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蜂蜜菓子で手懐けて

  イタリアの芸術センスはチートとしか思えない。


 街中を歩けば声を異性から声をかけられること間違いなしな特典チートを持つカラビニエリ風の騎兵服に着替えた俺とユリアは、さっそく馬小屋へと向かう。


「何か聞きたそうな顔をしているな、同志ユリア」


 そうカマをかけると、一瞬ぎくっとユリアの身体が反応した。


「同志ジルイドは今まで乗馬指導を受けたことはないのですか?」


「うん、無かった、というか許可されなかった。誘拐とかを危惧したのかもね」


 だが、乗馬ができるユリアが来たからとはいえ、こうも急にファルペが乗馬訓練を許可したのは意外だった。


「それより、聞きたいのはそのことではないのだろう?」


 わざとらしくユリアが聞きやすいように誘導する。


「そ、その……ジルイド様は、スザンナ様とご婚約されていらっしゃるのでしょうか?」


「私の母は私を産んで亡くなってしまってね、スザンナも婚約者から捨てられた上にお腹の子を亡くしてしまったのだよ。

 だからどういう関係かと言われれば、他とは少々異なる特殊な関係、だろうな」


「そのような不幸があったとは……。詮索するような真似をして申し訳ありませんでした」


 今後ユリアは俺にいろいろと勝手に気を配ったり慮ってくれるだろう。

 わざと話すようにもっていったのはスザンナがいない時に代わりにユリアの善意つけ込んで甘えられるようにするための足掛かりだ。

 ユリアとも特殊な関係を築きたい。


 ♢♢♢♢♢♢♢


「では、同志ジルイド、乗馬訓練なのですが、本日は2人乗りをしようと思います。

 まずは、同志ジルイドには馬に乗る感覚に慣れていただくため、私の前に乗ってもらい、同志ジルイドの後に私が乗って手綱を握るつもりです」


 ユリアに手綱を引かれながら二人乗りの状態を領民に晒すのは結構恥ずかしいんじゃないか。なるべく早く1人で乗れるようにしないとな。

 父上からは、乗馬の際になるべく目立つように、できれば毎回多くの人目に触れるようにとのことだった。

 軍服が話題になるようにということだろうが、それよりもまず俺が一人で乗馬できない事が話題になったらどうしよう。


 自分の息子が領民から話題のネタにされる時のファルペ父の気持ちを忖度し、ファルペ父から直接言われた意向を全無視することに決めた。


「同志ユリアは誰かに乗馬を教えた経験は?」


「妹達にならあります!1、2か月ほどで1人で一通り乗れるようになりましたよ。

 なのでご安心ください!」


 え?1か月以上もかかるの?全然ご安心できないんだけど?もしかして1か月以上羞恥プレイが続くの?


「さて、どの馬を選ぼうか」


「見たところどの馬も大人しくよく調教されていて、質の高い馬が揃っていますが、意外と頭数が数が少ないですね」


「保有している馬自体はかなり多い。ほとんどの馬は城と養殖所で飼われてる。

 戦争時に自治領は王国へ多くの馬を自主的貢納しなきゃいけないからな。

 父上は数を増やすことには熱心だが、美しい白馬とかには興味がないようだから、屋敷には必要最低限の頭数しかいないんだろう。

 まず、当主が外にあまり出ない時点でそんなに必要ないしな」


「……もしかしてファルペ様は馬に乗れないのでは?」


 なるほど、これは気付かなかった。話はそこからということか。


「いつも父上は馬車で移動するから乗馬姿を私も見たことないしどうだろう?

 では、同志ユリアに聞いてもらおうかな」


「え!?ど、どうかなかったことにして下さい……!

 ……あ、そうだ、同志ジルイド、台所で私が蜂蜜でつくったお菓子です。どうぞ」


「からかっただけだよ。うん、ありがと」


 ひょいっと口に放り込む。結構気がきくな。

 山吹色のお菓子で口止めとは案外なかなかやるではないか。うん、甘い。


「あ、あのそれ馬にあげてもらうつもりでわたそうと」


 ブフォ!!とおもわず吐き出してしまう。


「もうちょっとはやく言おう!」


「すっすすすみません!ですが食べても大丈夫です。私も作った時に味見したので。

 馬は甘いものが好物なんですよ。私も妹達も馬と同じように甘いもの好きなのでよく一緒につまみながら乗ってました。

 また渡しますので馬に与えてみてください」


「懐かせるためのようなものか。ほれ」


 蜂蜜菓子をあげつつ馬を優しく撫でて愛でるユリアを真似て、馬に蜂蜜菓子を食べさせてみると、嬉しそうにぼりぼり食べたのでその顔を撫でてやった。

 きっとスザンナが俺を餌付けしている気分もこんな感じなんだろうか。


「同志ユリアは妹達には会えるのかね?」


「時間があれば月に2回ほど会えると言われております!

 命ばかりではなく、妹達の世話までして頂き、幸甚の至りであります!」


 いきなりしゅたっと姿勢を正してそう話すユリアは、まるで疑うことをしらずに信じきっているような顔をする。

 そうは言うけど、給料無しの奴隷労働にいつ不満を感じだすことやら。

 そんなユリアをみて、手に持った蜂蜜菓子をユリアの口元へ近づけた。


「甘いものが好きなんだろう?」


「あ…ありがとうございます…」


 口元に近づけられた蜂蜜菓子をそのまま薄い唇で直接食べたユリアの顔を撫でてやると、ユリアは真っ赤になったままもちゅもちゅ口を動かしていた。


 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


 良く晴れた陽の下、美しい田園風景が広がる中で、人通りの少ない畦道をジルイドとユリアが乗った馬がゆっくりと歩いていた。

 ユリアは手綱を掴んで前に乗る俺に密着しながら乗馬の説明をする。


「今のこのゆっくりと歩く状態を常歩なみあしと言います。この歩き方は…………」


 ユリアから懇切丁寧な説明を受けても頭には入らずそのまま流れて行ってしまう。

 なぜなら後ろからほのかに香るスザンナの大人の香りとはまた異なる少女の甘い香りと、背中に密着している年齢の割にずいぶん豊かに成長しているユリアの2つのあんまんに意識が奪われているからだ。

 ん? ちょっと速くなったぞ?


