男は仲間に自覚させられる
お付き合いくださってる方、ありがとうございます。
そろそろ、天誅の雲見えて参りました。
「思いしるがいい…!これがラ○ュタの雷だ!!」
スミマセン……うろ覚えです…
明くる朝。
「あ、おはよー。ごはんできてるよ」
夢オチを期待した俺を、打ち砕くかのようにスケルトン・シェリーは、普通にいた。
エプロン姿で。
裸エプロン…やったな、昔。
胸や尻はどうでもいい俺だけど、シェリーが触ると恥ずかしがりながら喜ぶから、やめ時が分からなくなって結局、朝飯食べ損ねたんだった。
しかし今は骨しかない。
つか、アンデット系なのに、日の光とか問題ないんかい!
白い骨に朝日が反射して眩しい。
つか、何か涙すら滲む。
そんで、何時もだったら飯も食わないで飛び出す家を、たらふく朝飯たべて、なんかいつもよりパリッとした軍服きて。
「いってらっしゃーい」
なんて、オカルトな姿に似つかわしくない日常的な挨拶されて、見送られて。
スケルトン・シェリーが用意してくれた、弁当抱えて席につく頃には、すっかり忘れていたのだ。
「お前、俺らのナタリー姫を振ったって本当かよ?!」
筋肉の塊が押し掛けて、てんでに技を仕掛けてくる。
つか、お前ら、本気で殺す気か!
お前らと違って、俺は頭脳労働者なんだよ!
「うるせーな!お前らにチャンスをくれてやったんだよ!失恋した女は、落としやすいだろうが…!」
やいのやいのやりあってるうちに、そのうちの一人が、机の上の包みに気がついて叫びだす。
「おまっ!まさか彼女いたのかよ!!シェリーちゃん以来、ずっとご無沙汰だったのに、どういう風の吹き回しだよ?!」
「まさか…より戻したのか??」
ビクッ。
知られてるはずがないのに、つい体が反応した。
「ま、まさか…あんな一言も言わねーで消えた薄情な女…戻ってきても、のしつけて返すし!」
その言葉に、アームロックをかけていた同僚が、おもむろにその腕をはずして、俺の肩をパンパン叩いた。
どいつもこいつも満面の笑みだ。
「おー、いったな。じゃあ、俺はシェリーちゃん慰めにいこー!」
「ズルいぞ!協定違反だろ!俺もいく!」
「俺も!!」
違う喧嘩が始まるのを、呆気に取られて見つめる。
つーか、なんでお前ら、アイツの家を知っている?
教えてたのか、もしかして。
俺はそんなこと、教えられもしなかった。
俺も聞かなかったけど。
だって、あいつは鎖骨のおまけだ。
どこに住んでたって関係ない。
俺の気のすむだけ、家にいればいい。
そして、いないときは呼び出せばいい。
それって付き合ってる、って言えたんだろうか。
シェリーはいつも笑ってた。
だから、俺は何にも聞かなかった。
アイツの嫌いなこと、嫌なこと。
それから俺をどう思ってるかだって、知らなかった。
まさか死んでまで、
骨になってまで、
俺の言葉を支えに、会いに来ちまうくらい好きでいてくれるなんて、知らなかった。
だから、俺は盛り上がる筋肉たちに、一喝する。
「やっぱりのしつけねー!し、あれは俺のだ!近寄ったやつの申請は、受け付けねーからな!!」
てんでにブウブウいう筋肉たちを、どうにか追い払い、扉を閉めたときに、なんかが急いでひっこんだ気もしたけど、俺は気にしなかった。
昨日はっきり振られた女が、その振った男が次の日に愛妻弁当(的なもの)を持ってくるってことを知らされて、更にそれが、知ってる女つーのが、どういう事態をもたらすのか。
あぁ、全く呆れてしまう。
つまるところ、俺は女心ってやつを、ちっとも分かってなかったのだ。




