登り始めたばかりだからな、この魔力チートを……
日刊に載っていて嬉しかった(小並感)
今日はこの1話だけだと思う。
季節もめぐり、ヒンヤリした空気から若干の生暖かい空気がドアから流れ込んできた時のこと。
最近はなんだか周りがパタパタしている気がする。
それはいいとして
「マッマ!」
「きゃー! ローちゃん! スリスリ〜」
「ルーシア様、ローリエ様が苦しそうでございますよ」
「ぁ……ぁ……」
「あん、ごめんねー、ローちゃん」
「ぷぁ…」
という感じに単語で話せるようになってきた。
ちなみに、父親のことはパッパと呼んでいる。
そう呼ぶといつもの優しい顔100%だったのが、120%くらいにまで柔らかくなる。トロトロになっている様からトロ顔と自分の中では思っている。惚け顔とも言ったかな。
そして大きいのが、母親や肩さんが何を入っているのか分かるようになってきたことだろう。
とはいっても、母親と肩さんの二人でしゃべっているときは早口すぎてよく分からないのが実情である。
身体面でいえば、最近ハイハイからヨチヨチ歩きができるようになってきた。
まだつかまり立ちのほうがふらつかないが。
あとは魔力が増えて1,2ヶ月ぐらいしてから離乳食が始まった。あの柔らかパイの実をチュパれなくなってきたのが悲しい……。
そんなこんなの出来事があったわけだ。
で、魔力を増やしてからのステータスは……
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名前:ローリエ・バロン・フォートス
性別:女
PC:100/100
MC:100/100
魔力:54
スキル
魔力感知
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おおう、増えてるぜぇ……。スキルもあるしな……。
スキルについての話もあるので、魔力を増やしている最中に発見があったことも整理しておこう。
というのも、異世界転生者の小説によくある“魔力を見る”というのを実践してみたいと思ったのだ。
そこで、目の部分に集中して一体感を感じてみることにした時に、目になんとなくだが不思議な感覚が集まってきたのだ。
そうして続けること1ヶ月弱で、母親や肩さんの表面にぼんやりとした透明な膜があることが分かったのだ。
これが恐らく魔力とかその辺のことなんだろうと思う。
その時にスキルの欄が増えた。その時は“魔力視(弱)”とあった。
ゲームではこんなのなかったんだけどなぁ。あったらすごい便利だろうと、想像は良くしていたが。
やはりゲームの中に入ったというよりも、すごい似ている世界に転生したという線が濃厚である。
そうしたものが見え始めた頃に肩さんが
「ローリエ様の目がルーシア様に似てきましたね……」
「ほんとね〜、目力が出てきてるわね―。たまにキラン! ってしている気がするし……」
とお世話している最中に言ってきたのである。
これは…あれか? 母親のように目が鋭くなってきているってことか……?
それよりもキラン! て何だよ。キラン! って。
ただ、膜を見ようと集中した時によく言われるので、魔力とかを集中させた時に何か出ているのだろう。
どうやってバレないようにすべきなのか悩むな……。
隠蔽とか無いのだろうか。
ちなみに、自分の腕とかを見てみた時には、膜っぽいのはない感じだった。
きっと魔力が足りないのだろう。
そんなこともあり、これ以上に目に集中させるとマズイと思ったので、別の部位に魔素を集めて浸透させ、魔力とすることにした。
外から見てバレない場所……と考えた時に、まずは筋肉とか内蔵か? と思ったが、下手に集めてムキムキになっても困るとも思ったので、もっと別のところを考えた。
それは……脳だ。
目に魔力を集めて、相手の魔力がうっすらと分かるなら、脳に集めれば感知できるのではないのかと考えた。こう……稲妻が走るとかニュータイプな感じとか。
で、頑張ってみたところ直感的なので魔力を感じることが出来るようになったのだった。
そのときに、スキルが“魔力感知”に変化していた。やっぱり間違ってなかったんや……。
頭を割ったら光った脳みそが出てきそうである。
スキルを手に入れてから、脳や目といった神経系以外にも集められるか試してみることにした。つい横道にそれてしまうのがチャームポイント。
次は…とりあえずは骨である。ホネホネロックである。
骨に関してはよくわからない。というか、最近はじめたばかりなので実感がまだわかないといった感じだ。
それでも魔力の数値は上がっているので、きっと何かしら影響しているとは思うのだが。
そして次の日になり、俺は1歳になったことを知った。
「お誕生日、おめでと〜!!!」
「マッマ! パッパ! ジー!」
「おおお、ローリエは可愛いなぁ。さすがルーシア!」
「もう、アナタったら、ローちゃんが可愛いのは当たり前でしょう。アナタに似たんですもの」
「ライド様、ルーシア様、二人で挟まれてはローリエ様が苦しいですよ」
「あらやだ、ごめんねー、ローちゃん」
「パー!マー!」
「ごめんなぁ、ローリエ。苦しかったろ?」
「ぅー」
そう、パーティが開かれたのだった。
今日は父親、母親、肩さん、その他の使用人さんが3〜4人集まって祝ってくれたのだ。
ジーとは肩さんのことである。
その日は両親にナデナデされたりスリスリされたりと揉みくちゃにされ、俺はモチャモチャ動いていた。
夕方までそれが続き、父親のひげが伸びたのかスリスリがチクチクに変わっていた……。流石に長すぎんよ〜。
「スリスリ〜」
「やー!」
いい加減チクチク加減が辛くなってきたので、父親の顔をちっこい腕で押しのけ、顔をテチテチ叩いた。
父親に精神的なダメージを与えた。父親は悲しそうな顔をした。
俺はそれを見て精神的ダメージが発生してちょっと泣きそうになった。
くっ、やっぱり体に感情が引っ張られる……
「ライド様、もう夕方でございます。お髭が伸びてきたのが痛かったのではないかと……」
「ああ、そういうことかスージー。でも、そんなに痛いもんなのかな」
「ローちゃんは赤ちゃんなんですから肌が弱いのよぉ。ねーローちゃん?」
「ぅー」
「んー、でも魔力が高そうだから大丈夫かと思ったんだけどなぁ」
ぎくっ、なぜそんなことを
「もう、アナタったら、ローちゃんはまだ赤ちゃんよ? 魔力が高いわけ無いでしょう? もっといっぱい食べて大きくならないと、お髭が痛いに決まってるわよ」
疑問の声とともに母親は父親をじっと見る。というより睨んでるようにしか見えない。
笑顔がちょっとなくなるだけでこの迫力はすごいと思う。
「あああ、ごめんごめん、そうだよね、そうだよね。でも目力があるから魔力がありそうに……。うん、……ルーシア、いつまでも睨まれると怖いんだけど」
「普通に見てるだけですぅ。酷いわぁ、まったく……」
「いや、君の笑顔が見られなくなるのが悲しくてね……。つい言いすぎてしまった。ごめん」
「……むぅ。それで許してあげます。……でも今日は頑張ってもらうわね?」
「あはは……。うん、そうだね。頑張るよ」
いつの間にかイチャイチャし始めた両親を横目に、どうして魔力が高いと思われたかについて考えなければならない。
それはいいとして、いつまでもイチャイチャしている両親に水を差したくなってきたな……。
エタらないようにしたいと思います(今更感)