やり込みすぎるのも問題だ
初投稿です。よろしくお願いいたします。
5月初め、日差しは初夏を思わせるような若干強い日差し、さわやかな風が吹き抜ける。梅雨には入っておらず、湿気もそれほど感じない。
しかし、室内にこもっていると若干汗ばむような気温で、冷房を入れようかちょっと悩む。
そこで窓は開けて網戸を閉めることで難を逃れようとしている。服装はTシャツにトランクスで、股間をブラブラさせている。シワも伸びきってグニグニ動いていることだろう。
そんな中、俺は何をしているかというとゲームだ。それもやり込みゲームをしている。
世間ではゴールデンウィークで旅行に行ったりだとかレジャーを楽しんでいるらしいが、ここ1週間ほどぶっ続けでゲームをしている。
誰だ1週間でこのゲームをやり込みクリアするって言った奴は……。
やり込みゲームの名前は「ウェーブリング王国の救世〜断ち切るリング〜」というものだ。
ジャンルは「乙女ゲーム風ファンタジーRPG」というもの。
乙女ゲームのようにキャラクターとの会話やイベントを通して好感度を上げることによって、ゲームのエンディングが変わるというもの。
また、RPGというように、モンスターを倒す事によってキャラクターを成長させることが出来る。
このゲームはラストに魔物の大襲撃イベントが発生し、通常は好感度イベントの中で魔物の大襲撃イベントを回避することができ、好感度が一番高いキャラクターと結婚することでエンディングを見ることが出来る。
そんなゲームにおいて何をやり込むかというと、イベントで魔物の大襲撃を回避せず、RPGらしく敵を屠りまくり対処するという、脳筋よろしく力押しでクリアするやり込みが存在している。
実際、動画サイトで「脳筋クリアの進め〜ウェーブリング王国の救世〜」という攻略動画が上がっている程だ。
しかし、それを行なうには150時間ほどレベル上げを行い、RTAのようにチャートを作成して対応する必要があるゲームなのだ。難易度的にはプニキの全クリぐらい。つまりやれば出来る程度である。RPGということもあり、時間をかければクリアできる。
というのも某ドラ◯エ3のピラミッド地下のごとく1歩エンカがデフォルトで、一定数の敵を限られたターン数で倒し続ける必要があるのだ。作中も1週間に渡り、敵が攻め続けてきているという設定で、実際やってられないほど敵が湧いて出てくる。
しかもエンカが進むごとに敵が強くなってくるのだ。どこの新桃の連戦だ。
と長々と説明したが、そんな感じのゲームを1週間でクリアしようという若干無謀なことに挑戦しているのだ。もちろん寝ていない。飯とかトイレとか風呂とかは入っているが。
「しゃぁぁあああああーーー」
とても棒読みだった。
それもそうだ、1週間寝ずにゲームしていたのだから心底疲れきっていて当然だと思う。
それもあってようやくクリアすることができた。やっとだよ……。
「つか…れた……。水飲んでトイレいこ……」
全くもって自分でも何をしているんだろうと、ふと頭によぎるが、それよりも早く寝たい。尿意もすごいが。
ごくっ……ごくっ……。
かぁぁ。達成感がパネェ……。頑張ったぜ、俺。
さて、トイレするか。っとと、大きい方も来てしまった。
「ふぅ……」
座り込み、一息ついたところで急激に眠気がきた。これは、ヤバいぞ。とりあえず水を流して……。
ジャーッという音とともに、座ったままで前かがみの状態になり、そのまま眠ってしまうのだった。
「……ぅん」
気がついたら相当時間が立っていたのだろう。足がかなり痺れている。ついでに腰や背中も痛い。
とりあえずベッドに戻ってもう一度寝ようと、体を起こした時にそれは発生した。
「ぬぅ、動悸が…。さっさとベッドに行こう。」
これはどう考えても不整脈だろ、と分かるような心臓の鼓動とともに、ヨタヨタとベッドに向かって歩いて行く。そしてゆっくりと腰を下ろし、睡眠の体勢にうつり、再度眠るのだった。
そして、夜中に呼吸が出来なくなり、苦しくなって目を開けて必死に呼吸をしようとするが、どうにも苦しさが止むことがなく、胸に、喉に爪を立てて引っ掻き回し、血が滲むようになったところで意識を失った。
そして……
俺は目を覚ましたのだった。