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序 白烏の神侍

――さて、地の女神は日の炎で編んだのお召し物と、月の光で編んだ、それは美しい腰帯を身につけておられました。腰帯には「蓬莱ほうらい」、「衛州えいしゅう」そして「羸州えいしゅう」と、三つの山がさがっていました。女神は三つの山を、世界を支えるかなえの脚になさるおつもりだったのです。


 ところが、天の男神はそれをご覧になって、三山とも欲しいとお思いになりました。そこで、女神が星の天蓋の下で眠っておられるすきに、男神はそっと忍び寄り、まず「蓬莱」を帯から外しておしまいになりました。二つめの衛州に手をかけようとしたそのとき、女神はぱちりと目を覚ましました。


 さあ怒ったのは女神です、口で唱えうるあらゆる呪詛を吐き散らしながら、男神を追いかけていらっしゃいました。男神は天の階段を上って逃げていかれます。

 

 女神の脚は存外に早く、男神は追いつかれそうになりました。そこで男神は女神にご自分の姿を見つけられぬように、大きな黒い扇を広げて世界をすっぽり覆ってしまいました。地上は墨を流したように真っ暗になり、ひどく寒くなりました。作物はすべて枯れてしまい、民草は天を仰ぎ途方にくれるばかり。


 そこへ、ラゴ族の娘が現れました。彼女は天を駆ける白馬を持っていたので、ひとっ飛びに男神のもとへ行き、蓬莱を返してもらうべく長い談判をしました。


 そして、ついに根負けした男神は、「娘が大切にしている宝物をくれれば山を返す」と約束しました。

 娘は、銀漢ぎんかんの光を集めたような美しい真珠、結婚相手が受け取ることになるまり、そして男神の扇と一対になる白い扇を持っていたので、それらを差し上げました。

 

 かくして蓬莱は女神の腰帯に無事戻り、ふたたび人々は日輪にちりんを拝めるようになったのです――。


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