「さっきより速めに動く今の動きの状態を速歩はやあしといいます。

 揺れがほとんどなかった常歩とは違って上下の強い揺れを感じると思います。ここまでの歩法であれば…………」


 おお、確かに、ユリアのあんまんが上下に揺れるのを感じる。

 この揺れを肌に感じながら快適に移動できるなら、別に1人前の乗馬を目指さなくてもいいんじゃないか。

 このままユリアに手綱を任せたままで1か月以上といわず、1年以上でも2人乗りでいい気がしてきた。


「同志ジルイド、先程からずっと一言も言葉を発しませんが、もしかしたら酔ってしまいましたか?」


 うん、君の立派なあんまんに酔ってる。


「いや、乗馬の楽しみ方を肌でずっと感じていただけだよ。

 同志ユリア、このまま続けてくれ」


「了解です!同志ジルイド。乗馬の楽しさを知っていただき嬉しく思います」


 ふと横の背丈の大きい麦畑をみると、なんだか同じところの麦がゆれている。なんだあれ?動物でもいるのか。


「あそこでずっと麦がゆれているけど、動物でもいるのかな」


「あれは…」


 よく目をこらすと、気持ちのいい青空の下、若い男女が、人目を避けて若い麦に隠れながら、若さの情熱にまかせて、若々しくにゃんにゃんしている最中だった。


「なるほど普通だと見えはしないだろうが、馬の上からだと見えるものだな」


 ファルペ父が乗馬を中々許可しなかったのは、これが理由の一つなのかもしれない。


「…」


 今度はユリアが言葉を発しなくなってしまった。


「どうした同志ユリア。酔いでもしたのか?」


「い、いえ、同志ジルイド。…こほん、では次の歩法に移りますね……

 今の駈歩かけあしは速歩よりも速いですが、上下というより大きく前後に身体が動いて、うねってるような動きを感じるかもしれません。

 駈歩の次の襲歩しゅうほはスピードが全速力なのですが、まだ危ないので当分の間は駈歩までとしましょう。

 歩法は基本的にはこの4つがあって………………」


 うぉ!お、おおぅ、確かにユリアの身体が前後に大きく行ったり来たりする。

 なんだかユリアが激しく体を俺に打ち付けて、あんまんを俺にわざと大きく押し付けるのを繰り返しているみたいだ。

 顔をユリアのあんまんに向くように俺の体勢を前後逆にした状態で、駈歩による騎乗をしてみたくなる。

 スザンナだったらウェルカムだろうが、ユリアがウェルカムというには、まだ早いだろうか。


「っ!危ない!」


 ユリアがいきなり叫ぶと同時に、馬が前足をあげていななきながら、いきなり止まったせいで、バランスが崩れ俺は横に投げ出される。


 うわ、落ちる――!


 ―――眼を開けると、馬が顔をのぞかせたので、自分が落馬したことを悟る。

 馬の背にはユリアの姿がない。

 振り落として逃げたのだろうか。ずいぶん早く行動をおこしたな。

 そういえば、背中にまだあんまんの感触がする。

 振り返ると、ユリアが俺の下敷きになっていた。


「―――っいっつつっ、同志ジルイド、お怪我はありませんか?

 上手く身体を傷つけないように一緒に落ちて受け身をとったのですが」


 どうやらユリアは自分が俺を庇うために自分が下になるよう受け身の姿勢で一緒に落馬したらしい。


「大丈夫だ。それより同志ユリアに怪我は?」


「私も大丈夫です、落馬させて申し訳ありません」


 ユリアを見ると、せっかくの新しい軍服が泥で汚れてしまい、ユリアの手はすりむいて赤くなっている。


「同志ユリア、嘘をつくなと言ったはずだ。

 片手に赤い擦り傷をつくってしまっているではないか。他に怪我は?」


 ユリアの顔についていた土をはらってやり、立ち上がれるようユリアへ腕を伸ばす。


「!!も、申し訳ありあせん!!

 後は恐らく腰か足を少し擦りむいたかもしれませんが、他にはないようです」


 さすがに擦りむいた箇所を確認するからこの脱いで傷をみせろと言う程鬼畜ではない。


「何か体に異常を感じたらすぐに言うように。せっかくのマントが汚れてしまってるな。 私のはそうでもないから、君のと取り換えよう。身を挺した礼だ。ほら、使うといい」


 俺はそういって自分のマントを渡して、ユリアのマントをさっとはずす。

 マントで覆われていた部分に怪我はないかを確認するためだ。

 ユリアを疑った埋め合わせでもある。


「あっ!ありがとうございます」


「遠慮するな。落馬時に身を挺したことはじいじにも伝えておく。

 で、何で落馬した?手綱の操りでも間違えたのか?」


 自分のあんまんをずっと上下に激しく俺に押し付けていたことに気付いてあわあわでもしたのだろうか。

 それとも、若い男女のにゃんにゃんにもんもんとしていたのだろうか。


「いえ、急に前に人が現れたので、とっさに急停止するようにと」


 ずいぶんまともな理由だな。

 ――ん?人?


 見まわすと馬の前で地面にぼふぇっとへたり込んでいる若い女の姿があった。


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お読みいただきましてありがとうございます
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もうかなり嬉しいですし助かりますのでよろしくお願いします
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