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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第2章「終わらない戦い」

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第51話「決着と終止符」

息が苦しかった。

 腕も、脚も、重くて動かしづらかった。視界も滲んでいて、何もかもがぼやけて見えた。

 それでも僕は、キャロットに立ち向かった。


 


 「ハァ……ハァ……クソガキが……こんなに“強者”とは……」


 


 キャロットが口元を歪めながら吐き捨てるように言った。

 その顔は血まみれで、目の下には大きなクマ。息も明らかに荒く、肩が上下に揺れていた。


 


 「ハァ……ハァ……当然だろ……お前に勝たなきゃいけないんだからよ……」


 


 僕もまた、疲労と出血で限界に近かった。それでも――


 


 「喰らえ!!! キャロット!!!」


 


 僕は、最後の力を振り絞って、前へと突っ込んだ。


 


 しかし――


 


 「ラージクロー・ネイルウォール!!」


 


 キャロットの叫びとともに、地面が割れ、**巨大な“爪の壁”**が眼前に現れた。

 鋭い、漆黒の爪。まるで岩をも貫くほどの強度と威圧感。

 それが何枚も連なって、“絶対防御”の形を作っている。


 


 ――ぶつかったら、間違いなくバラバラにされる。


 


 だけど、僕の足は止まらなかった。


 いや――止めるつもりはなかった。


 


 (ここで引いたら、みんなの想いを裏切る……)


 


 僕は、あの人たちの顔を、心に浮かべた。


 家を出るきっかけとなった、ゾンビ化したママ。


 最期まで天才のまま維持し、僕の手で命を絶った日佐知香。


 傷を背負いながらも、最期まで僕を助けてくれた羽田。


 ふざけた奴だったけど、最期は静かになりながら死んだ太田。


 最期の前に、元に戻り、尊敬していた博士。


 全てをかけて僕たちを導いてくれたローラ隊長。


 痛々しい姿で殺された髙橋――


 


 僕はあの日、全てを喪った。


 でも、その全ての「痛み」と「記憶」が、今の僕を支えている。


 


 だから。


 


 「キャロット!! これがお前の最期だ!!」


 


 


 「瞬脚・裂陣れつじん!!」


 


 


 その技名を叫ぶと、僕の両脚から衝撃波のような風圧が生まれた。


 音を置き去りにして、僕の身体は突き進む。


 


 まるで時間がスローモーションになったかのように、目の前の“爪の壁”がゆっくりと迫ってくる。


 その向こうに、キャロットの瞳があった。


 ひときわ大きく見開いた、恐怖の色を浮かべた瞳――


 


 「ドオォォォォォォォォン!!!!!!」


 


 轟音。


 風圧。


 爆発的な衝撃。


 そして――壁が、砕け散った。


 


 鋭い爪は、粉々に砕かれて宙を舞い、キャロットはその衝撃で吹き飛ばされた。


 


 「ゔああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 


 キャロットの絶叫が、研究所の階層に響き渡る。


 彼の体は大きく宙を舞い、そして――


 


 「ガッシャアアアアン!!!!!!」


 


 4階から、彼はそのまま真っ逆さまに落ちていった。


 下は――冷たく硬い、コンクリートの床。


 そして数秒後に響く、「何かが砕けたような音」。


 


 「バンーーーーーーーーーー!!!」


 


 その音は、まぎれもなくキャロットの最期の音だった。


 


 ……静寂が訪れる。


 


 あれほど凶悪で、不死身に思えた敵が、倒れた。


 立ち尽くしていた田中と井上、小野が、一瞬呆然とした表情を浮かべ、そして――


 


 「太一!!やったじゃねぇか!!!!」


 


 田中が駆け寄り、肩を叩いてくる。


 「ほんと……太ちゃん、すごいよ!!」と、井上が笑顔で涙を浮かべる。


 


 「……かっこよすぎます……太一さん……」と、小野も目を赤くしていた。


 


 僕は肩で息をしながら、言った。


 


 「……終わった……のか……?」


 


 答えは、まだ誰にもわからなかった。


 でも少なくとも、今この瞬間――


 僕たちは、“最初の終わり”を迎えた。


 


 だが、それは“物語の終わり”ではない。


 まだ「インフィニティ」という名の、本当の黒幕が残っている。


 


 でも、今だけは。


 ほんの今だけは――


 


 この勝利を、噛み締めさせてほしい。


 


 僕は、空を見上げた。


 どこまでも高く、果てしなく、青い空を。


 過去でも、未来でもない、**“今”**を刻んだ空を。


 


 


                     To be continued


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