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アルバーレスの持続可能な繁栄のために

 貴族は領民に対して犯罪者から保護し治安を維持する以外に主要な責任があるだろうか。

 CSR 企業の社会的責任ならぬNBR 貴族の社会的責任を求められるだろうか。


 貴族による環境政策は、密猟取締と狩猟のための森林保護ぐらいだろう。

 そしてそれは環境のためというより、貴族自身の欲のためだ。


 コンプライアンス?ガバナンス?ESG?何それ知りません。

 株主などまだいないSRI社会的責任投資などもってのほか。少なくとも、この世界では。


 アルバーレス自治領爵次期当主ジルイドの領地経営計画方針はそれらの概念一切無視、領民の生命財産などよりも、自分の命、健康、金、地位、権力、欲望に沿ったライフワークバランス、その他諸々を重視し、

それに基づいた長期的なアルバーレスの持続可能な成長を目標に気楽に行ってまいります。


--------------------------------------------------


 正直、キルロスじっちゃんに提案のおねだりをしたらすぐに許可されるだろうが、問題はファルペである。

 領民の事を思って施策をしているのか、別の意図があって良き領主を演じているのかがわからない。

 今から提案する内容の最大の懸念事項である。


 説明しようとしたら、空いた皿を下げようと給仕が食堂にまたきたので呼びつける。

「多分、夜遅くまで宴は続くから後片付けは明日でいいよ。もう眠いだろうから。

 皆にも話しておいて」

「お心遣い感謝します。そのように他の者にも伝えておきます。

 それでは、失礼いたします」


 偽装である。ただの気遣い風人払いである。

 使用人にも心を配る繊細なジルイド様との印象を使用人に勝手に抱かせる効果もある。

 給仕がそそくさと退出後、やりとりをみていたファルペにより偽装を暴露された。


「なるほどな。お前がやけにはやく料理を食べていたり、介抱させてスザンナに退席を命じたのは、人払いのためか」


 どうやら意外にもファルペは俺のことをよく観察していたようだ。

 わざわざ意図を口に出して言うとは。


「で、何についての話だ?

