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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第2章「終わらない戦い」

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第48話「取得」

あの日、あの瞬間、僕の命は尽きる寸前だった。


 ――けれど、僕の意識は真っ暗闇ではなく、白い世界に落ちていった。


 


 天井も床も、方向すらも曖昧なその空間には、不思議な“静寂”が満ちていた。


 そこには何もなかった。音も、風も、感覚も。


 僕はふと、目を閉じて自分の存在を確かめようとした――そのときだった。


 


 コツ、コツ、コツ――。


 


 ヒールの音のような、どこか規則的な足音が近づいてくる。


 


 その先に現れたのは、小柄な少女だった。


 


 帽子の先に金色の意匠。肩を包む黒いマントと、裾の金縁が印象的な制服風の衣装。


 そして、深い蒼色の瞳。


 彼女はすっと立ち止まり、まっすぐに僕を見て言った。


 


 「あなた……もしかして、まだ“技”を取得していない人?」


 


 その言葉が、静寂の世界を切り裂いた。


 


 「……“技”? どういうことだ? ……ていうか、あなたは?」


 


 少女は指を口元に当てて、小さく微笑んだ。


 


 「私? 私はリリィっていうの。」


 


 「リリィ……?」


 


 初対面のはずなのに、不思議と懐かしい響きだった。


 


 「なんで、夢の中にいるんだ……?」


 


 問いかけると、リリィは頬を染めながら視線を外し、控えめに答えた。


 


 「そ、それはね……あなたを助けるために出てきたの。」


 


 「……!」


 


 僕は一瞬、胸が温かくなるのを感じた。


 誰かに“助けられている”という感覚。それが、どこか懐かしくて優しかった。


 


 「……じゃあ、“技”っていうのは?」


 


 リリィは表情を引き締め、声を落として言った。


 


 「それは……あなたが、ピンチだからよ。」


 


 ピンチ。


 そうだ。僕は、キャロットに敗れ、意識を失って……。


 


 「このままだと、あなたは目覚められない。だから、“最後の技”を取得して。」


 


 「最後……?」


 


 リリィはゆっくりと首を縦に振った。


 


 「うん。もう残ってる“技”は……足技しかないの。」


 


 「足技……?」


 


 彼女の言葉に、僕は疑問をぶつけた。


 


 「なんで他の技は使えないんだ? 誰かが使ったのか?」


 


 リリィの顔が、わずかに陰る。


 


 「そう……。これまでに“挑戦”した人がいたの。だけど、誰一人として「インフィニティ」を倒せなかった。」


 


 「インフィニティ……」


 


 「でも、この“足技”だけが残されたの。最後の希望……それが、あなたなのよ。」


 


 リリィの声が震えていた。


 この少女は、僕に何かを託そうとしている。それだけは確かだった。


 


 「……失敗したら、どうなる?」


 


 「あなたも、私たちも、“夢の世界ごと”消える。」


 


 そうか。これはただの夢じゃない。“精神世界”……もしかしたら、僕の“魂の選択”かもしれない。


 


 リリィは僕に歩み寄り、まっすぐに手を差し出してくる。


 


 「だからお願い。あなたが、最後の“挑戦者”になって。」


 


 僕は躊躇わず、その手を両手で握った。


 


 「はい。……ぜひ、やらせてください。」


 


 その瞬間――リリィは微笑んだ。とても柔らかく、救われるような笑顔で。


 


 「ありがとう……!! 太一くん、絶対に……キャロットを倒して……“無限”を終わらせて!!」


 


 彼女の声が遠ざかる。

 視界が揺れる。

 白い空間が、まるで溶けるように色を失っていく――。


 


 * * *


 


 「――――っ!!」


 


 僕は息を吸った。


 目を開けた。


 


 痛い。肩が、頭が、全身がズキズキと痛む。


 だけど、今はそれすら“生きている”証拠だ。


 


 ――僕は、戻ってきた。


 


 視界の向こう、キャロットがこちらを見下ろしていた。


 その右腕は、相変わらず禍々しい“異形”に変化している。


 


 でも、今の僕は違う。


 


 “足技”が、僕の身体に宿っている。


 


 リリィがくれた、“最後の可能性”。


 


 僕はゆっくりと立ち上がった。


 左肩は使えない。だが右足には、確かに“熱”が宿っていた。


 


 「キャロット……今度こそ、終わらせる。」


 


 敵は、強大だ。


 でも、希望はある。


 


 それは、誰かの言葉で得た“力”じゃない。


 僕自身が掴み取った、“選択の証明”なんだ。


 


 「行くぞ……これが、僕の新しい“一撃”だ!!」


 


 


                    To be continued

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― 新着の感想 ―
夢の中で出てくるなんて予想できない
2025/07/15 17:49 ソース焼きそば
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