はどうやらアルだったらしく、目を合わせると小さく会釈してきたので、取り敢えず椅子に座るようアルに声をかけると、アルは渡していた銃を取り出して差し出してきた。


「リョータさんが言うように、能力はこのままでお願いします。誠に勝手ながら、王宮でのパーティーが終わり次第、私は冒険車としての生活を辞めようと思います……。本当に勝手なことばかり言って申し訳ありません」


 アルは頭を下げて謝罪をするが、別にそれはアルが考えた抜いた結論であり、自分の人生について考えるのはアルしかいない。こちらがどうこう言う話ではないのである。


「分かった。俺達の関係は、王宮のパーティーが終わるまでという事で良いね?」


 銃を受け取り理解を示したかのように話すと、アルは「はい、それで構いません」と、小さく返事をして泣きながら頭を下げた。その瞬間、アルは町娘に戻ったかのように小さくなっているように感じ、冒険者として人生を終わらせていた気がした。

 その晩、ベッドで横になりながらスマホでステータスを少し弄り、この先アルが一人になっても困らないよう調整したあと、ステータス一覧にあったアルの項目をゴミ箱へと移し入れた。

 これでアルは正式な仲間という事ではなくなったと言う訳である。

 翌朝、パーティーの日までは一緒の宿に泊まることで話が付き、アルは出来る限り普段通りに生活を送るよう接してくれた。


 しかし、次の仕事なんて簡単に見つかるはずがない。だってドラゴンを倒したパーティメンバーなのだから、ギルドの中では顔が知れ渡っているのである。

 誘われるとしたら戦闘系の冒険者達ばかりで、町娘として過ごすには程遠いものばかりである。

 アルを仲間にしたがる冒険者たちは、アルが後方支援者だと思い込んでいる人ばかり。確かに回復魔法が使える分、後方支援者と思われるのは間違いではないし、まともに戦闘した事もないので仕方がない。

 だが、そこら辺の冒険者よりもアルの方が能力が高いため後方支援をさせるのは勿体無いし、先日の大会でも勝ち上がっていることを考えれば前衛が適任だろう。

 しかし、アルが求めているのこととは全く別で、接客業をやりたがっているのである。だが、周りは勘違いをしているため、望んだ仕事を探すのに苦労していた。

 徐々にアルの表情が曇り始めるが、それでもアルは弱音を吐くことはなかった。自分なりにどうにかしないといけないと思っているのだろう。

 手伝ってやりたいのは山々だが、どうすることも出来ないという事と、出来たとしてもアオに怨まれる覚悟で動く事しか出来ない。

 そんなアルを見ていて深い溜め息と共に空を見上げると、吐く息がかなり白くなり始めていた。そんなこんなで、当日になっても仕事が見つかることは無かったらしく、アルは落ち込んだ表情をしていた。


「アンタなら何とか出来るんじゃないの?」


 珍しくシールスが話しかけてくる。


「出来たらどうだって言うんだ? それに、言い方は悪いがアルを拾ってやったのは俺だぞ。そこまでやって、これ以上の事をやってやれと? こっちは大飯ぐらいで働かない寄生虫のようなゴミクズを二匹も飼っているんだぞ。人のことをとやかく言う前に、先ずは自分達の身の振り方を考えろよ」


 憎まれ口をたたきながら言うと、シールスは唇を尖らすだけで、それ以上は何も言わない。言っても言い返されてしまうからだろうし、アオが非常に冷たい眼でシールスを睨んでいることに本人も気がついているのだろう。

 迎の馬車がやって来て王宮へと向かい、執事のようなオッサンと、侍女らしき女性が出迎えてくれた。そして、アオたち四人は侍女らしき女性に連れて行かれ、自分は執事のようなオッサンに案内された部屋へ入っていき、仕立てられた服に着替えると、それなりに悪いようには見えなくはないのだが、目付きが悪いので威嚇しているようにみえる。

