1の表裏
「やはり足りない・・・」
何度数えても・・・だ。おかしい。
「攻めてきた時6人居たはずだが?」
声にだしてから自分に問い掛ける。周りを見ても『生きた』人間の姿はどこにもない。
闇に覆われた城の暗い暗い広間。いくら暗いと言っても、この死体だらけの部屋に1人立つこの城の主にとっては見慣れた風景であり、暗いほうが目が良く利く。
だが、いくらさがしてもだ。もう1人見つからない。
「逃げたか・・?」
リーダー面して、私を見つけるなり私の名前を叫びながら突っ込んで来た男が?ここまでこれたほどの男が?仲間を犠牲にして?
「ありえない話ではないが・・・。可能性としては薄い」
人間が愚かしいことなど、この死臭漂う城の主は良く知っている。だが、復讐を糧に生きている人間がどれほど執念深いかもよく知っている。
この城の主は自分の禍々しいほどの黒い鎧と、黒い剣についた返り血に目をやる。
「あぁ、また強くなってしまう・・・」
血は禍々しい黒に飲み込まれその一部になる。そして城の主は自身がまた、強くなるのを感じた。そして思う。
私を 殺せるものは いつになったら 現れるのか
その時既に城の主は1人消えた少年のことなど忘れていた。
―――
――
―
「ロゼ!!」
奴の一閃はロゼを裂き、ロゼの胸からは赤い液が飛び散る。ロゼは鉄製の杖で防御していたのだが、そんなのはお構いなしだ。
もう3人目だ。貴重な回復役がやられた。そう、黒髪の男は仲間の女が目の前で殺されたのにも関わらず、それしか思わないのだ。
「よくもロゼを!ちくしょぉ!」
そう言いながら青髪の男は弓を射る。矢には氷の力を加え、放つ瞬間に光の属性の力を加える。二つの属性を含んだ矢は驚異的なスピード黒い鎧の男に向かって一直線に進む。
「ほぉ?」
黒い鎧の男は関心したような反応を見せる。二つの属性を操るというのは、誰にでもできることではない。黒い鎧の男はそれに関心したようだ。しかし、それだけだった。
驚異的なスピードの矢を右目に刺さる直前で左に避けてしまう。「なっ!?」と青髪の男は驚くが、彼の意識はそこで途絶える。黒い鎧の男が右手に持つ黒い剣で青髪の男の首を胴体と切り離してしまったのだ。青髪と黒い鎧の男の距離は15メートルはあったはずだが、黒い鎧の男にとっては関係無い距離だった。
「くそ、早すぎて見えない」
白髪の男は腕につけたガントレットで黒い鎧の男に攻撃を仕掛けようと一歩踏み込む。
が、踏み込んだ瞬間黒い鎧男はガントレットごと腕を切り落とし、心臓を一刺しする。
「迷いがないのは素晴らしいが・・・それだけだ」
黒い鎧の男は胸から剣を抜く。それと同時に白髪の男は地面に倒れこみ、胸から吹き出る赤い液で白い髪を赤く濡らしていた。
まずい・・・このままだと俺も死ぬ!
残り1人となった状況を確認するのに1秒も掛からなかった。彼は黒い鎧の男に相当の恨みを持っている。こんな所で死ぬわけにはいかないっ!今は勝てなくても、いつかはっ!
そう頭の中で判断した瞬間、彼は左手で首にかけてある水晶のペンダントを引きちぎり、砕いた。
必ず 俺の手で 殺してやる
水晶から発せられる黒い渦に飲まれる瞬間、黒い鎧の男の背中を睨みつける。音も無く消えようとする少年に黒い鎧の男は気づかない。
かならずソフィーの仇は討つぞ。『ヴァリ』!!
そこで、少年の意識は途絶えた。
はい。秋空です。
いろいろ、自分のPCに小説を書きながら、初めて投稿しました。
いろいろな小説を読みながら、上達して、過去の話を笑えるようになったらなぁ〜と思っております。
リアルが忙しいので更新は不定期ですが、今後よろしくおねがいします。