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IN:銀河より遠い∞世界  作者: 普通の人/3時のおやつ
第2章「終わらない戦い」

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第41話「犠牲を払う隊長」

「お……お前は……天野君が言っていた、“ブルー・S・キャロット”か?」


「そうだ!! 私が、“インフィニティ・アイランド部隊”最高幹部――ブルー・S・キャロットだ!!」


 キャロットは狂気を孕んだ笑顔で、両手を広げて宣言した。

 その声は、まるで舞台に立つ役者のように響き渡る。


「会いたかったぞ、太一君!!!」


「ふざけるなッ!! この状況で自己紹介かよ!!! 博士を……博士を返せよ!!」


 僕の叫びに、キャロットはわざとらしく肩をすくめてみせた。


「……残念だが、君の祖父を元に戻すことはできない。なぜなら――私が殺したからだ!!」


「キャロットゥゥゥゥ!!!!」

「殺す、殺す!! 絶対に殺す!!!! 絶対にだああああッ!!!!」


 怒りに震える僕の前で、キャロットは一つの影を引き寄せた。


「そこまで私を倒したいのか? なら、これを見たらどうなるかな?」


 キャロットが片手で掲げたのは……少女の身体だった。

 それは――髙橋玲奈だった。


 服は剥がれ、手足は片方ずつ切断され、腹には無数の傷。

 血の匂いが鼻を突き、意識が反転しそうになる。


「ゔ……ヴェエエ……オェ……!!」


 僕はその場で大量の嘔吐を吐き出した。

 言葉も出ない。感情も渦巻いて、何が本当かも分からなくなる。


「太一君が“好きだった”髙橋玲奈という女は……これのことか?」


「……なぜ……なぜ玲奈を……仲間だったじゃないか……」


「仲間? そんなもの、最初から“消耗品”だ。

 どうせ裏切るんだ、“汚物”と化す前に処理したまでだ。」


「……ふざけるな……仲間だった奴は、死ぬまで仲間でいろよ……!!!

 “友情”や“希望”って言葉、知らないのかよッ!!?」


「ククク……知ってるさ。知っているからこそ、壊すのが楽しいんだよ。

 お前もそうだろ? “日佐知香”を撃ったのは、どこのどいつかな?」


「……うっ……!」


「まぁいい。話はここまでだ。今から――お前を殺す。」


 キャロットが襲いかかる。その勢いは化け物じみていた。

 逃げようにも、僕の身体は震え、思うように動かなかった。

 死ぬのか――そう思った、その瞬間だった。


「パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!!!!!」


 5発の銃声が鳴り響く。

 キャロットの背中に、銃弾が突き刺さる。


「……まだ生きていたのか。裏切り者が。」


「黙れ、変人。 お前のような奴とは、最初から“一緒”になった覚えはない。」


 その声の主――ローラ・I・ネルがそこにいた。

 彼女のハンドガンが、なおもキャロットを狙っている。


「ローラさん……なんで……あなたは、僕たちを……裏切ったはずじゃ……」


「申し訳ない、太一。

 あのとき、軍隊ヘリの中で君たちを気絶させたのは……本当は、守るためだった。

 もし気絶させずにいたら……全員、その場で殺されていた。」


「だから、僕たちを……」


 ローラはうなずいた。


「だが、これだけは聞いてほしい。

 今から最上階、5階の西ゾーンに行ってくれ。

 そこに“タイムマシン”がある。それを使って――

 『1970年5月30日』のグアム研究所に行ってほしい。

 そこで、キャロットを根から断て。」


 ローラの表情は、かつて見せたことのないほど、静かで強かった。


「これが、私の――最後(最期)の命令だ。」


 僕は敬礼する。


「はい!! 分かりました、ローラ隊長!!

 絶対に生き延びてください!!!!!」


 そして僕は、走り出した。

 後ろから、怒号と銃声が響く。

 それでも、振り返らず、階段を駆け上がった。


 ――背後で聞こえた、あの一言だけが、心に残っている。


「私は絶対に命令しなきゃいけない人物は……“ロボットみたいな人間”だ。」


 誰よりも“命令”と“正義”を貫いた、ローラの最後の言葉だった。


 

                            To be continued

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