 この目付きの悪さで、何度もバイトの面接を落とされたのを思い出し、少しだけアルの状況を同情したのは言うまでもない。

 鏡を何度見ても、目付きの悪さが治るわけではないが、どうにかできる方法があるのなら、どうにかしたいものだ……。

 一応、装備していた武器はスマホの中に仕舞ってあるので問題なかったが、スマホを預かると言われたら、どうしようかと少しだけドキドキしたのは内緒である。

 そして、着替えが終わると会場の入り口まで案内されたのだが、他の者たちはまだ着替えの最中らしく、仕方なく一人で会場の中へ入った。

 会場の中は華やかで、色々な料理がテーブルに並べられており、皆が飲み物を片手に話をしている。

 なんだか場違いな場所にきてしまった気がするため会場の隅に立っていると、侍女らしき女性がこちらに気がつき飲み物を持ってきた。

 だが、「あ、お酒はちょっと……」と、お酒は飲めませんアピールをして果物ジュースを頂く。実際、お酒は飲めるのだが、こういう席でお酒を飲んで酔っ払って大失敗なんかしたら目が当てられないし、全ての計画が台無しになってしまう。

 周囲に目を向けると沢山の貴族らしき人たちがこちらをチラチラと見ながら話をしており、なんだか調子が狂うというよりも、気持ち悪い。まるで動物園で珍しい動物を観ている感じがして嫌な気分になる。

 暫くして着替えるために別れた四人がドレス姿で入場してきて、アオのドレス姿があまりにも似合っており見惚れてしまった。

 恥ずかしい話だが、本当に何故アオが自分の奴隷などやっているのだろうと思ってしまうほどだった。周囲の貴族連中も四人をチラチラと観ており、四人の美しさに目を奪われているようだったが、アオの肩には奴隷の紋章があり、それに気が付いた貴族連中たちはアオの存在を無視するかのような態度でアオを除いた三人に声をかけてきた。

 普段はこのような場所に来ることができないため、三人は貴族連中に話しかけられ慣れていないので戸惑っていた。

 その様子を離れた場所で眺めていると、アオが誰かを探すかのように周囲を見渡していたが、人が多く目視で探すのは難しいと判断したのか、目を瞑って『フンフンッ』と、匂いを嗅ぐ仕草をする。

 何を嗅いでいるのか分からないので様子を見守っていると、アオは匂いを嗅ぐ仕草を止めてこちらに顔を向けて近寄ってきた。

 アオが探していた人物は自分だったことに気が付き微笑んでいると、アオも嬉しそうに微笑みながら側までやって来た。いつものように抱き付いて来るのかと思ったが、まるで宝塚の女役の様に礼をする。


「お待たせしてしまい大変申し訳ありません。リョータ様の下僕である、アオ……いえ、私がこの様な場所に来られ、素敵なお召し物を着ることが出来るなんて夢の様でございます。これからもリョータ様のために、私は尽くしていく事をお誓い申し上げます……」


 そう言って深々と頭を下げ、忠誠の言葉を継げてくれたのだった。流石にこの様な場所では何時ものように抱きついて甘えるような事はしてこないで、後ろに控えるかのように立ち、優しく微笑んでいた。


「なぁ、アオ。このジュースに毒が入っているか匂いでわかるか?」


 先程から侍女らしき女性が飲み物を持って近くをウロウロして、飲み終わった人にお代わりするか確認していた。この様なパーティーでは、面倒になる奴は暗殺してしまおうという話は中世のヨーロッパで聞く話だ。

 それにここは元いた世界とは別の世界。言うことを聞かない冒険者や、自分たちの脅威になりそうな奴は殺してしまった方が……と、考える奴が居てもおかしくはない。


「うーん……申し訳ありません。無味無臭の毒もあると聞いております。なんでしたらアオ……私が毒味を致しましょうか?」


 いや、別に毒味などしてもらう必要はないし、アオに何かあったら生きている意味もなくなってしまう。

 内ポケットに仕舞ってあったスマホを取り出し、毒に対抗できるスキルがないか探してみることにした。


 スキルの数は沢山あるため、検索で毒を無効化できるスキルがないかスマホに打ちこんでみると、【毒無効化】というスキルがあるらしく、あらゆる毒に対して全てを無効にできるらしい。

