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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第3-1章「交錯する運命・序章」

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第57話「作戦実行」

森下亮という男――。

刀を構えたまま自己紹介を終えた彼に対し、最初に噛みついたのは、やはり佐藤花だった。


「その前に森下!!あんた、なんで私と“家畜”の間に刀を向けたの!?意味わかんないんだけど!!」


「おい!!!その呼び方やめろ!!」


田中が叫ぶ。

さっきの一件で、顔は赤くなっていたが、怒りの炎もまだくすぶっていた。


だが、森下はまるで空気のように冷静だった。


「えっ?…だって、喧嘩してたから。」


「はぁ!!?あんた“サイコパス”なの!?人間じゃないでしょ!?冷静通り越して怖いんだけど!!」


「人間だ。」


森下はあっさりと肯定した。

まるで、自分が何か別の存在であるかのように言われることに、何の感情も動かさない。


だがその直後、彼が口にした“ある疑問”が場を凍らせる。


「というか、今思ったんだが……『高校生』ってなんだ?」


「…………えっ?」


その場にいた全員が固まった。


「はぁ…?」


誰が呟いたかもわからないほどの静寂が走った。


「この建物に来る前に聞いたんだ……“高校生”って。」


井上が目を丸くする。


「嫌嫌嫌!!!冗談ですよね!!?」


五条さんも混乱していた。


「そうですよ。森下さんは、16歳ですよね?だから…高校1年生ですよね?」


天野君も訝しげに問う。


「ていうか…『小学生』とか『中学生』って言葉の意味はわかるんですか?」


森下は、しばし沈黙した後、はっきりと答えた。


「………わからない。」


どよめきが起こった。


僕たちはみんな、信じられなかった。


“学校”という概念を知らない?

“学生”という区分さえも?

それが本当なら――彼は、この国の人間ですらないかもしれない。


だがその混乱を、彼自身があっさり切り捨てた。


「そんなことはどうでもいいとして、ここを脱出する作戦を話し合った方がいい。」


――彼はただ冷静に、状況を整理していた。


こうして、僕たち13人のメンバーは、保健室の中央に円陣を組み、脱出のための作戦会議を始めた。


森下が手元の地図を見ながら言う。


「この学校――そして周辺地域は、すでにゾンビと感染者によって占拠されている。

我々がここから出るには、6つある通信拠点のどれかを経由して、脱出ルートを確保する必要がある。

だから、2〜3人ずつの6組に分かれて行動する。」


彼の指示は明確で、どこか軍のオペレーションのようだった。


森下は続ける。


「女子の安全も考慮し、男女混成でできるだけ組む。無理があれば、構成は自由にしてもいい。」


僕たちは、それぞれ希望や状況を考慮しながら、慎重にペアやチームを組んだ。



---


【グループ決定】


1. 田中・佐藤 花


「なんでお前となんだよ……」


「嫌だ?……まぁ……仕方ないか。」


お互い不満たっぷりだったが、それ以上に言い合いそうなので、むしろ最適かもしれない。


2. 井上・髙橋


「頑張ろうね…玲奈。」


「そ、そうだね。」


二人の間には、ほんのりと優しい空気が流れていた。


3. 羽田・小野さん・五条さん


「よろしくね、お姉さん。」


「は…はい。」


「お姉さん…?」


五条さんが微妙に食いついているのが面白かった。


4. 天野君・長谷川 普子


「よろしくお願いします。普子さん。」


「わ、私は高校生だからね!! こんなに低身長でも(。>﹏<。)…だから…。」


見た目と年齢のギャップに、どことなくぎこちなさが漂っていた。


5. 博士・長谷川 時子


「よろしくじゃ。」


「え……あの“世界一の天才”の人が…私の隣に……(゜o゜;)」


完全に緊張している様子だったが、逆に博士はまったく気にしていなかった。


6. 太一(僕)・森下亮


「よ…よろしくお願いします、森下さん。」


「ああ…よろしくな。」


僕は彼と行動を共にすることになった。


むしろ、彼の近くにいた方が、何かが分かる気がした。



---


グループが決まると、森下が黒いケースを開けた。


「この街から脱出するため、各グループに通信機を1つずつ配布する。

見た目は少し古いが、使い方は簡単だ。」


通信機は確かに少し古びたデザインだったが、どれもとんがったアンテナが目立つ。


だから彼はさっき「とんがった物」と表現していたのか――。

言葉の感覚が、やはり普通ではなかった。


各グループは1つずつ通信機を手に取った。


「これを使って連絡を取り合いながら、脱出路や安全なルートを調査する。

接触感染と空気感染、両方が確認されているため、マスクと消毒液は忘れるな。」


そして最後に。


「――生き延びろ。誰も死ぬな。全員、帰ってこい。」


その言葉に、僕たちは一斉に拳を突き上げた。


「お、おーーーーー!!!!!」


それが、**「13人のサバイバル」**の始まりだった。



---


僕は森下さんと共に、学校の裏門から回るようにして、隣接する旧体育館へと向かっていた。


途中、彼は自らのホルスターに手をやり、僕に声をかけてくる。


「このホルスターにある2つの拳銃…使ってもいいぞ。」


「えっ…ホントに?」


彼は無言でうなずき、僕に2丁のハンドガンを渡した。

重みと冷たさが、僕の手にずっしりと伝わる。


「弾は8発ずつ。無駄撃ちはするな。」


僕は「うん」と小さく頷いた。


武器の重さが怖い。

でも、それ以上に、「守らなきゃ」という覚悟の方が重かった。


森下さんは、迷いなく歩いていく。


僕は、その背中を見ながら思っていた。


――この人、いったい何者なんだろう。

「高校生」が何かもわからない。

「通信機」のことを「とんがった物」と呼ぶ。


それはただの変わり者じゃない。


世界そのものが違っているかのような感覚。


でも――今はその謎を解いている場合じゃない。


僕たちの命がかかってる。

この街から脱出するために。


戦いが、また始まった。


 


                       To be continued

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