第45話「再来」
暗い部屋の中。
僕たちの目の前に置かれた一冊の黒い日記帳――。
表紙には、焼け焦げたような汚れと共に、銀のペンでこう記されていた。
「無限書」
** 作 ブルー・S・キャロット**
静かにページを開く。
中には、異様な文体で不吉な言葉が連なっていた。
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皇子の剣は皇帝を斬った。
しかし彼は黒いなにかに心臓を貫通され死んだ。
無限の人は破壊しようとしたが死んだ。
再来、救出、組織、そして複製との戦い
賭ける、奴隷
死に戻り、絶望
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「……なに、これ……?」
僕は呆然と呟いた。
「どういうことだ?…これは。」
田中が眉をひそめながらも、どこか興味を抱いているようだった。
「なんかよくわからないこと言ってるな。ポエムか?それとも……」
「でも……なんか不気味じゃない?」
井上が周囲を警戒するように声をひそめた。
「確かに…そうですね…」
小野の顔は青ざめていた。
この日記には、**過去でも未来でもない“別の時間軸”**が隠されている――そんな不穏な予感があった。
僕は息を呑み、日記を静かに閉じた。
「と…とりあえず……廊下に出よう。怪しまれるかもしれない」
「了解」
僕たちは頷き合い、日記を元の位置に戻してから、音を立てぬよう部屋を後にした。
そして――。
4階の中央ホールへ足を運んだその瞬間。
廊下の先、金属製のスロープを越えた場所に――彼がいた。
「……っ!」
僕たちは反射的に身構える。
そこに立っていたのは、今よりもずっと若く、狂気と野心に満ちた男――
若き日の「ブルー・S・キャロット」。
目は鋭く、髪は短く整えられ、軍服は一分の乱れもなかった。
それなのに、その瞳の奥にあるものは、誰よりも濁っていた。
「誰だ?……なんでこんな所に、クソガキどもがいるんだ?」
警戒心と侮蔑が入り混じった声。
彼の記憶には、当然、僕たちの姿などない。
ここは1970年――まだ未来の戦いが始まる前の時間。
それでも、僕は一歩前へ出る。
「――ブルー・S・キャロット!」
彼が眉をわずかに動かす。
「お前の根を断つために……ここへやってきた!」
数秒の沈黙。
やがてキャロットの口元がゆっくりと吊り上がる。
「……ほう。面白いことを言うな、小僧」
その声は、獲物を見つけた捕食者のようだった。
「“根を断つ”だと? まるで私が“何かの起点”みたいな言い方じゃないか」
僕は拳を握りしめた。
「お前が起点じゃないって言えるのか? 博士を、玲奈さんを、ローラ隊長を……! お前が殺したんだ!」
キャロットの表情は、一瞬だけ曇った――いや、それは**彼の深層にある“何か”**が揺れたように見えただけかもしれない。
「小僧……貴様、面白い。殺す前に名前を教えろ。礼儀としてな」
「山田太一だ。忘れるなよ、“未来”から来たお前の“墓掘り人”の名前を!!」
次の瞬間。
研究所の空気が、一変した。
4人の鼓動が、ひとつになる。
ここから始まるのは――運命そのものとの戦い。
“根”を断つために。
To be continued




