1-プロローグ
1-プロローグ
俺、藤堂総一郎が召喚されたのは転校2日目、友人も知合いさえも作れず、昼食を食べた後机に突っ伏していた時の事だ。
父親の急死からの母親の実家への急な引っ越し、それに伴う転校、それも高校受験を控えた11月にだ。「何もこんな時期に転校しなくても」と周囲は言ったが、父親の稼ぎに完全に依存していた我が家では、マンションの家賃や私立の学費等、とても賄いきれなかったのだろう。母親の実家の田舎の公立中学に卒業まじかに強制転入、完全に都落ちである。
そんな不貞腐れた態度の俺に、田舎者なりに受験勉強に励んでいる彼らが声を掛けて来ることもなく、かと言ってゲームの転校イベントのように「面貸せや」と絡んでくる暇人もおらず、完全に孤立していた。
そんな状態で、卒業までどう青春を浪費するかだけを考えながら机に突っ伏していた俺は、気が付くと真っ暗な空間にいた。
「どうなっているんだ?教室に居たはずだよな…?」
一人ごちてみるも応答はない。そう俺一人だけがこの暗い空間で漂っていた。
長い時間漂っていると嫌でも頭は冷えてくる。
「いつまでこの状態なんだよ…」
応答が無いのはわかっていても、独り言は無意識に出てくる。
一生このままなのか、もし日常に戻れたらどうしようか、ちゃんと声を掛け、友人でも作ってみるか、いやあと半年もしない内に卒業なのに無駄だろ、と暇な時間をぐるぐる回る思考で潰していると光が辺りを覆った。
「───はい、次の方どうぞ」
とても綺麗な、女性の声だった。
うん、たぶん、女性?
その姿は黒い球体、それはそれは綺麗な漆黒の球体だった。
「次の方、あなたの番ですよ?」
手招き?しているそれは、近づいてこない俺に疑問と若干のイラつきを隠さずに話し掛けてくる。
「え、なにこれ。モノリス?」
いや、モノリスは板状だったはずだ。ならコレはなんだ?
そんな疑問に埋め尽くされた脳内を読んだかのように回答が用意された。
「神様ですよー、この世界の女神様です」
うわ、理性が警告を出している。あんな球体が神様を名乗るなんて怪しすぎると。でも、本能は受け入れていた。わからない、でもアレは常に俺らを見守って(み)くれて(はって)いる。
───近づく。相変わらず理性は警告を発し続けているが、本能が敵じゃないと理解していた。
「やっと話ができますね。で、あなたは召喚に同意しますか? 拒否しますか?」
「あぁ、安心してください。拒否しても殺しやしませんよ。記憶を消して、新たな因果の世界で生きてもらうだけです。」
「新たな、因果?」
俺の絞り出すような声に
「はい、召喚に同意した者が最初から存在しない世界。そういう世界で寿命を全うしてください。————ちなみに、向こうに召喚された者は皆勇者ですよ。与えられたユニークスキルで魔王を倒し、褒美は選びたい放題、酒池肉林、いやぁ羨ましい。変われるものなら変わりたいくらいです。」
……うますぎる、話がうますぎる。今度は本能までが警告を発していた。