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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第3-2章:「交錯する運命・危機」

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第71話「悲鳴は助言」

炎が空を焦がしている。

灰が風に舞い、どこまでも広がっていく。

瓦礫の影からは、腐敗した手足がはみ出していて、空気は血と煙と焼けた鉄の匂いで満たされていた。


僕はただ、ひとりで歩き続けていた。


(……ここまで来て、誰一人見つけられないなんて……)


足元を見れば、干からびたゾンビの死体。

壁に赤黒くこびりついた血痕。

そして、その中を、無言で通り過ぎる僕の影。


どれだけ歩いたのか、どれだけ殺したのか、もう数えていない。


外は地獄だ。


ゾンビの数は日に日に増え、さらに悪いことに、あの“開発生物”たち――

「D-41」や「C-97」といった特異な化け物どもが、地中から湧くように現れ始めていた。


――ガルルル……!


低く唸るような声が、背後から聞こえる。

振り返ると、歯をむき出しにして走ってくる「D-41」。

異様に発達した四肢と、鉄をも砕く顎。


「こっち来るな!!」


僕は即座にサバイバルナイフを抜き、正面から突っ込んできた犬型開発生物に対し、タイミングを見計らって側面に回り込んだ。


「はあああぁっ!!」


全力で斬りつけた。


刃は、喉元に深く突き刺さり、血と黒い体液を撒き散らしながらD-41は倒れた。


「……次」


背後からは今度、「C-97」が這い出してきた。

毒液をまき散らしながら、ゴキブリのように音もなく迫ってくる。


呼吸を整え、冷静に――正確に、

サバイバルナイフを投げつける。


「ガアアアァァァ――!!」


頭部に突き刺さり、数秒後、痙攣して動かなくなった。


(……数が多すぎる)


敵がどこまでも現れるこの地獄で、僕は一人、捜索を続けていた。

そのときだった――


「きゃあああああああ!!!!!!!」


――女の子の叫び声。


一瞬で全身の神経が研ぎ澄まされる。

僕は即座に声のした方角へ走り出した。


建物の合間を縫うように走り、煙の合間をかき分ける。

心臓が高鳴り、汗が背中を伝う。


(まだ誰かが……生きてる!?)


前方に見えたのは、ほとんど無傷で建っている建物――「松本レストラン」だった。



---


扉を押し開け、中に駆け込む。


建物の中は意外にも静かで、焦げ臭さもなかった。

家具は倒れていたが、燃えた形跡はない。

つまり、まだ“使える”場所だ。


「――っ!」


奥から、微かな銃声と、誰かの悲鳴が聞こえた。


僕は足音を殺しながらも、全速力で駆け抜けた。


――そこにいたのは、


「やめて!!来ないで!!!」


ゾンビに追い詰められた、小野さんだった。


彼女は後ずさりしながら、手にしたハンドガンで応戦していたが、弾は壁や床をかすめているだけで、全く当たっていなかった。


(まずい!!)


僕は迷わず、構えた。

目標を狙い定め、引き金を引く。


――パンッ!!


銃声が室内に響き渡った。

ゾンビの額に正確に弾丸が貫通し、地面に倒れ伏す。


「た……太一さん!? な、なんでここに……?」


小野さんが、目を見開いて驚いていた。


「みんなを探してたんです」

僕は息を整えながら答えた。


彼女の顔が、ふと赤くなる。


「そ、そうなんですね……太一さん……助けてくれて……あ、ありがとう……」


言葉の最後はかすれていて、どこか恥ずかしそうだった。


「大丈夫ですよ。もし、小野さんの“助言”がなければ、気づけなかった」


「助言……?」


彼女は小首を傾げる。


「……なんでもないです」


僕は笑って、話を切り替えた。



---


「小野さん。本題なんですが、他の三人――五条さん、佐藤さん、勇気は、どこに行ったか知ってますか?」


「ううん……見てない。最後に見たのは、はぐれる前だから……」


「そうですか。……じゃあ、一緒に行動しませんか? 他の三人を見つけたいんです」


そう言った僕の誘いに対し、小野さんは急に視線を外し、床を見つめながら小さな声で言った。


「……ごめんなさい。まだここにいてもいいですか?」


「えっ? なぜですか?」


「少しだけ……休みたいの。太一さん……お願い……」


僕はその言葉に少し戸惑いながらも、静かにうなずいた。


「……わかりました。僕は先に行きますね。

ここは比較的安全ですから、無理はしないでください」


「……ありがとう」


彼女のかすかな声が背中から届いた。



---


外に出ると、風が少しだけ涼しくなっていた。

太陽は傾き、空には茜色がにじみ始めている。


でも、地面には死体が転がり、遠くからはうなり声が響いていた。


どこまでも、終わらない地獄。

だけど、僕は歩く。


(絶対に見つけて、ここから脱出してやる!!)


そう心の中で、強く誓った。

それは“希望”というよりも、“信念”だった。


もう一度、仲間たちに会うために。

そして――

この世界の真実にたどり着くために。



---


                       To be continued

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