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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第3-2章:「交錯する運命・危機」

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第70話「捜索」

避難所の奥――かつて保健室だった場所。

僕はゆっくりと扉を開けて、中へ足を踏み入れた。


だが、そこには――誰もいなかった。


五条さんも、小野さんも、佐藤さんも、田中も。

みんなの声も、気配もなかった。


「……そうか。やっぱりな」


そう、わかっていた。

いや、わかっていたはずだった。

現実はいつだって、都合のいい想像を裏切ってくる。


(でも、少しだけ期待してたんだ)


もしもこの扉の先に、あの懐かしい顔ぶれが並んでいたら――

もしも「太一!おかえり!」と笑ってくれていたら――

そんな甘い想像を、ほんの一瞬でも心に抱いていた自分がいた。


僕は静かに、部屋の中央に置かれていた折りたたみ椅子に腰を下ろした。


扉の外では、子供たちの泣き声、赤ん坊の叫び声、大人たちの怒鳴り声がこだましていた。


僕は、深く息を吐きながら立ち上がり、扉を開けて再び表へ出た。



---


「み、皆さん!!」


僕は声を張り上げた。


「外の状況は、まだ収まっていません!!

だから――避難所の中で待機していてください!!」


そう言ったとき、僕の視線の先には、子供や女性たちがいた。

そして、次の瞬間から、怒涛の問いかけと怒声が始まった。



---


「坊や……いつになったら外に出られるんだい?」

白髪の老婆が、小さな声で問いかけてくる。


「お兄ちゃん……早く外で遊びたい……」

幼い男の子が目を潤ませて見上げてくる。


「……あんた、何なの!?

私たち、いつまでこんなとこに閉じ込められてなきゃいけないの!?」


女子高生が怒鳴りつけてくる。


「はぁ……ほんと、ガキは使えねぇな」

中年の女性が大声で吐き捨てる。


「うわあああん!!あそびたいーーー!!!」

「おぎゃあああ!!おぎゃあああ!!」


赤ん坊の泣き声が混じり、避難所内は混沌とした地獄のような騒がしさに包まれていた。


僕は、その場に立ち尽くした。


怒られてるのか? それとも訴えられているのか?

責められているのか? 励まされているのか?


もう、何もわからなかった。


(……僕、まだ……11歳だぞ……)


心の中で、思わずつぶやいていた。


僕はまだ、小学5年生のガキだ。

誕生日すら満足に祝われたこともない。

それなのに、僕はもう何百という死体を見て、何十という命を奪ってきた。


僕の手は、血で染まっている。

にもかかわらず、大人たちからは「使えないガキ」扱いされていた。


「……もう、やだよ」


そのとき、静かに男の声がした。


「みなさん、落ち着いてください」


人混みをかき分けて、一人の男性警察官が姿を現した。


彼は避難所の守備隊として残されていた、数少ない“大人の男性”の一人だった。


「少年、すまない」

僕に近寄ると、警察官は言った。


「……私は、外に出て戦うことができないんだ。

私は“避難所の安全”を守るよう命令されている」


「いいんです。……僕だって、たくさんの死体を見てきましたから」


僕の返事に、警察官は一瞬、目を見開き、そして小さくうなずいた。


「君は……本当に、強いな」


そう言うと、彼は腰のホルスターから小さな箱を取り出し、僕の手にそっと握らせた。


それは、ハンドガンの専用弾だった。


残弾を確認すると、15発入りのフルマガジン。


「ありがとう……これでまた、動けます」


僕は拳を軽く握った。


警察官は微笑んだ。


「気をつけてな。君みたいな子どもが、こんな時代を生きていること……

それだけで、奇跡みたいなものだから」



---


僕は避難所を出て、再び「捜索」を始めた。


建物の間を走り、焼け焦げた車の下をくぐり、崩れた橋を回り道しながら進む。


道中、何度もゾンビに襲われた。


けれど――殺す。


ナイフで喉を掻き切り、弾を撃ち込み、躊躇せず頭を潰す。


ここでは、感傷に浸る余裕なんて存在しない。



---


そんな中、僕の頭には3つの疑問が、何度も何度も渦を巻いていた。



---


一つ目:森下亮という存在


彼はいったい何者なのか。


戦い方は明らかに“軍人”か“剣士”のそれ。

旧体育館で「C−257」を一刀で斬り伏せた時、僕は震えた。

あれは人間技じゃなかった。

異世界からの転移者なのか?

それとも、僕らより遥か未来から来た存在なのか?


彼は死んだのか――それとも、まだ生きているのか。



---


二つ目:地下研究所で見たビデオ映像


あのビデオに映っていた“種族たち”。


エルフ、ドワーフ、妖精、ゴブリン。

ありえないはずの存在が、“解剖”という形で並べられていた。


そして僕は、無意識に――それらの名前を、正確に口にしていた。


なぜだ?


僕はそれらを“知っていた”のか?

見たこともない生物を、なぜ僕は言い当てられたのか?


もしかして、僕の中にも――異常な何かが眠っているのではないか?



---


三つ目:インフィニティ過激派組織の目的


ゾンビパンデミック。

開発生物の軍事利用。

そして、地図から消された地下研究所。


彼らは何を求めているのか?

なぜ、こんな地獄を繰り返し生み出しているのか?


すべては、まだ謎のまま。



---


僕は足を止め、崩れかけた展望台の上から、新城市を見下ろした。


夕陽が差し込み、オレンジ色の光が瓦礫に反射する。

だが、その光の下には――血と死と絶望が広がっていた。


「でも、俺はやめない」


そう呟くと、僕は再び歩き出した。


どこかで生きている“仲間”を探して。


そして、答えを見つけるために――



---


                       To be continued

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