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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人
第1章 「全ての始まり」
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第6話「泣」

銃声が音楽室に響き渡る。


太一は迫り来る生物たちに向かって、ハンドガンを乱射していた。撃っては下がり、撃っては逃げる。必死に距離を保ちながら、何発も何発もトリガーを引く。


「よし……まずは一体!」


弾丸を受けた一体の生物が床に倒れた。だが次の瞬間、太一の目の前でそいつは立ち上がった。


「はあぁ!?なんで……倒したはずだろ!?」


よく見ると、奴の体からは傷一つ見当たらない。まるで何事もなかったかのように、再び牙を剥いてくる。


太一は何度も撃った。倒しても倒しても、傷は消え、再生し、襲いかかってくる。


「くそっ、キリがねぇ……!」


そして、ついにその時が来た。


――カチッ。


乾いた音が、絶望を告げた。ハンドガンの弾が切れたのだ。


「嘘だろ……こんな時に……!」


恐怖に包まれたその瞬間、音楽室の扉が勢いよく開いた。


「太一じゃねーか!!そこから離れろ!!」


入ってきたのは田中だった。太一はすぐに彼のもとへ走る。しかし、生物たちはその2人に向かって突進してきた。


田中は背中から巨大な武器を引き抜く。


「喰らえ!!ロケットランチャー!!」


轟音が音楽室を揺らす。


「ドカアアアアアアアアアン!!!!」


爆発音とともに視界が白煙に包まれる。やがて煙が晴れると、そこに生物たちの姿はなかった。だが同時に、音楽室の壁には大きな穴が空いていた。


「……ありがとう、勇気……でも、健二さんは……」


太一が言葉を探していると、不意に背後から声がした。


「ここにいるよ!!!たいちにいちゃん!!」


「えええっ!? なんで僕の背後にいるんだよ!? 確か一緒にピアノの裏に隠れてたはずだろ!?」


背後にいたのは太郎だった。無傷の姿に、太一は驚きと安堵の混じった声をあげる。


太郎は鼻をすすりながら言う。


「たいちにいちゃんに、しんぱいかけられたくなくて……ろうかに出たんだ。

そのあいだに、なかまをよんできたんだよ!」


その言葉に、太一は真剣な顔で一言だけ口にした。


「行動力……!!」


すると田中が、やや気まずそうに口を開いた。


「話の途中で悪いが……重要なことを言い忘れてた。

さっき、地下への道を見つけたんだ。」


「地下……?」


「1階の階段の横にある“特別室”だ。扉を開けたら、奥に地下へ続く階段があった。」


「地下への道か……このまま地上にいたら、いずれ餓死する……」


太一はうなずいた。


「よし、決まりだな。俺は通信機でみんなに連絡してくる。特別室の入口に集合するようにな。太一と太郎は、先に向かっててくれ。」


「わかった。……行くよ、太郎。」


その時、太郎がぽつりとつぶやいた。


「けんじにいちゃんは……どこ……?」


太一は一瞬、言葉を失った。


「……それは……」


太郎は涙を浮かべ、太一の背中を叩きながら叫ぶ。


「けんじにいちゃんはどこなの!? ちょっとこわいけど、やさしかったんだよ!?

どこにいったの!? しってるでしょ、たいちにいちゃん!!」


太一はぐっと唇を噛み、静かに答えた。


「……言えない。太郎に言ったら……きっと失望させてしまう。だから……お願いだ。」


太郎は涙をこぼしながらも、頷いた。


「……わかったよ。でも……けんじにいちゃんには、また会えるよね……?」


「会えるさ。いつか……きっと。」


「……うん! わかったよ、たいちにいちゃん!」


2人は音楽室を後にし、特別室の入口へと向かって歩き出した。


その途中、太一は心の中でつぶやく。


(……ごめん、健二さん……また、救えなかった。あなたも……仲間たちも……)


                                         To be continued.

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