 トロワ様をこの場に残しているということは、その衛生に関する話か?」


 話が早い!意外にも形式より効率を重視する性格のようだ。


「ええ、昨日のトロワ様と会話中に、新たな医療に関する見解をお聞きし、それを試験的に導入してみたい、という話です」


「トロワ様、この場でも構わないなら、ぜひお聞かせください」


「ええ、実は私、以前より水と間違えてウォッカを使って掃除しましたら、意外にも汚れがと臭いが取れましたのよ。

 そんな話をジルイド様にした後に、死亡率をさげるにはどうしたらいいかで悩んでいることを話しましたわ。

 そうしたら、ジルイド様が親身に聞いてくださって、もしかしたら臭いの元が関係しているのではないか、とおっしゃいました。

 目から鱗でしたわ。そんな発想思いつきませんでしたから。


 その発想から、私は強い臭いを放つ化膿というのは、傷に良いものではなく、悪化させるもの、つまり、その認識があるから死亡率が下がらないのでは、と思い至りました。


 2人で話しているうちに、毎回石鹸での手洗いした後に、ウォッカを手に浸して乾燥させて消臭したらどうか、という考えがでましたの。

 ついでに院内清掃の際もウォッカを使って徹底的にやってみようとジルイド様に話したのです」


 一通り聞いた後、気まずそうにファルペは切り出した。


「トロワ様、化膿に対する認識を変える事には、特に専門で無い私から何かいう事はありません。

 ですが、ウォッカを使った手洗いは、あまりお勧めできません。

 以前皇国との役人と会談した際、皇国のみならず、帝国もそれを大地の恵みに感謝するためといってその風習を急速に広めているのです」


 やはりそうか。これを普及させるには、そういう名目が使いやすい。


「父上、皇国がやっているのにですか」


「正直、私としては別に構わんのだが、王国から言いがかりをされかねんのが問題だ。

 やるには王国を説得せねばならないが、今の内容で王国を説得するのは難しいだろう」


 うん、想定通り。


「直接王国に利益が無いからさして興味を持たれない、という事でもありますよね?」


 いきなり脈絡からずれた内容にファルペは驚いた顔をした。意外だこの人も驚くのか。


「まあ、言いたくはないが、それもある」


「先程のトロワ様からのお話を聞いて、逆に王国とアルバーレスは一儲けでき、更なる領土開発が促進されるのではと考え、この場で提案しようと人払いしたわけです」


 拍子抜けした顔をするファルペとトロワの一方で、ただただ飲みまくっていたキルロスがぴくっと反応し、頭を起こしてきた。


「わしも聞いてみたいのォその話」


 筋書きと全く同じじっちゃんの反応に笑いを耐えるのがつらい。


「単純な話です。

 人命のためでなく、税収のために、石鹸とウォッカを使った手洗いを義務化させればいいのです」


「はあ?」


 いきなり何を言い出すんだこいつという目を向けられる。


「ウォッカによる手洗いや清掃の義務化は、新たなウォッカの消費の強制であり、ウォッカの消費量を増やさせます。

 つまり、ウォッカにも酒税はかかりますから、酒税による収入を増大できますよ。


 率直に言って、ウォッカによる手洗いと清掃は、その行為によって死亡率が上がろうと下がろうと変わらなかろうと、税収は上がるでしょうし、継続的な最低需要も算定できるわけですから、領地運営もより安定します」


