第8話「地下へ」
それから20分後。
太一を含む6人の仲間たちが、1階の特別室の前に静かに集まっていた。
「ここ、一度も入ったことないけど……本当に大丈夫なの?」
井上がやや不安げに訊ねる。
田中は力強く頷いた。
「ああ!!問題ない!!さっき俺が中に入って確認したからな!!」
「大丈夫なら……入りましょう」
小野が落ち着いた声で言った。
「勇気の言ってること、正直あんまり信用できないんだけどな……」
井上の疑いの言葉に、田中がすかさず声を荒げる。
「ああ!?お前、俺が信用できないって言いたいのか!?翔!!」
「いやいや!!ち、違うって!!そんなつもりはないって!!」
そのやり取りを止めるように、太郎が口を開いた。
「はやく はいろうよ、みんな~」
太一も頷く。
「そうだよ、早く入ろう。このままじゃ、また何があるかわからない……時間の問題だよ」
「そうよ!早く入るべきだわ!」
玲奈も急かすように言った。
「……わかった。それじゃあ、入るぞ!」
田中の合図で、全員が重い扉を押し開けて中へと入っていった。
室内は薄暗く、かすかな埃の匂いが漂っている。奥へと進むと、確かに田中が言っていた通り、地下へと続く階段が姿を現した。
「これが……地下への道か」
井上が低く呟く。
「階段……段数、すごく多いですね……」
小野も驚いたようにその先を見下ろす。
「いったいどれくらい続いてるんだろう……?」
太一が静かに呟いた次の瞬間——
「うわぁ~!!すごい~!!はやく いこうよ、みんな~!!」
太郎が目を輝かせ、真っ先に階段を駆け下りていった。
「おいっ!!太郎!!勝手に行くなって!!」
田中が慌てて叫ぶ。
「危ないですよ!!怪我したら大変です!!」
小野も声を張る。
太一はその様子を見ながら、内心でまたつぶやいていた。
(行動力……!!)
仕方なく、みんなも太郎のあとを追って階段を降りはじめる。段数は異様なほど多かったが、不思議なことに足取りは軽く、思っていたよりも早く下までたどり着くことができた。
「ねぇ~!!みてみて みんな~!!たくさん みちがあるよ~!!!」
太郎が興奮した様子で叫んだ。
「はやいって、太郎……。……あれ?本当だ。道が……たくさんあるぞ」
田中があたりを見回して驚く。
「ほんとだ……ひとつ、ふたつ……みっつ、よっつ、いつつ……」
玲奈が指を折って数えた。
「本当に……これは迷いそうですね」
小野の声にも、警戒の色がにじむ。
「これじゃ……どこに進めばいいかわからないな……」
井上も戸惑いを隠せなかった。
静まり返る地下の空間に、6人の足音と不安が静かに響いていた。
やがて——
いよいよ、地下の探索が始まろうとしていた。
――To be continued.