第六話 好奇心は猫をも殺す、って言うじゃない?
そこにあったのは、長い沈黙。
月明かりの下、2つのティーカップからぼんやりと白い湯気が上がっていた。
「じゃあ、質問を変えようか」
新たな訪問者であるハヅキは、どこか見下したような笑みを浮かべて言った。
「君達みたいな人間如きが、本当にワープなんかできると思ったわけ?」
「……………」
僕は何も答えられなかった。
本当は…
「まぁ、試行したのは4人だったっけ。君のは特に凄かったねぇ、本当に落着地点の魔法陣は完成してたし、どうやったか知らないけど恐ろしく強力な魔力を感じたよ」
「………え?」
魔力?
「お陰でスグに姫様の居場所を特定できた。その点では君に感謝しなければならない」
「ちょっと待て、魔力って」
「分かってないなぁ、今はその話をしたいんしゃないんだよ」
殺気………!?
言葉こそキツいものでは無かったが、確かに今彼の言葉に強い力を感じた。
「……その様子だと、自分が魔力を持ってるなんて知らなかったんだね。なのに何故、君はそんな得体の知れない迷信染みたものに
命を預けようとした?」
「それは……」
信じていたから、なんていう答えは通用しないだろう。
僕は、ハヅキの言葉を待った。
「夕樹君だっけ?アタシはね、君がウチの姫様に相応しい存在かどうかを見ていたんだ」
相応しい?
「どんな理由にせよ、自らの命を無下にするような者には姫様を預けられない。だから、アタシは君から姫様を取り返しに来た」
ふざけるな。
「相応しいだの相応しくないだの、アンタなんかに言われる筋合いは無い!」
「君の生きる理由に姫様を使うというのか!」
「……ぅ……ぅううぅぅ………にゃぁ……」
僕とハヅキはしばらく睨み合ったが、チヒロの苦しそうな寝息に、一旦剣を収める。
「まぁ良い、何か起きる前に必ず攫いに来るさ」
ハヅキは立ち上がり、足で床に軽く円を描く。そして、振り向きざまに言った。
「そうそう、後の3人だけど…もしかすると魂ごと消えちゃったかもねぇ」
彼の消えた場所を見つめ、僕は思った。
「面倒くせぇ……放っといてくれよ………」
こんばんは、Gさんです。
ちょっと短いかもです