 だが、値段は途轍もなく高く、一人に付与させるにしても10万Gもかかる。しかし、命よりも高いものは無いし、アオならば有無も言わずに毒味をする可能性が高いため、すぐさま購入ボタンを押して自分とアオのステータスに付与されているのか確認してみると、問題なくスキルがステータスに登録されていたのでジュースを飲み干す。

 それを見てアオは目を見開き驚いた顔をしていたのだが、「毒無効化をつけたから大丈夫だよ」と、言うとアオはホッとした顔をして胸を撫で下ろした。

 アオは主人のためなら何でもするといった表情をしているし、実際にそういった行動をしてくれている。全ての中心は主人である自分だという考えなのだろう。

 目の前をチョロチョロしている侍女らしき女性声をかけ、新しいジュースを貰ってもう一杯飲もうとするのだが、侍女らしき女性はアオが見えていないかのように前を素通りしようとする。


「ちょっ、待てよ!」


 元アイドルグループのタクヤさんの言い方を真似して侍女を呼び止めた。


『如何が致しましたか?』


 怪訝な顔をしながら女性は振り向く。


「なんで彼女に飲み物を渡そうとしない」


『だって、それは奴隷ではないですか。お客様の持ち物……』


 奴隷=持ち物と言うのがこの世界の常識らしく、持ち物に対して飲み物を差し出すという行為は無いようだが、そんな事は自分にとって全く関係のない話であって、自分にとってアオは持ち物ではなく、大切な相棒なのだ。


「アオに……彼女にも飲み物を渡せ」


『物に……ですか?』


 その言葉が更に苛立ちを加速させた。


「アオは物じゃない! 俺の大事な相棒だ。それに、俺達は客として招かねているんだ。あんたらはその客を無視するつもりか!」


 そこまで言うと、アオが裾を引っ張る。だが、侍女らしき女性は、一礼して『それは大変失礼致しました。お嬢様、何をお飲みになりますか?』と、飲み物が乗っかったトレイをアオの前に差し出すと、アオは少し怯えた表情でジュースが入ったグラスを手にしてお礼を言う。

 そして……。


『良い主人に飼われましたね』


 さり際に侍女らしき女性は優しい顔してアオに言うと、アオは改めて頭を下げ、小さい声でお礼を言った。侍女らしき女性は、仲間の女性たちに先ほどの件を話したらしく、優しい表情をしてアオにお代わりが必要かどうか尋ねてきた。

 中々出来る侍女らしき女性で良かったと思いながら隅っこで周囲の状況を確認しながら見渡し、パーティーを眺めていると、アオが裾を掴んで小さく引っ張る。


「どうした?」


「あ、ありがとう……ございます……」


 先程の件に対してのお礼なのだろう。少し恥ずかしいのか、頬を赤くし照れながらアオは小さい声で言う。


「まだ数ヶ月しか暮らしてないけど、アオが居る生活は俺にとって大切な時間だ。それを蔑ろにされるのは許されないと思ったからだよ」


 少し照れ臭かったので、そっけなく答える。


「やはりリョータ様に買われ、アオは幸せものです!」


 満面の笑みでアオは言い、自分の側から離れずおしとやかにパーティーを見ている。立食パーティーのため、隅っこの方でアオと談笑しながら食べていると、アオは喋るのをやめて少しだけ険しい表情になった。


「……リョータ様、何やらヤバイ雰囲気ですね……」


 周囲を見ながらアオは言う。


「どうしたって言うんだ?」


 自分はアオのように耳が良いわけではないため、近くの人が喋っている声しか聞こえないし、ヒソヒソ話しされても分からない。


「えっと……このままだと戦争が始まるかも知れないと言う話を貴族様がしております。このままこの城にいたら、巻き込まれてしまう可能性があるやも……」


 周囲に悟られないよう、普通に歓談しているような口調でアオは言う。いつの間にかアオは大人のような喋り方ができることに気が付き、アオの知識が何処まで高くなっているのかと疑問になりながら警戒を怠らないようにして部屋の隅で食事をするのだった。

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