「ジルイド、お前は領民の命と金のどちらが重要なのだ?」


 そんなの当然決まっている。金だ。


「アルバーレスの領民と、王国やアルバーレスの確固たる治世の維持に必要な金のどちらが大切かと言われたら、私は金を選びます。

 ですが、それによって領民の生存が上がるなら、もちろん嬉しいとも思っています」


 嘘である。将来的に自分の懐に大金が転がり込み続ければいいとしか考えてない。

 自分の安泰が第一である。まあ、美人の領民の命もそこそこ大事ではあるが。


「まず、医療従事者は専門職で裕福な家が多いです。

 貯めこんでいる彼らにとっては、ウォッカの強制消費など大して痛くもないでしょう。 金はあるところからとるのです」


 金持ちに無理やり消費させるというのは、貯蓄税の考えに近い。

 無理やりトリクルダウンさせられる金持ち達ざまあと、

 自分が貴族であるのに、矛盾した感情が支配する。

 医者の娘である奪幸美女トロワさんは額をぴくぴくさせて、口を引きつらせている。

 お願いだから謙虚なまま、この案に同意する上手い言い訳でも考えといてくれよ。


「代わりに命令に従った医療従事者には、証書を与えましょう。

 逆に従わなかったりごまかす医療従事者には証書を与えないようにしましょう。

 証書がなければヤブ医者扱いと世間が見做すよう誘導するのです。

 ウォッカ代で布告を守っていればヤブ医者扱いされずに済むのですから医療従事者にとっても悪い話ではありません。


 これは一種のヤブ医者対策ともいえます。

 ヤブ医者かどうかをふるい分け、言いつけを守ることすらできないヤブ医者を一掃できるのです。

 もちろん、定期的な抜き打ち検査が必要ですが」


 そういうと、ようやくトロワの額がぴくぴくしなくなったようだ。


「もし、効果があると判明したら、それを調理場や食肉加工場にも石鹸とウォッカを使った手洗いを作業前にさせるよう拡大しましょう。

 さらに、領民にも健康のためと言って、同様の手洗いを帰宅時にさせるのです。

 確かな事実を持って布告すれば、領民は、ファルペ父上が領民の命を想い命じるのだと素直に従うでしょう。

 そうすれば、ウォッカの消費は飛躍的に上がります」


 そこまで普及させたら、王国とわがガスパン家はウハウハで笑いが止まらないだろう。


「そしてこの考えは、おそらく王国の上層部は歓迎するはずです。

 王国は、税収のためにあの手この手で歳出をへらし、なんとかして増やしたいとおもっているでしょう。

 ユリアがいい例です。褒美に金ではなく、奴隷として囚人を与えるくらいですから。


 現在、ウォッカの酒税は1樽につき10%の酒税がかかります。

 そのうち、王国の取り分が8%、残りの2%がアルバーレスの取り分です。

 仮にアルバーレスだけでなく王国まで普及したら、王国は間違いなく濡れ手に粟です」


 2%だからお情けみたいなものだが、自治領はあまり不満を言えない。

 取り分があるだけましなのだ。これは、一種の王国への脱税防止も兼ねている。

 王国と自治領の大きな違いの一つは、帝国との国境に接している領地は王国領で、自治領は帝国との国境に接していない。

 つまり、自治領は、私たちの代わりに常に帝国から攻撃を受けるリスクを王国が負ってくれてありがとうございます、といって、自分の領土内で国税が課されるのを渋々認めている。

 ただ、安定的に領地経営に専念できるメリットがあるのは自治領にとっては大きい。

 つまり、自治領が酒税を増やしたければ、酒の消費を伸ばすしかないのだ。


 確か日本の場合、飲めないようにするための混ぜ物が入っている消毒用エタノールがあり、その場合酒税はかからないと耳にしたことがある。

 だが、この世界において俺はその混ぜ物を何にすればいいかなんてわからないし、そもそも酒税が目的と言っているのだから、そんな本末転倒みたいなことはしない。

 本当に民を想う領主であれば、酒税をかからないよう混ぜ物入りを検討するだろうが、俺にそんな気はさらさらない。


「しかし、トロワ様の家の負担は増えるだろう?」


 トロワ、許容するよな?父から振り向いてもらえるならウォッカ代くらい安いものだろ?


