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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第3-1章「交錯する運命・序章」

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第68話「再出発」

爆発まで、残り2分40秒。


地下2階、緊急列車の乗車口の前に立つ僕と森下さん。

その瞬間――


天井が破壊され、コンクリートの破片が地面に降り注いだ。


ドオオオォォンッッ!!!


ものすごい音と共に、天井に大穴が空き、何か巨大な存在が地面に叩きつけられるように降ってきた。


土煙が舞い、視界が一気に曇る。

細かい破片が顔をかすめ、僕は腕で目を覆いながら一歩下がった。


「な、なんだ……!? また爆弾でも落ちたのか……!?」


だが、その“気配”は違った。


空気が重たい。

肺の奥にまで鉛のような圧迫がのしかかる。


鼓動が速くなる。手が震える。汗が冷たく背中を伝う。


――そこにいるのは、“ただの敵”じゃない。


(まさか……!)


粉塵の向こうから、ゆっくりと姿を現すシルエット――


黒い筋肉に覆われた巨大な人型生物。

両腕には重厚な“金属の拘束具”が巻き付けられ、血管のような管が皮膚の下を浮き上がっている。


その眼光は、まるで地獄の底から這い出てきたような冷たい殺意。


――G-315。


「う……うそだろ……」


僕は思わず声に出していた。


「なんで……なんでお前がここに……姿なんて、一度も見せなかったじゃないか……!」


けれど、確信してしまう。


間違いない――これは、“あの時”のG-315より遥かに強くなっている。


筋肉の密度、皮膚の硬質化、あの恐怖の咆哮。

それに何より、両腕に巻かれた「金属の拘束具」――


つまり、これが“本来の状態”ではなく、まだ封印されている状態だということを示している。


「……くそ……」


恐怖で動けない。

でも、逃げなきゃ――


そう思った時だった。


「太一」


隣で、森下さんが一歩、前に出た。


その姿は、あまりにも冷静で、そして――覚悟を決めた者の背中だった。


「……これは“Xランク”か。納得だな」


「……え?」


僕は耳を疑った。


「D-41、C-97、C-257……あれらは“Sランク”。

でも、こいつ――G-315は“Xランク”だ。

そりゃ、空気も違うわけだ」


「……な、なんでそんなことを……知ってるんですか……?」


森下さんは答えない。ただ、刀の鞘に手を添えた。


僕は叫んだ。


「森下さん、ここは僕も一緒に戦います!!

さっきの廊下の死体、あれ、あなたがやったんですよね!?

なら、僕だって少しくらい、あなたの力になれます!!」


だが――


森下さんは静かに首を振った。


「太一、お前は……乗れ」


「えっ?」


「今すぐ、この緊急列車に乗るんだ。

お前が生きて、前に進め。

それが……俺の選んだ道だ」


「そんな!! それって――犠牲になるってことですか!?」


「そうだ。犠牲になる」


あまりにも、あっさりと。


「……なんでですか!? あなたは……あなたは、死ななくていい人なんですよ!!」


叫んでも、叫んでも、森下さんの目は揺らがない。


それどころか、冷たく、鋭く僕を見下ろしていた。


「……だったら、聞け。俺がここに来た“理由”を。

太一、お前に一つだけ――任務をやる」


「……任務?」


「この世界に、“俺のすべてを知っているクソジジィ”がいる。

そいつを見つけろ。そいつを……必ずな」


「な、なんですかそれ……!! そんな……無責任すぎますよ!!!」


僕がそう叫んだ、まさにその瞬間――


「シュッ!!」


一閃――


頬に痛みが走る。

反射的に手を当てると、血がにじんでいた。


「……え?」


僕は理解できなかった。


なぜ、森下さんが僕を――?


彼の目は、まるで“処分すべき失敗作”でも見るような冷たい目だった。


「さっさと行け、“ゴミいち”が」


……言葉を失った。


僕は震える足で、列車に乗り込んだ。



---


「太ちゃん!! 森下さんは!? どうしたの!?」


井上の声が聞こえた。


僕は俯いたまま、声を振り絞った。


「……翔ちゃん。発車して」


「でも、森下さんが……!」


「早く!!!!

森下さんは……もう、戻ってこない……!!」


井上は沈黙し、ゆっくりと頷いた。


「……強制発車、開始するね」


ポン。


「ピシューーーッ!!」


緊急列車の扉が閉まり、発進音が響く。


ガタン――ゴトン――ゴトン……


車輪がレールの上を走り出す。



---


約2分後。


「ドオオオオオオオオオオンン!!!!!!」


轟音。


爆風。


地面が割れ、火柱が空へと昇る。

列車の窓から見た“あの世界”が、一瞬で崩壊していく。


その中に、森下さんも――G-315も――


すべてが、燃えて消えていった。



---


「……う、うわあああああん!!!」


僕は堪えきれなかった。

叫ぶように、泣いた。

自分の無力さが悔しくて、情けなくて――


その声に、田中が怒鳴った。


「何泣いてるんだよ!!! 太一!!!」


「え……?」


井上も言葉を荒げる。


「そうだよ太ちゃん!! いくらなんでも泣きすぎだよ!!」


髙橋も静かに、しかし確かな口調で言った。


「太一君。こんな状況で泣いていたら……生き残れなくなるわよ」


羽田も続く。


「“脳筋”が泣くなよ!! お前は、バカでも前に進むのが取り柄だろ!!?」


でも――


他の仲間たちが、僕の心を支えてくれた。


「山田君。君は悪くない。……森下さんが選んだんだよ」


「そうじゃ。太一、お前は悪くない。あやつの“覚悟”じゃ」


「……太一さん。あなたは、ちゃんと戦ってた」


「そうですよ。僕たちはまだ生きてるんです。……死んでない!!」


「だったら、仇を取るしかないじゃん!! “あの組織”に!!」


「そうよ、太一!! ここで終わっちゃ、だめ!!」


「わ、私たちだって……怖いし、不安だけど……でも……!!」


みんなの声が、僕を包んでくれた。


そして、涙の中で僕は叫んだ。


「……ごめん、みんな……!

泣いても、何も変わらない!! そうだよ、“これが人生”なんだ……!!

これからは……悩みも、トラウマも……絶対に一人で抱えない!!

必ず、誰かに言う!! それが、俺の“再出発”だ!!」


田中が笑う。


「それでこそ、“太一”だ!!」


羽田が吠える。


「“脳筋”再起動って感じだな!!」


普子が微笑む。


「すぐ立ち直るの、ほんとすごいわ……」


そして僕は、みんなの前で、もう一度強く、はっきりと誓った。


「――決めたんだ」


全員が、静かに耳を傾ける。


「ぶっ倒すんだよ……!!

インフィニティ過激派組織をな!!!!!!」



---


列車は闇を切り裂きながら進む。

その先にあるのは、さらなる絶望か、それとも希望か。


だが、僕たちは進む。

絶対に、立ち止まらない。


これが、僕たちの――


再出発だ。



---


                     To be continued

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