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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第3-1章「交錯する運命・序章」

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第66話「触れてはいけない大量のビデオテープ」

僕は部屋の奥の鉄製の扉を開け、そっと中に入った。


今まで見てきた研究室や実験部屋と比べても、明らかに“異質”だった。


床も壁も比較的綺麗に整っていて、ホコリも薄い。

それはまるで、最近まで誰かが“出入り”していた証のようだった。


しかし何より異様だったのは、その中央に整然と積まれた大量のビデオテープだった。


棚には年代も書かれておらず、ただ無造作にテープだけが並べられている。


黒く、重たく、そして何かを“閉じ込めている”ように、どのテープも沈黙していた。


「……何だ、これ」


僕は一つのビデオテープを手に取り、部屋の奥にあった旧型のモニター付きカセットデッキに差し込んだ。


「……再生」


小さな「カチッ」という音の後、砂嵐が走り、画面が暗転した。


そして……映像が、始まった。



---


暗い実験室のような空間。


そこには1人の女性エルフと、その子供と思しき小さな女の子“エル”が映っていた。


女性エルフは腕を縛られ、涙を流しながら必死に訴えている。


「やめて……やめてください。エルだけは……子供には手を出さないでください……ネドベド様……」


そのとき、画面の奥から甲高い怒声が飛んだ。


「……あ? 今、なんて言った?」


ズカズカと足音を響かせながら現れたのは、ネドウェドと名乗る男だった。


白衣に血の染み。肩には「IN-日本部隊」のワッペン。

目は細く吊り上がり、狂気に染まっていた。


「私はネドベドじゃねぇ!!」

「私の名はネドウェドだ!!! 間違えんなァァアアア!!」


彼は壁を殴り、棚を蹴り飛ばし、叫びながら壊して回った。


「この私を侮辱するな!! 私は“世界一の研究者”だぞ!!!」


女性エルフは床にひざまずき、泣きながら何度も謝る。


「申し訳ありません!! 申し訳ありません!! どうか……」


だがネドウェドは一切聞く耳を持たなかった。


次の瞬間、彼は幼い“エル”の髪をつかんで引き寄せた。


「う、うわああああああああんっっ!!」


「やめて!!! お願い!!」


バチンッ!


乾いた音。エルの頬に赤い痕が残る。


「このガキが!! 誰が泣いていいって言った!!?」


彼の目には“種族”への嫌悪しか映っていなかった。


「おい、誰か来い!! エルフの解剖を始めるぞ!!」


背後から現れたのは、インフィニティの研究員たち。

全員が白衣を着て、笑いながら集まってくる。


「ヒヒヒ……エルフってさ、内臓どうなってんのか興味あったんだよなぁ」


「今回のサンプル、子供付きですよ。レアですねぇぇ」


「ギャハハハハ!! 次はゴブリンかドワーフにしようぜ!!」


不気味な笑い声が、カメラ越しにまで響いてくる。


女性エルフはその声に打ちのめされ、口元を押さえて嘔吐する。


「ヴ……うっ……おぇぇ……っ」


そして――場面が切り替わる。


鉄製のフックから、解剖された種族たちの**“遺体”**が吊るされていた。


目を見開いたままのゴブリンの死体。

腹を裂かれ、腸が垂れ落ちたドワーフの少女。

体中が溶けたように変形した妖精の男の子。


そして、人間の死体もあった。


年齢、性別問わず、すべての種族が**“無慈悲に”、“整然と”**処理されていた。


「どうだ!! これが私の“技術”だ!!!」


叫びとともに、各種族の断末魔の声が、映像の最後30秒間に重なっていく――



---


ゴブリンの断末魔:「ギギ……ィィッッ!!! あ゛が゛が゛が゛あ゛あ゛あ゛ぁぁっっ!!」

ドワーフの少女:「ママァァア!! 痛いよおおおお!!! やめてええええええ!!!」

妖精の少年:「羽が……羽がああぁぁっっ!! いやぁぁあああ!!」

人間の少年:「見ないで……僕の体……もう、やめて……」

エルフの子エル:「ママぁ……ママぁ……ママァァァァ!!!」

女性エルフ:「エル!! エルううううううううっっ!!! 私が代わりに――ああああああ!!!」


そして――インフィニティの研究者たちの笑い声が、重低音のように画面に響き渡った。


「ギャハハハハハ!!!」

「最高のショーだろ!?」

「解剖こそ芸術!!」

「次は“混血種”のサンプルが欲しいなぁ」

「記録は?ちゃんと残してる?――未来の“神話”になるんだからよォ!!」



---


僕は――椅子から転げ落ちそうになりながら、再生を止めた。


部屋の中が急に無音になった。

だがその沈黙が、映像の凄惨さを何倍にもしていた。


歯をくいしばる。唇が切れ、血がにじむ。


握り拳に力がこもる。

震えが止まらない。


「……ふざけんな……」


ビデオデッキに一歩近づき、僕は叫んだ。


「エルフだろうがドワーフだろうが、妖精だろうがゴブリンだろうが……!!」


「人だろうが異種族だろうが――命は命だろうが!!!!」


そのとき、映像の中のネドウェドの言葉が頭をよぎる。


「私は“インフィニティ・日本部隊”の最高幹部だ!!」




(キャロットと……同じ“最高幹部”……)


(ならば――知ってるはずだ。すべてを)


握りしめた拳を震わせながら、僕は誓った。


「もし……もし、どこかでアイツと再会するなら……」


「絶対に……絶対に“この手”でぶっ潰す!!」


怒りが燃え上がる。


あの時と違って、今の僕は――もう逃げない。


絶対に、“止めてみせる”。


そう誓った僕は、ビデオテープを抜き取り、部屋を飛び出して廊下に出た。


心の中にはただ一つの思いがあった。


(もう、誰にも……こんなことはさせない)


                         

                       To be continued

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