「え、ええ。私には死亡率の増減がどうなるかはわかりません。

 私の望みはただ患者の命を救うことなのです。

 私は、生存率が上がるほうに賭けたいと思っております」


 にっこりとしながら力強く声を振り絞って答えるトロワの愛の深さに感動すら覚える。

 彼女の背後から何だか般若のお面がでてきそうな気がするが、気にしない気にしない。


「また、ウォッカの消費増大は、麦の消費増大につながります。

 わざわざコメがあるのに麦を栽培する理由は、水を貼らなくていいのと、土壌の性質以外にもありますよね。

 主食であるコメは酒の材料にしないよう生産制限をかけられているからで、その代替として、パンのためというより、酒のために麦を生産しているからでしょう。


 アルバーレスの南方開拓を促進させ、麦畑を増やすためにも必要な措置です。

 予測や実績を用いて目に見えてウォッカの消費が増えていくことの説明と、

 麦畑の新規開拓に減税や優遇措置を募集時にセットで定期的に呼びかけたら、

 一旗あげたいと思う領民がいても不思議ではありませんよ」


 そういうとキルロスじっちゃんの眼が輝き始める。金換算しながら飲むウォッカは旨いに違いない。


 開拓の手伝いを続けられるのは、その仕事が嫌いじゃないからだろう。

 しがらみとか少なさそうだし、おいしい部分にいち早くありつけるからかもしれない。 本当に嫌な仕事だったら、絶対やらないはずだ。

 嫌いな仕事はファルペに全部丸投げしてるといったところだろう。


 ついでにファルペの心でも動かす事を言うとするか。


「父上、金のほうが大事とは言ったものの、私を産んだ直後に死んだ母上マリアのような女性達を減らしたいというのも私の気持ちなのです。

 これから産まれてくるであろうまだ見ぬ子供達に産褥熱で母親を亡くした私と同じ悲しみを味わせたくないのです。

 今日のユリアを見て、一層その思いを強くしました。

 父上や私のような、先に大事な人に先立たれてしまった残された家族を少しでも減らせればという想いで一杯です。

 そうすれば、亡き母上も喜ぶことでしょう」


 嘘である。美人が死ぬのはもったいないくらいにしか思ってないだけである。

 そんな俺の話を聞いて急にブワッとファルペの目から涙が溢れだした。


「…うむ、そ、そうだな……。

 マリアは生き返らないが……

 マリアと同じ不幸にあう女性は減らさないとな……」


 やっぱりマリアの事を忘れられない一途な男だったか、ファルペは。

 未だ再婚しないことから、説得材料として使えそうだなと思ったが、まさかファルペの泣き顔を初めて見ることになろうとは。

 案外、ファルペはマリアをネタにすれば結構ちょろそうだ。

 さあ、そろそろ仕上げといくか。


「提案した内容をアルバーレスに行わさせて頂きたい、そう王国に言えばいいだけです。 もし王国内で行って万が一死亡率が高まったら王国の沽券にかかわります。

 まずは、アルバーレスで代わりにどうなるかを試させてください。

 もし結果が良好なら王国でも行いましょうと。


 あくまでも王国にどこまでも忠誠を誓う姿勢を見せた後、王国には更に理由としてこう付け足せばいいのです。

 帝国が導入して普及させた理由も、恐らく税収を増やす目的でしょう。

 我々が風習を受け入れたくないと言っている間にも、彼らは王国を馬鹿にし、

 笑いながら富を蓄え続けているのです、と。

 また、手洗いの際は石鹸も使うので、王国の石鹸業界が傾くことはありません。

 むしろ、王国の石鹸は皇国にも輸出されていますが、皇国に帝国産の石鹸がないのであれば、それはつまり、帝国には石鹸を使った手洗いの習慣がない、石鹸産業が未発達であるといえます。

 発達した石鹸産業がある王国だからこそこの提案ができるのです。

 王国の石鹸とウォッカを用いた手洗いが帝国よりも優れてるといえましょう。


 そして、もし、このウォッカによる手洗いと清掃による普及と、先のトロワの考えにより生存率が上昇したら、王国はそれを王国と皇国で発表し、喧伝することで、王国の医療と産業の先進性を帝国に見せつけることができるのです。

 帝国の実態がわかりませんが、皇国で彼らが発表していないと思いますから。

 今度は、王国である我々がそれに気付かなかった帝国を馬鹿にして笑う番ですよ、と」


 皆聞き入ってるな。

 普段だらだらしている姿を見ているから余計に印象強いだろう。

 猫助けたチンピラが良い人そうに見えるのと似たようなものだ。

 トロワでさえも唾をのんだような顔をしてこちらを見ている。

 このまま締めの台詞で終わるとしよう。


「その特徴的な臭いが人の死を誘うのであれば、それはもはや毒としか言えません。

 よって、ウォッカを用いた手洗いや清掃をウォッカ型消毒と名付けたいと思います。

 また、もし死亡率が下がれば、ウォッカはもはやただの酒ではない命の水とすらいえます。

 よって、ウォッカ型消毒の普及をベースとした一連の税収増加、新規開拓、医療変革を目的とし、長期的な王国とアルバーレスの持続可能な繁栄を図る計画を、

 "命の水のための消毒作戦!と名付け、父上に提案致します」


 きまったあ!わざとらしい大げさな演技だったが、一同感心した態度を示してるから問題ないだろう。

 本来の持続可能性の概念とはまったく異なるが、この世界に合わせた内容だから構わないだろう。

 貴族の社会貢献とは、王国への忠誠という貢献なのだから。


 赤い目をしたファルペが口を開く。


「悪くはない計画だ。いいだろう」


 おっしゃああ!

 きっと命の水のための消毒作戦というかっこいいネーミングが決定打として作用したに違いない。

 厨二っぽいとか言い出す領民がいたら速攻消毒してやる。


「しかし一つ条件がある」


「は?」


 え、なんで、結構いい感触だったのに。まさかネーミングセンスが悪かったとか


「一つ、お前にやってもらいたい仕事がある。それを受け入れるならいいだろう」


「えっ………?」


 突然降りかかってきた災難に表情がかたまったのが自分でもわかる。

 トロワがここまで来たんだからわかってんでしょうねという顔でにらみつける。

 代わりにやって欲しいという気持ちを忖度はしてくれなさそうだ。


「父上、私には帝国語の勉強と乗馬訓練があります。まずは、そちらを専念したいです」


 いやです、働きたくないです、ぐーたらしてたいです。


「ユリアが欲しければそんなのは同時並行できるだろう。それかどうせそれを言い訳にずっと働かないつもりか」


「うっ……」


 読まれちゃってるよ…

 奪幸!こっちをみながらザマミロみたいな顔するんじゃねえ!


