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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第3-1章「交錯する運命・序章」

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第60話「危ない3人」

視点は変わり、北校舎2階――夏の光が窓から差し込む、蒸し暑い廊下の先にある「調理準備室」。


羽田大地、小野明日香、五条守の3人は、少しの休憩のためにここに集まっていた。


「はぁ……はぁ……早速疲れてしまったぜ……」


羽田は自らの汗を腕でぬぐいながら、床に座り込む。

エアコンの効いた室内は多少涼しいが、それまでの移動は、灼熱の陽射しと熱風にさらされていた。


「はぁ……汗搔いちゃいました……晴れていて廊下は、とても暑くなっていますね。」


小野さんもハンカチで額を押さえながら、カーテン越しに空を見上げる。

彼女の顔には疲れの色が浮かんでいたが、それでも静かに微笑んでいた。


「そ……そうですね。ここはエアコンも効いてるので……」


五条は、いつものように少し気弱そうに相槌を打つ。

控えめな口調と丁寧な言葉遣いが、逆にこの緊張した空気の中で安心感すらもたらしていた。


そんな中、小野さんがふと尋ねた。


「聞きたかったんですが……なんで五条さんは、私と羽田さんに対して敬語なんですか?」


「えっ? そ、それは……ちょっとしたクセで……」


答える五条は、どこか動揺しているようだった。


「そうだとしてもおかしいなーー。じゃ……これから五条さんのあだ名は、『敬語』で決まりですね!」


「……えっ?」


唖然とした五条を無視して、羽田は急に立ち上がり、慌てた様子で言う。


「あっ!!ちょ……ちょっと、トイレ行きたくなった。……調理準備室を出て、隣のトイレで足してくる!」


「えっ!? ちょっと待ってください羽田さん!!」


「そ、それは危険すぎます!!」


小野と五条が声を上げるが、羽田はすでにドアを開けて走り出していた。


残された2人は顔を見合わせ、焦りと不安を隠せない。


「廊下には大勢のゾンビがいるってのに……」


「用を足してる時に襲われたら……まずいですよ。」


その時だった――


「ドシ……ドシ……ドシ……ドシ!!!」


低く響く振動のような音が、隣の「調理室」から伝わってきた。


「な……なんですか今の音……!?」


「ぼ、僕……一応見に行きます。……多分隣ですね。」


「ほ……ホントに行くんですか!? 危険ですよ……!」


「でも……ここで動かないと、『積むだけ』って、花さんが言ってたんですよ。」


覚悟を決めたように、五条は調理準備室の扉を開け、隣の調理室へと向かっていく。


薄暗い調理室には、まだ日の光が届いておらず、奥の方まで目視できなかった。


「はぁ……なんだ……何もいなかった……」


安堵したのも束の間――


「ドシ……ドシ……ドシ……ドシ!!!」


先ほどと同じ音が、五条の背後から聞こえてくる。


彼はおそるおそる振り向いた。


そこには、鋭い爪と異常な舌を持ち、全身が半透明になりかけている“生体兵器”――C-257がいた。


「な……なんだこの……巨大カメレオンは!!」


動揺する五条の元に、慌てて小野さんが駆け込んでくる。


「ど……どうしたんですか!? 五条さん!!……うっ!!」


彼女もすぐに“それ”の姿を目にした。


全身がぬるりとした粘液に覆われており、複数の触手のような舌を持つC-257。

その姿は、羽田が過去に戦い、命を落としかけた“あの時の怪物”と瓜二つだった。


小野さんの顔から血の気が引く。


(このカメレオン……あの時、羽田さんが戦った生物と同じ……)


しかし、2人の手元にあるのは、護身用のナイフ1本だけ。

“あれ”に太刀打ちできるわけもない。


「グォぉぉぉぉ!!!!!」


C-257は吼えたかと思うと、触手のような舌を伸ばしてきた。


「――ッ!!」


絶体絶命のその瞬間だった。


「ドンッ!!」


調理室の扉が、勢いよく開いた。


そこにいたのは――羽田光世だった。


「おい!!! 化け物!!! お姉さんに手を出したな!!」


彼は右手に光沢のある丸い物体――グレネードを握っていた。


「俺がトイレで見つけた『グレネード』を喰らえーーーーー!!!!!」


羽田は、ありったけの力でグレネードを投げつけた。


「お姉さん!!! 敬語!!! 早く廊下に!!」


小野さんと五条は、その声に応じて急いで調理室から飛び出した。


直後――


「バゴーーーーーーーン!!!!!!」


爆音とともに、凄まじい衝撃波が廊下にまで吹き抜ける。

調理室に隣接していた家庭科教室の壁が吹き飛び、床が崩落し、C-257の姿は煙の中に消えた。


3人は、そのまま南校舎2階にある「4-1」の教室まで一気に駆け込んだ。


「はぁ……はぁ……間一髪だったな……」


教室に入り、ようやく落ち着いた五条が、重たい呼吸を整えながら問いかける。


「羽田さん……なんでグレネードなんか……トイレに行く前は持ってなかったはず……」


羽田はどや顔で胸を張る。


「トイレにあったんだよ!! 奇跡と思わないか!!?」


「……思ったら……奇跡ですね。」


小野さんがほっと微笑んだ瞬間、羽田が顔を真っ赤にして言う。


「あと……お姉さん(。>﹏<。)」


「な……何、羽田さん。」


「世界が平和になったら……一緒にお茶でもどうかなぁー?」


その言葉に、小野さんはスッと冷静な顔に戻り、ひとこと。


「お断りします。助けたのは褒めますが、“お姉さん”というのは、もうやめてください。」


「は……はい……」


どこか照れ笑いを浮かべながら、それでも“救った”という事実に満足そうな羽田。

小野さんも少しだけ、頬を緩めていた。


それが、“命の恩人”に向ける、ささやかな優しさだったのかもしれない。


だが――

この爆発音は、他の“敵”にも確実に届いていた。


次なる戦いは、もうすぐそこに迫っていた。



---


                 To be continued

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