番外編 追憶〜フォースギルド成長への階段
これはミサエラ、ルル、ナギサがニーナを失ってから攻略最前線組のエース組へとなる話である。
森でニーナは自らを犠牲にし、ナギサたちを救った。その後ナギサたちは逃げ延び安全地帯で野宿していた。そして太陽は西の空に沈み辺りが暗くなっていった。
「ニーナ......ニーナ.....」
ナギサはニーナを失ったショックでまだ動揺を隠せなかった他のメンバーも何も言わず夕食の準備をしていた。
「じゃあ今日は近くの川でとってきた魚を夕飯にしましょうか」
ミサエラが落ち込んでいる仲間を励まそうと元気に呼びかけるがメンバーから返事はなかった。ミサエラもそれは分かっていたでもこんなところで落ち込んでいても仕方ないと思ったのだ。
「私たちもう攻略最前線組脱退しようか」
ルルが目の前で無残に焦げていく魚をぼーっと見ながら小さな声でいった。
「そうね私もうこんな仲間を失うのは嫌だからもうこれっきりでいいんじゃないの?」
ナギサは涙で崩れたその美貌を隠さずみんなの方を向いていった。
ナギサが一番悲しかった自分をここまで育ててくれたニーナが死んだ今彼女がモンスターに対して戦う必要はなくなったのだ。
事実上のリーダーはミサエラだったが精神的支柱は間違いなくニーナだった車で言えば車を動かすエンジンがなくなったようなものだったそれほどニーナの存在というものがどれだけ大きかったかミサエラ、ルル、ナギサは改めて肌で感じていた。
メンバーにしばらくの沈黙が流れるとこの暑い時期としては珍しく涼しい風がメンバー全員に吹いてきた
「さっきまで暑かったのに不思議だわ」
ミサエラが風になびく黒髪を整えながら空を見上げた。
その時メンバー全員にニーナの声が聞こえてきた。メンバーは顔を見合わせた
「今ニーナの声したね」
ルルが辺りを見回すだが辺りにはなにも見当たらなかった。
だがその時ニーナらしき人影がメンバーの前に姿をあらわす
「ニーナ!?」
ナギサは思わず声をあげてニーナの名を呼んだニーナは優しく微笑み
「ナギサ。あなたの力はこの国のために生かさなければならないのよ?わたしがいなくなってもナギサたちならどんな敵にでも勝てる!私はそう信じてるよ。他のみんなもナギサに負けないように頑張ってね」
ニーナはそれを言い残し消えていった
ナギサの目からは大粒の涙が溢れ出していた
ミサエラも涙し、
「ニーナはあっちに行く前に遺言を残しに来てくれたんだわニーナの言う通り私たちがニーナの分まで頑張る。そうでしょ?」
ナギサ、ルルはうなずいた。
ニーナはこれが言いたくてあっちの世界に行くのを待ち、メンバーの元へとやってきた。この行為はメンバーの心を変え、今まで絶望の淵まで追い詰められていたメンバーを救った。これは奇跡かもしれない。しかしニーナは最後の力を振り絞り遺言を伝えに来たその真実だけがそこにはある。
ニーナの想いに応えるためにもメンバー全員はモチベーションをあげ前へと少しずつ、少しずつ悲しみを前に進む原動力に変え歩みだした。
「もうニーナがいなくなって半年長いようで短いものだったわね」
フォースギルド宿舎のリビングに置いてあるニーナの写真を見ながらミサエラが花に水をやっていた。
ニーナに言われた言葉を胸にメンバーは攻略最前線組でもトップクラスのギルドへと成長していった。
ルルはその天性の魔導力でロッドを使いこなし後衛からの攻撃。
ミサエラはその素早い動きでそれこそ一発の攻撃力は劣るがじわじわとダメージを相手に与えていった。
ナギサは最後の締めとしての役割を担っていた一発の攻撃力は圧倒的にルルや、ミサエラより勝っていたのでレベルが高い相手での戦いでは効果を発揮した。
そして戦いもひと段落したある日
「ねぇそろそろ私たちの目標である秘宝探しやろうよ」
ナギサが提案する
「忘れてた!いろいろありすぎて元の目標すっかり忘れちゃってたねー」
ルルはロッドを布で手入れしながら思い出していた。
「でも秘宝探しの旅には最低でも4人必要じゃない?どうしようかしら」
ミサエラは必死に考えていた。
基本的に秘宝探しの旅では4人から8人のギルドで行くというのがスタンダードだ。
なぜならもし強敵が現れた時3人では1人闘不能になってしまうと2人しかいなくなってしまうそうなると戦闘が厳しくなるからだ
フォースギルドは今3人、3人で向かうのはあまりにもナンセンスな話だった。
「じゃあ勇者ギルドから誰かやとえば?」
ルルがミサエラの方を向きながら言う
ルルの提案は理にかなっていたなぜなら仲間を闇雲に探すより勇者ギルドで勇者を雇った方が効率がいいからだ。ルルの提案に断る理由はなく
「そうね勇者ギルドでやといましょうか」
そして雇う準備をミサエラがしている時
優雅が転移してくることになる。
これが優雅が転移してくる前のフォースギルド成長への階段。の話だ。