「ジルイド。お前は働かずにずっとごろごろしてぐーたらしてばかりで、」


 ちょっ、トロワの前でいうのやめてそれ、恥ずかしい。


「たいして期待してなかったから仕事をさせなかったというのがある」


 こっち見てニマニマすんなこの奪幸!

 そうだよ!仕事振られたくないからぐーたらしてそう思わせてたんだよ!

 ずっとそう思っててくれ!


「それに、実際に病院で実証するのはトロワ様で、麦畑のための領地開拓計画の担当はキルロス父上、王国との折衝やら領内の布告やら具体的な仕事を行うのは私だ。

 じゃあ、お前は提案以外何をするのかといったら、立案以外に何もない。

 何もやってきてないからだ」


 ごめんなさいまじで調子こいたネーミングまでしてほんとごめんなさい


「だが、どうやら、問題解決のための提案や立案をすることはそれなりにやれるようだ。

 なので、もう一つ別の計画を立案することで帳尻をとる」


「…ひとつ、でいいんですよね。どんな問題なんです?」


 ひとまず内容確認で適当な理由つくって拒否ろう


「王国の国教であるカゴ教の腐敗撲滅、もしくはカゴ教の影響力の低下だ。

 私が提出した案に許可し、良好な結果となったら、それでお前の仕事は完了とする。

 必要な金も少々だしてやろう」


 いやいやいや無理だろそんな大仕事!!


「お祈りもろくにしないお前のことだ、ちょうど適任だろう」


 しかもばれてたのかよ!


「こりゃ驚いたのォお前がそんなことを言うとは」


 じっちゃんが眼をひんむいて驚いた顔をするのも無理はない。

 敬虔なファルペのイメージとは真逆の内容だったからだ。

 いったいどういう事なんだ。


「で、ですが、そんなことをしたら、王国から目をつけられてしまうのでは…?」


 声を振り絞って懸念を表明することでなんとか最後の抵抗をしようとする


「私だけではない。これは王国の上層部の意向でもある。

 トロワ様がいらっしゃる前でどう腐敗しているかは言うのを憚られるので詳細はまた後日話す」


 トロワをみると、がんばってねっわたしは手伝わないけどっみたいな笑顔を向けてる。

 おわった………。


「わかり…まし…た……ご期待に沿えるよう尽力します…」


「トロワ様も、本日の話は内密に願います。

 一度王国へ先の提案に関する書状を送りましょう。

 手術時の手洗いに関しては、その回答を待ってからが無難です。

 それと、許可されたら、定期的に屋敷にて経過報告をお願いします」


「ええ、もちろんです。良好な結果を報告できたらと楽しみです」


「それは良かった。もう夜も更けております。本日は屋敷にお泊り下さい」


「ファルペ様のお心遣いに感謝しますわ」


「いやー、また一儲けできるかもしれないと思うと酒が進むのォ!

 わしにとっては金の水じゃな!ファッファッファ!

 よくやったぞ、ジルイド」


「よろこんで…もらえ…て…光栄…です………」


「それでは、ここで最後に乾杯しようではありませんか!」


 ファルペが立ち上がって呼びかけるとキルロスとトロワもグラスをもち立ち上がった。

 肩の荷が下りたのような顔、勝ち誇ったような顔、さらなる富への夢を膨らませている顔に囲まれながら、ただ一人、机に伏して打ちひしがれていた俺はグラスを持ってへろへろしながら立ち上がった。


 4つのグラスが一斉に響き渡る。


「命の水のための消毒作戦の成功を願って、乾杯!」



作者は医療従事者ではないので、上記の内容に関し参考にしないで下さい。

作品は、医学的アドバイスや治療、診断等の代わりになることを意図したものではないです。


作品はあくまで異世界のファンタジーの話なので、現実世界とは違いますので。



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